02-06-03 漢四 昭帝劉弗陵 下

 上書を奉った者は果たして逃亡を企てた。昭帝しょうていはすぐさま捕らえようとしたが、そこで上官傑じょうかんけつが恐れて言う。

「些細なことです、わざわざ捕らえるにも値しますまい」

 昭帝はその言葉を無視した。

 後日上官傑の一味が霍光かくこうの讒言を昭帝に報告した。すると昭帝は激怒した。

「大将軍は忠臣である! 先帝より朕を助けるよう仰せつかっておる身ぞ! 大将軍を批判する者があれば、みな連座して処罰する!」

 これ以降霍光を讒言する者はいなくなった。

 しかし上官傑らは諦めない。ついには宴会にかこつけて暗殺しよう、と計画する。そこから昭帝を廃し、劉旦りゅうたんを皇帝につけようとしたのだ。また上官安じょうかんあんはまず劉旦を殺し、その後に昭帝を廃して上官傑を皇帝に奉じようと計画した。その企みはあっさりと人の耳に入り、上官傑、上官安、桑弘羊そうこうようらは族滅となった。また昭帝の姉と劉旦は自殺した。



 前 77 年、「傅介子ふかいし」が西域に遣いし、楼蘭ろうらん王を暗殺した。すぐさま長安に遣いし、楼蘭王が匈奴きょうどと結託していた旨を報告した。


 前 74 年、昭帝は 21 歳で死んだ。在位十四年、改元は三回、始元しげん元鳳げんほう元平げんへいである。霍光が執政し、民は労役から解放され、天下に大きなトラブルはなかった。はじめ次代の皇帝は武帝の孫の劉賀りゅうが劉髆りゅうはくの子)であったが、間もなく霍光は皇帝に相応しくないとし、廃した。その後改めて迎え入れられた武帝の曾孫が、宣帝せんていである。

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