01-11-03 魏七 呉子

 また「孫呉そんご」として孫子そんしと並べ讃えられる軍略家、呉起ごきこと「呉子ごし」もこの時代の人だ。えい出身で、はじめに仕えた。この頃魯はせいを攻撃したいと目論んでいたのだが、呉起の娶っていた嫁が斉出身であったため内通を疑われていた。そこで呉起は妻を殺害した上で将軍に立候補、見事斉軍を大破する。


 ただ、この行動は魯人に恐れられた。「あまりにも残酷である、人情に欠ける」とのことだ。なので呉子は冤罪を受けることを恐れに出奔。そして文侯ぶんこうに登用された。軍を預かればしん軍の守る五つの城を攻め落とす。


 呉子は将士らと共に食事し、同じものを着た。ある兵士の傷が化膿すると自ら吸い出した。兵士の母は泣いて言う。

「あの子の父に対しても、呉子は同じことをしてくださいました。親子揃って同じ恩を受けたいま、私の子は呉子のために死をも恐れず戦うことでしょう」


 文侯のあとを武侯ぶこうが継いだとき、武侯は魏の天険を眺めて「この自然の要塞こそ魏の宝である」と述べる。すると呉起は「三苗さんびょう氏」が夏のに、けついん湯王とうおうに、ちゅうしゅう武王ぶおうに、それぞれ天険に拠点を置きながらも徳を修めなかったが故に攻め滅ぼされた例を引き、改めて武侯に徳を修めるよう言いつけるのだった。

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