03-06-07 蒙求 下1

田豫儉素でんよけんそ 李恂清約りじゅんせいやく

田豫(三國志)&李恂(後漢)

 三国魏に仕えた田豫は曹芳の時代に并州刺史となって胡族に対してにらみを利かせた。その統治は倹素そのものであり、家にはほとんど財産らしい財産もなかった。

 後漢章帝の時代に兗州刺史となった、李恂。彼もやはり清楚倹約な暮らし向きを貫いた。自給自足を旨とし、政府高官よりの支援物資などについてもいっさい受け取らなかったという。

 質素倹約を貫いた地方長官。


王祥守奈おうしょうしゅたい 蔡順分椹さいじゅんぶんちん

王祥(世説)&蔡順(後漢)

 後漢末の名士、王祥。彼は継母よりいじめられていた。ある嵐の日、継母より丹奈たんたいの木を守れと命じられたため、一晩中嵐の中で、泣きながら丹奈の木を抱いて守ったという。

 前漢末期に生きた蔡順は母思いであり、母親が死んだ非に見舞われた火事の中、それでも母の身を守ろうと棺に覆い被さり続けていた。

 母のためになら身をもなげうつ二人。


常林帶經じょうりんたいけい 高鳳漂麥こうほうひょうばく

常林(三國志)&高鳳(後漢)

 三国魏の人、常林。彼は学問をこよなく好んだ。一方で農務をも疎かにはせず、経典を抱えながら畑仕事に精を出したという。

 後漢の人、高鳳。農家出身のひとではあったが、やはり学問をこよなく愛した。あるとき妻が麦を天日干しにし、高鳳には鶏が逃げ出さないように見張るよう命じた。高鳳は鶏を見ながら書を読む。折しも大雨が降り出すも、高鳳は止まらない。ついには畑の麦が流されたことにすら気付かないほどだったという。

 農務をしながらも学問を修めた二人。


蔡琰辨琴さいえんべんきん 王粲覆棊おうさんふくき

蔡琰(後漢)&王粲(三國志)

 後漢末の大文人である蔡邕さいようの娘、蔡琰。父が琴を弾いていたとき、一本の弦が切れた。すると蔡琰が「二弦が切れましたね」という。後日別の弦を切って弾いてみれば「四弦が切れましたね」と言い当てた。

 三国魏の大文人、王粲。凄まじい記憶力を誇り、あるときみんなで囲碁の対戦を鑑賞していたとき、その石がばらけてしまった。すると王粲が事もなげに局面を再現してしまい、再開が叶ったという。

 とんでもない耳や記憶力を持った二人。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る