第44話:依頼の終了と新たな問題
それから今回の依頼、【華組の皆の戦闘能力向上】についての報告だ。
「それにしても半月前とは見違える程になったなぁ。華組の皆は言わずもがな、クラスの皆もだいぶ能力上がったようやな」
「とは言っても、クラスの皆をちゃんと見れたのは最初の1週間でしたけどね……」
「いやいや、十分どすえ。うちの我儘に付き合うてくれて感謝してます」
俺が居ない間に巴ちゃんがかなり頑張っててくれたのでクラス全体の能力がかなり引き上がっていた。
「それに、身体強化どしたかいな? あれの訓練のお陰でオリンピック選手以上の動きをしとったのが驚きやわぁ」
「そうですね。まさか、3発程掠めるとは思いませんでしたよ」
西園寺さんに与えた訓練課題のクラスメイトからのボール投げ回避を試してみたけど、想像以上だった。
「いやいや、当たらへんのがおかしいわぁ……言うか優希はんの動き、知ってるとはいえとんでもないどすえ」
「まぁ、あれは身体強化だけですから。実践だと【短距離転移】も組み合わせて動けますから、もう少しトリッキーな動きが出来ますよ」
いつの間にか出来る様になっていた【短距離転移】。今までは身体強化でゴリ押ししてたけど、視覚範囲内なら10メートルくらいまでの短い距離を移動できるようになった。
デメリットは走りながらとか移動しながら使うと慣性が残るから、急停止が出来ない事だけどね。
「本当に、規格外どすなぁ……」
唖然としながら言う花山院さん。
「まぁ、皆には慢心しない様に言ってはおきましたし、多分大丈夫じゃないですかね、ここらへんは中級のダンジョン迄ですし」
「あーそれが……そろそろ優希君の方にも連絡来る思うんやけど」
――ヴヴッ――ヴヴッ!
スマホに着信が来た、誰だろう?
「あぁ、出て構わへんで。緊急の用事やったら確認せなあかんさかいね」
「ありがとうございます。——もしもし?」
「あぁ、繋がった。お久しぶり優希君」
聞こえてきたのは海外出張に出ていた綴さんだ、帰って来たのだろうか?
「お久しぶりです、どうしました?」
「それがね。最近、近畿地方で中~上級の新規ダンジョンが〝複数〟確認されているの」
「マジですか?」
「えぇ、それでその事態に対応できる、優希君達に仲介が可能な私の所に連絡が来たのよ」
確かに、俺達なら安全に探索できるし、群発している事の調査や原因もわかるしな。
「そうなんですね、他の皆には?」
「まだ言ってないわ。今、日本に帰って来たばかりなんだもの」
声がお疲れの様だ、確かジュネーブに行ってるとか言ってたもんな……。
「そうなんですね、疲れ様です。今、補習で京都に居るので皆と合流次第、調べてみますね」
「そうなの? わかったわ、こちらも情報をまとめ次第、新幹線で京都に向かうから。それと、後で一部状態がわかってる資料を確認して送るわね」
「わかりました、ではまた後で」
通話を切ると、立ち上がっていた花山院さんがファイルを抱えて戻って来た。
「お話は終わったんやろか。一応これが目撃証言と、場所を記載してあるんや」
そう言って分厚いファイルを手渡してくる、走り書きとGo○gleのプリントされたマップが貼ってある。
「わかりやすいですね、これって……」
「持ち帰ってええで、そら渡す為のコピーやさかい」
「そうなんですね、ありがとうございます」
「必要やったら華組やクラスメイトにも協力と仰いでもええわ、下級ダンジョンも載ってるし、数はえらいあるもの」
「わかりました、ちなみに作戦に参加した皆の休みって、伸びたりします?」
学生には長い休みは重要だ、無理そうなら俺達で頑張ろう……。
「仕方ないわね、ダンジョン攻略中の日数は後々お休みを作るわ、始業式の後でになるけどなぁ」
「わかりました、ありがとうございます!」
「あ、優希君の方は自分から向こうの理事長にお願いしてな。うち許可を出すのんはあくまで京都校の皆だけやさかい」
「マジですか……」
「マジですわぁ。とは言っても何もしないのは不人情みたいに思えますんで、一つ提案を……」
目を細めてニコリと笑う花山院さん、こういった顔する人ってなんか企んでる時の様な顔なんだけど……。
「簡単どす、政府の要請で優希君達を、短期留学ちゅう形でこちらに来てもらうんどす」
「それって今短期留学してるような?」
確か一定期間の在籍は京都校になってるはず……。
「そら学校同士の取り決めどす、重要なんは政府の方針ちゅう優希はんの手間を全てすっ飛ばす要素どす」
「それで良いの?」
「えぇ、京都校に在籍中は春休み期間中に働いた分、休みを確保いたします。まぁ最大2週間程どすけど」
それだったら、観光もしやすくなるかな?
「わかりました、綴さんに聞いてみます」
「それがよろしいかと、こちらも動きかけるさかい」
「ありがとうございます!」
「ほな、今日はお疲れ様会やん? お話はここで切り上げまひょ」
そう言って立ち上がる花山院さん、ハンドバッグを手に取る。
「あれ? 花山院さんも終わりですか?」
そう言うと、「何言ってるの?」みたいな顔をする。
「うちも呼ばれてるんどすえ、お疲れ様会」
「へっ?」
「ほら、行きまひょ!」
ササッと俺を部屋から追い出し施錠をする、そうして俺の腕を取って歩き始めた。
「いやぁ、優希君のおごり、楽しみどすわぁ」
「あっ、はい……」
ウキウキで俺を連れて行く花山院さんだった。
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作者です。
昨日は更新できませんですみませんでした……。
【ファンタジー長編コンテスト】中間選考突破してました!!
読者の皆様ありがとうございます!!
236万1000PV超えました!!ありがとうございます!
毎日、そしてここまで読んでいただける方、ありがとうございます!
読んでいただける方には感謝しかありませんが!!
♡も4万5700超えました!!
毎日ありがとうございます!!
☆も1329になりました、1320超えました!ありがとうございます!
感想も新規ブクマもありがとうございます!!
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