03-06-03 蒙求 上2

江革巨孝こうかくきょこう 王覽友弟おうらんゆうてい

江革(後漢)&王覽(晋)

 後漢初期、戦乱に巻き込まれた江革は老いた母のために身を粉にして働いた。その孝行ぶりはやがて章帝の耳にまで届き、ついには三公司空の副官にまで昇進した。

 のちに子孫が南朝第一の名族として知られる琅邪王氏として活躍することになった、王覧。彼の母が兄である王祥おうしょうをしばしば害しようとした。それに気付いた王覧は徹底して兄を守り、時には死をも恐れないほどだった。

 母のため、兄のためになら命をも惜しまず仕えた二人。


時苗留犢じびょうりゅうとく 羊續懸魚ようしょくけんぎょ

時苗(魏略)&羊續(後漢)

 後漢末の地方官、時苗。清廉潔白なひとで、その統治によって任地は大いに潤った。赴任の際一頭の牛に車を引かせてやってきたのだが、その牛が任地で子を産む。任期を終えて時苗が去ろうとしたとき、その子牛を任地に置いていく。あくまで任地で生まれた牛だから、とのことである。

 同じく後漢に仕えた地方官、羊続。彼もやはり清廉潔白なたちだった。基本的には贈り物なども受け取らないのだが、あるとき「この魚くらいなら……」と持ち寄ったものがあった。珍しくそれを受け取ったと思ったら、魚を目立つところに干しておき、以降「この魚がまだ残っているから」と贈与を断る口実にしたそうである。

 清廉潔白な地方長官、いややり過ぎでない?


陳雷膠漆ちんらいこうしつ 范張雞黍はんちょうけいしょ

陳重・雷義(後漢)&范式・張劭(後漢)

 後漢の士人フレンズ、陳重ちんちょう雷義らいぎ。どちらかが栄達すればもう片方に譲るし、どちらかが罪を得ればもう片方も責任を負って自任する。地元の人たちは「塗り固めたニカワはめっちゃ硬いけど、あの二人の絆には勝てないよね」と語り合った。

 同じく後漢の范式はんしょく張劭ちょうしょうは、そのすまいが遠く離れているとは言ってもその心を繋ぎ合う仲だった。春に別れ、秋の再会を誓うと、その期日近くなったタイミングで張劭が鶏を潰し、キビをふかし、その到来を確信して待った。

 固い絆に結ばれた後漢フレンズ。

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