03-03-04 漢八 班超

 和帝わていの治世より以前から、かん軍は北匈奴きたきょうどに攻撃を再開するようになった。やがて単于ぜんうが逃亡し死亡、漢は単于の弟を新たな単于に立てる。しかし新単于もやはり漢に反乱。漢が討伐の軍を派し、滅ぼした。これ以降鮮卑せんぴの存在感が拡大するようになった。


 匈奴との戦いで活躍していた班超はんちょうが洛陽に呼び戻され、間もなくして死亡した。

 班超は書生から身を起こすも、筆を放り出し、万里の外へと挑戦せんという志を抱いていた。ある占い師が班超を占って言う。

「そなたはツバメの顎に虎の頭、遠くに飛んで肉を喰らうかのごとき相である。ならばまさしく万里の外に挑まんとする冒険をなすのであろう」

 その後占いの通り西域の統御の役割を負い、諸国を平定して回った。西域での任務をこなすこと三十年、その功績から定遠侯に封じられた。


 年老いたため「生きて再び玉門ぎょくもん関をくぐりたく思います」と引退を願い出た。和帝も「任尚じんしょう」を代役として使わせることを決めた上、班超の申し入れを受け入れた。

 任尚が西域統治の方策を班超に問うと、班超は答える。

「貴方はその厳格なところをに気をつけよ。水清ければ大魚無し、と言うではないか。その短所を抑え込み、簡易な統治を心掛けられよ」


 任尚は班超より奇策が欲しかったのだが、与えられた言葉が平凡であったことに対する不満を他者にこっそりぶつけた。だが、間もなく任尚は統治に失敗した。班超の言葉があたったのである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る