01-13-02 楚四 荘王

 その後「穆王ぼくおう」を経て、春秋五覇しゅんじゅうごはのひとり「荘王そうおう」の代となる。荘王は即位後三年間命令らしい命令を下さず、日夜遊びほうけた上で「余を諫めようとする者は殺す」とまでふれを出す。これを見て「伍挙ごきょ」、伍子胥ごししょの祖父が言う。

「丘の上に止まった鳥が三年鳴かず飛ばずなのですが、これは何と言う鳥なのでしょうな?」

「三年力を蓄えたのか! それはさぞ見事に羽ばたこうな」

 また「蘇従そじゅう」も、死を覚悟の上で荘王を諫めた。すると荘王、蘇従の手を取り、これまで散々遊び倒してきた楽器を擲ち、翌日から伍挙と蘇従を重用し、政務を取り仕切るようになった。楚人は大喜びし、また孫叔敖そんしゅくごうと言う宰相をも得、楚は一気に覇権国となった。いわゆる「かなえ軽重けいちょう」を問うたのは、この荘王である。



蒙求もうぎゅう


趙勝謝躄ちょうしょうしゃへき 楚莊絕纓そそうぜつえい

 平原君は賓客を尊んでいたのだが、その中にびっこを引く者がいた。平原君の側妾のひとりが彼を見て笑う。ひっこの男は平原君に「あなたは賓客を尊び側妾を卑しむと聞いた。ならばあの女の首を落とせ」という。平原君、笑いながら適当に返事をする。するとしばらくして平原君のもとから賓客がひとり、またひとりと立ち去った。「あなたが賓客を卑しみ側妾を尊ぶのがわかったからだ」と例のびっこの男が指摘。そこで平原君、側妾の首を落とし、びっこの男に謝罪した。すると再び賓客が平原君のもとに集まるようになった。

 荘王そうおうが酒宴を開いたとき、ふと明かりが消えたという。このとき闇に乗じ、何者かが荘王の側妾のひとりをかどわかそうとする。側妾は抵抗、男の冠の紐を引きちぎった。そして荘王に「明かりを早くともし、冠の紐が切れた男を捜し出してください。そいつが私に狼藉を働いたのです」と訴え出る。しかし荘王は言う。「酒の席でたがが外れてしまったのは私の責でもある。ならばそれで士大夫に恥をかかせるわけにはゆかぬ」と、みなに冠の紐を引きちぎるよう命じた。後日側妾に紐をちぎられた者は荘王のために奮迅の働きを示したという。

 う、うーん、これが美談っぽく語られるのはさすがというしかないですわね……。


柳下直道りゅうかちょくどう 叔敖陰德しゅくごういんとく

 柳下恵りゅうかけい論語ろんご孔子こうしに讃えられてる直言の士。直言がたたり三度の罷免を受けたが、なお生き様を曲げなかった。そこを曲げたら自分ではない、としたのだ。

 孫叔敖は幼い頃に双頭の蛇を目撃した。双頭の蛇を目撃した者は死ぬと言われている。そのため孫叔敖、蛇を殺して埋めた。「他の者にこの蛇をみせるわけにはいかない」と思った故である。そして帰宅後母に泣きつく。自分は死ぬのだ、と。しかし母は言う。「陰徳ある者に天はきっと報いてくださいますよ」と。

 んむー。これも両者に繋がりがあるような、ないような……?

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