03-08-02 漢一 孫権 3

 劉備りゅうび赤壁せきへき後のドタバタの隙を突き、荊州けいしゅう南部を占拠。

 周瑜しゅうゆ孫権そんけんに言う。

「劉備は、まさしく梟雄であります! しかも関羽かんう張飛ちょうひといった虎よ熊よといった将もそばにおります。この三人をひとところに固めておくのなぞ、龍に雲や雨を与えるに等しきこと。じっと池の中にとどまったままでなどおりますまい! 劉備めをひとり呉に引き込むべきです!」

 孫権はこの提言を却下した。


 周瑜は曹操に対して反攻の軍を発するべきだ、と提議したが、病にあい、死亡した。周瑜のかわりに魯粛ろしゅくの軍を率いることとなった。その魯粛が孫権に、荊州を劉備に貸し与えたままとすべきだと勧める。孫権は従った。


 孫権の配下将のひとり「呂蒙りょもう」は、はじめ無学であった。そこに孫権が読書を勧める。その後魯粛が呂蒙と議論した。魯粛は大いに驚いて言う。

「そなた、ほんとうにあの呉の町の蒙坊なのか!?」

 呂蒙は答える。

「士と三日別れたら、まさに刮目して向き合え、ってやつですよ」



 劉備が益州えきしゅうを獲得したと知ると、孫権は劉備に荊州を返還するよう要求した。劉備がこの要求を拒絶し、劉備と孫権の同盟は決裂した。荊州は両名によって引き裂かれた。

 劉備は更に漢中かんちゅうを獲得。曹操そうそうに対する攻勢を強めていたが、その曹操が、今度は孫権と手を組むことになった。


 このころ魯粛が死に、呂蒙がそのあとを継ぎ、孫権に対して関羽を討つべく勧めていた。そこで曹操が樊城に援軍を送って関羽の正面を釘付けしたのを見計らい、「陸遜りくそん」にもまた関羽を攻撃させた。関羽は狼狽して逃げようとしたが、孫権軍がついに関羽を捕らえ、斬った。こうして荊州が孫権の手に収まった。

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