04-08-05 梁八 武帝蕭衍 下
侯景が武帝の元に赴けば、三公の地位につける、と武帝が言う。その姿は堂々としたものであった。またこうも言う。
「そなたも長らくの陣中働きを経ておろう、ここで肩の荷を下ろされるが良い」
侯景は武帝をまともに見ることもできず、ただ冷や汗を垂れ流すがままとした。武帝の前より退いてのち、侯景は部下に対して言う。
「おれは常々馬上で敵と向かい合い、矢や石の飛び交う中にあっても恐れなぞ抱いたことがなかった。だがどうだ、蕭どのに見えれば、たちまち震え上がってしまった。まこと天威というものを、どうして犯せようと言うのか。あのお方とは二度と向かい合いたくないものだ」
こうして武帝は侯景によって軟禁を受けた。その飲食についても大きく制限され、憂憤を抱えるうちに病を得た。しばしば蜜を求めたが認められず、二度ほど「ああ!」と叫び、ついには死亡した。在位四十八年、八十六歳であった。
侯景の乱が起こるよりも以前、武帝には聡明な太子がいた。
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