03-09-02 晋二 天下統一 上

 西晋せいしん武帝ぶてい司馬炎しばえん司馬昭しばしょうの子、司馬懿しばいの孫である。司馬昭が晋王となったところで改めて誰を後継者とすべきかの議論が起こった。あるものが司馬炎について言う。

「司馬様の髪は地にまで届かれ、その手は膝先を越えます。これは人臣に収まる相ではございません」

 こうして司馬昭が死ぬと晋王となり、また魏帝ぎていよりの禅譲を受け、皇帝となった。司馬懿に宣帝せんてい、司馬師に景帝けいてい、司馬昭に文帝ぶんていとそれぞれ追尊し、宗室らを大いに各地に封爵した。


 晋はついにを滅ぼすべく立った。「羊祜ようこ」が晋側の総督となると、対する呉は陸遜りくそんの息子「陸抗りくこう」を総督とする。両者は国境をはさみ向かい合う。ただし両者間では頻繁に使者が交わされ、陸抗が酒を送れば羊祜は疑いもなく飲み、陸抗が病にかかれば羊祜から送られた薬を「あの方が毒殺なぞつまらぬ手を取ろうかよ」と飲んだ。


 任地にて羊祜は現地人の慰撫に努め、呉軍と戦うときには日時を決め、強襲奇襲のたぐいは行わなかった。陸抗もまた国境防備にあたって「自らにあてがわれた場所を守ればよい、些細なエサにつられてはならぬ」と兵らに告げていた。


 この頃呉帝の孫皓そんこうの政は徳をないがしろとし、いたずらに国土拡張を目論んでいた。そこで占い師に将来のことを占わせると、「靑い屋根の車にて洛陽らくようにお入りになるでしょう」との結果が出た。これは十六年後に青い屋根の車に乗って口に璧玉をくわえ、降伏することを示していたのだが、孫皓はそのことに気付かない。その上で兵を動員し、晋との国境付近を攻撃させた。


 陸抗が孫晧を懸命に諌めるが、聞き入れられない。結局陸抗の言葉が届かないまま、陸抗は死亡した。



蒙求もうぎゅう


鮑靚記井ほうせいきせい 羊祜識環ようこしきかん

 西晋の鮑靚は、自分が前世で井戸に落ちて死んだことを記憶していた。

 同じく西晋の羊祜は前世が隣家の子どもであり、その時におもちゃとしていた金のわっかのありかを言い当て、まわりを驚かせた。

 前世を知るふたり。


句踐投醪こうせんとうろう 陸抗嘗藥りくこうしょうやく

勾践(春秋)&陸抗(三國志)

 勾践は人から旨い酒を貰ったとき、自分は飲まずに川に流して配下兵に飲ませた。旨い食い物を貰えばそれを兵らに分け与えた。入手した一人分の酒や食料を数千人に分け与えれば当然味もクソもないのだが、その意気に兵らは感動し、五人力、十人力の働きをしたという。

 陸抗は末期の名将。しん羊祜ようこと互角の戦いを繰り広げつつ、リスペクトし合っていた。そんな陸抗が病を得たとき、羊祜から薬が送ってこられた。周囲が毒薬なのではと疑い、恐れる中、陸抗は服用。無事回復したという。

 名将の、贈り物にまつわる度量であるとかを並べ讃えた感じですね。正直勾践の振る舞いどーなのよって思うけど。

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