第5話:変わる地球と変わる神様【改稿版】

 ゴブリンを倒した二日後、今日は日曜日だが朝からメディアはとある件で一色だった。 

 その日、日本……いや、世界は大きく変わった。

 各国の政府より、ダンジョンとモンスターの存在が確認されていた事とそれに対する対策が発表された、それによって昨晩起きた事件である、警視総監邸襲撃事件と警視総監夫婦の訃報が流れた。


 ダンジョンの発生と同時期に、世界各地で【ジョブ】を持つ者達が現れ始めたと、ニュースでやっている。

 ちなみに日本第一号の探索者は、先程の警視総監宅を襲った事件でゴブリンを倒した娘さんがなることになった。


(ふーん……探索者とジョブねぇ……昨日の力が関係しているのかな?)


 そのままにしていると記者会見が流れ始める、すると俺の視線が釘付けになった、テレビに映る鳳さんの美人さに。


 沢山のフラッシュを炊かれた彼女は黒と緋色が混じった髪をポニーテールに束ね、スーツを着用している。真っ直ぐ前を向いていた力強さを感じさせる顔も均整が取れている、なにより目を引かれてのは瞳で凄く綺麗だ。


(あの目……誰かに似てる? でもこっちの世界に友達なんて……)

 

 まただ……またこっちの世界とか考えてる、少しおかしいな……。


「どうしたの優希、ボーっとして」

「いや、こんな綺麗な女の子っているんだなと思ってね……」


 母さんに突然声を掛けられビックリし、思わず言ってしまう。


「はぁ……アンタ、耀ちゃんに刺されるよ?」

「え? 何か言った母さん?」

「いや……息子の葬式を決めないといけないかなと、考えてたとこよ」

「酷くね!? どうして!?」


 母さんからの横やりが入ってる間に、記者会見が終わっていた。

 それからは警視の方と内閣府の職員より、人類の敵となる魔物についてや突如発生したダンジョンについて様々な説明がされた。

 それから学校や地区毎に緊急時使用するにシェルターを設営する事の説明や現在判明しているジョブの説明等が解説された。



 要点としては

 ・全世界でファンタジーに出てくるようなモンスターが出現。

 ・そのモンスターが生まれるダンジョンと呼ばれる場所が出現。

 ・付随して世界中で能力(ジョブ)を持った人間が生まれる。

 ・現在ジョブの発現がみられたのは40歳以下のみで子供のが発現割合が高い。

 ・現時点でジョブについては近接職しか発見されていない。

 ・ダンジョンは国の管理下に置かれダンジョンへは許可証の発行が必要。

 ・能力検査やダンジョン許可証の発行は無料で行える。

 ・能力が強く発現した人は体に特徴が出る、里菜さんは髪色に赤が混じった。

 ・里菜さんは高校2年生(ココ重要)。

 ・未成年の探索者は近い内に設立される予定の探索者専門学校に編入する事が出来る。

 ・尚、編入試験が存在しており、それにはダンジョンが使用される。

 ・成人の探索者は公務員として扱われる、公務員は給与は基本給+出来高(非課税)。

 ・探索者の死亡は自己責任(見舞金や遺族年金制度が適用される)。

 ・能力を用いて犯罪をした場合重罪になり得る。


 ざっとフリップで出されていたのはこんな感じだ。


「優希、アンタなるつもりなの?」

「うーん……人助けになるだろうしなぁ……」


 母さんの言葉に、深く考えずに言う、すると母さんが笑いだす。


「あはは、流石お父さんの子ね、私としては無理してほしくないけど。決めるなら耀ちゃんと話し合ってからにしなさいよ」

「そうだよなぁ……幼馴染だしちゃんと話し合わないとな」

「そういう事じゃないんだけど……はぁ……」


 そう言って母さんは仕事へ向かった。


「はぁ……あんな美人と付き合えたら最高なんだろうなぁ……」


 朝食を食べた俺は洗面所へ向かい顔を洗う、一昨日あんなことあったし何か変わってるかな。

 だが悲しくも、見た鏡や廊下の姿見に映る俺の顔や体には何も変化が無い、至って普通のモブ顔が映っていた。


 母さんが置いて行ってくれた朝食を食べ終え、部屋に戻りラノベを読む、実に優雅な休日だ、窓から見える耀の部屋は窓が開けられ掃除機をかける幼馴染の姿が見えた。

 

「がんばって……ふぁぁぁぁ……眠いな……」


 初夏とは言えすでに外は夏の様相で暑いが、室内はクーラーを入れているので極楽である。


「涼しいし……昼寝するか……」


 そしてちょうど一冊を読み終えたところ急激に眠気が来たので、贅沢に昼寝をしようとベッドへ潜り込む、すると意識がすっと落ちていった。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


 気がつくと真っ白な世界だった。


(そういえばここって神様の……んんっ? なんで神様ってわかるんだ?)


「あぁ、それはね。向こう世界とこちらの世界の君の記憶を混ぜ合わせてるからだよ!」

「え? だれ!?」


 突然の元気な子供の声に驚きが振り返るととんでもない美少年が居た。


「やっほー優希君、おひさ~」


 少年はニコニコしながら声をかけてくる。


「えっと……誰ですか?」


 こんな少年は知らない、しかも美がつくレベルのだ、一度見たら忘れる訳が無い。


「あぁ、そっかこの姿は初めてか、というかまだ記憶が馴染んで無いのかな? 君を異世界に送った神様で〜す、神力使いすぎて若くなっちゃった(テヘペロ」


 そう言われ頭によぎる、俺を異世界に送った神様。


「えぇ!? あのシ〇ワちゃんばりの筋肉ムキムキマッチョマンの神様!?」


「そうそう、その神様」


 そうして指を鳴らすと、殺風景な空間に大きなクッションとテーブル、その上にティーセットが現れた。


「とりあえず、お茶でもしようか」


「はい……」


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