第56話:解消方法

「それで、只の魔力切れじゃないってどういうことだ?」


ドヤ顔している中、俺マリアンに問いかける。


「それはですね! それはですねっ!!」


「いいから早くしてくれ。マリアンの余裕さを見たら、安全なのはわかったから」


「ひどい!? 確かにそうなんですが!!」


「それでマリアン様、娘はどうなってるんでしょうか?」


見かねたノクタールさんが間に入り話を進める。


「それがですね、今のリリアーナちゃんは【神血】を過剰に摂取した為、その中に含まれる優希さんの魔力によってオーバーフローを起こしてるのです!」


ビシッと再度指差すマリアン、何度も人を指差すんじゃない。


「オーバーフローなのに魔力切れ?」


「そうですね、わかりやすく言ってしまうとリリアーナちゃんの魔力が油で優希さんの魔力が水なのです」

「「「????」」」


よく意味が分からない……、皆も首を傾げている。


「あ、あれ? わからないですか?」


「あぁ」「えぇ」「はい」


「がーん……そ、そんなぁ……」


いきなり水と油とかよく訳がわからない……。


「うぅ……あっ、そうだ!」


何か思いついたように両手を前に出し「ムムムッ」と唸るマリアン、すると机の上に液体の砂時計が現れた。


「なんだっけそれ、雑貨屋さんとかで見るヤツなんだけど……」


「え? 優希さん知らないんですか!? 若者なら知ってると思たのに!!」


「いや……わからん……」


「これはオイルタイマーです。水と油を使った砂時計みたいなものですね」


「へぇ、オイルタイマーって言うんだ……」


「きれいっ!」


「素晴らしい精密なガラスだね……」


リリアーナとノクタールさんが覗き込む、抱っこしている姿が堂に入っている。


「それでこれでどう説明するの?」


「それはですね、この色なしの部分が優希さんの血から得られる魔力だとします、それでひっくり返すと」


マリアンがひっくり返すと色の付いた部分が下に流れて上の層には透明な部分のみ集まる。


「こうして足りなくなった魔力を補っていたら、いっぱいになっちゃったんです。でも生命維持に最低限の魔力は残しているから身体が小さくなっちゃったんですよ」


「それだと、俺以外から魔力を受け取った方が良いのか?」


「いや、優希さんでも大丈夫ですよ、ただ魔力の質を変えた方が良いので摂取する場所を変えれば簡単ですね」


「摂取する場所?」


「ユウキ、どうしたの!?」


「ユウキさん、リリアーナ様がどうしたんですか!?」


「〇液です!」


高らかにマリアンが言う直前アミリアとセレーネが飛び込んで来た。


「「「「「はぁ?」」」」」


時が固まった、何言ってるの駄女神コイツ


「だから〇液ですよ? 吸収方法を変えた方が良いだなのでそれで十分です!」


「いやいや、冗談は良いんだけど……」


「冗談じゃないですよぉ!? 後は汗くらいしか……」


「えぇ……」


「わたしはそれでもかまわないでしゅ!」


「いや、流石に絵面がヤバいんで……」


うーんどうしよう……血じゃなくて、別の形に変化させた魔力。


「冗談じゃないみたいね」


「ですね、まさかユウキさんあの状態のリリアーナ様と?」


おい待て、流石にそれは不味いだろ……見た目小学生以下だぞ!?


「変換? 吸収? んん?。なぁマリアン、それって俺の魔力を一回どこかに吸収させてでもいいのか?」


「はい、魔石でも良いんですが。優希さんの魔力に耐えられるものって中々無いですよ?」


「いや、あるだろ。この世界固有の植物が」


俺がそう言うとリリアーナとノクタールさんが手を打った。


「そうだね、あれなら大丈夫かも」


「でしゅでしゅ! あれならいちど、べちゅのまりょくにためこまれてましゅから!」


「よし、物は試しだ。向かおうか」


「「「「はい!(ひゃい!)」」」」


「あれっ? そんな植物あったっけなぁ?」


おい、この世界の神様……。



◇◆◇◆◇◆◇◆

リリアーナと一度戦った後、ボロボロなってしまったので促成の為立ち入り禁止になっていた魔薔薇の庭園へやって来た。


「わぁ……!」


「凄い綺麗……」


だがそこはボロボロの姿ではなく、綺麗に整い咲き乱れている蒼銀の魔薔薇が広がっていた。


「地面や、壊しちゃった部分は治したけど、植物がここまで綺麗になってるとは……」


「ウチの庭師も驚いていたよ、ユウキ殿の魔力に当てられて成長も早いし、数週間は咲いている状態なんだ」


「本当ですか……」


「凄い……この薔薇達の殆どにユウキの魔力が宿ってる」


「良かった、これならリリアーナが吸収しても、問題は無さそうだね」


振り返ると皆は目を輝かせてている、一人四つん這いで落ち込んでる駄女神マリアンを除いて。


「知らない……私こんな植物知らない……(ぶつぶつ)」


「さて、リリアーナ魔力の吸収は出来そうかい?」


「はい! できましゅ!」


ノクタールさんの呼びかけに、右手を上げて元気に返事をするリリアーナ。


「よし、それじゃ試してみよう。っとその前にこれを」


ノクタールさんが大人用のローブをリリアーナに着せて準備完了だ。


「いきましゅ! はぁぁぁ!!」


リリアーナが自身の中から魔力を放出して打ち上げる、打ち上げた魔力は城のてっぺんくらいの位置で拡散して霧散する。


「わぁ……綺麗!」


「凄い……」


あの時とは違い体に吸収されていく魔力で耀に包まれる。


そうして光が収まると元の姿に戻ったリリアーナがそこに居た。



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作者です!

今月にあるファンタジーコンテストの為に1章の加筆及び改稿をしております、差し替えるので楽しみにしてて下さい!


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毎日、そしてここまで読んでいただける方、ありがとうございます!


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