第5話:婚約指輪②<春華・冬華編>
広くはない店内なので二人はすぐ見つかった。
「春華、冬華、気に入ったものは見つかった?」
「「あ、優希お兄さん(ちゃん)」」
二人の後から見ている物へ目を移すとそこにはペアリングのコーナーだった。
「ペアリング?」
「そうですね、私達双子なのか嗜好が似るんですよ」
「それはとても良く知ってる」
二人共匂いフェチだったり妙に甘えん坊だったり、互いが居ないと寂しがったり、互いの事が大好きだったりする所をよく見るのだ。
「だから二人共似たデザインのものが良いかなーって思ってね!」
「そうか、非常に良いと思うぞ」
自然に二人の頭を撫でながら答えると二人は顔を赤くして俯く。
「ん?どうした?」
「いや…おにーちゃんがナチュラルに撫でるから…」
「撫でられるのが好きとは言いましたけど、いきなりすぎますよぉ…」
「あぁ、ごめんごめん、それで二人はどんなの選んだの?」
二人が互いにそれぞれ選んだ指輪を指さす。
春華のは【夢見草】《ゆめみぐさ》という桜の別名が名前の落ち着いたデザインの指輪で髪色にちなんだピンク色の宝石があしらわれている指輪。
冬華のは【雪花】《ゆきはな》という名前で少し太目の指輪だが雪の結晶の様な模様が細かく彫られていて真ん中に青色の宝石を使ったデザインの指輪。
双方特徴として二人共パパラチアサファイアとベキリーガーネットといった名前に入ってる宝石のイメージする色とほぼ逆の色が入っているという特徴がある。
「へえ、面白い宝石なんだね、色も二人に似て綺麗だしぴったしだから良いんじゃないかな」
思ったことを言うと二人は顔を赤くしてしまった
「ん?どうした?」
「いやぁ…相変わらず火力高いなぁ…って」
「ですね…不意打ちの一撃はやばいくらいですね」
「まぁいいや、指輪の合わせをしてもらおうか」
「「はい…」」
カウンターに戻ると耀がサイズ調整の為指のサイズを測っていた。
「おっ、二人も決まったんだね」
「二人に似合ったいいデザインがあってね」
「ほう…楽しみですなぁ…」
「店員さん、こっちの二人もお願いします」
「わかりました、ではお二人の指のサイズを測らせてもらいます」
「お願いします」
「きゃー旦那様以外に触れられちゃう〜」
「えぇぇぇぇ!?」
「てぃ!」
冬華に軽くチョップする。
「あいたぁ!」
頭を押さえてジト目でこちらを見てくる。
「冬華、店員さんを困らせたら駄目だろ」
「えっ?えっ?」
「はーい」
「すみません、続けて大丈夫です」
「あっ…はい…」
少々金森さんが困惑しているが続けてもらう。
「はいOKです、それでどちらの商品になりますか?」
金森さんは商品台帳を取り出し来た。
「えっと、光と夢見草と雪花ですね」
「そうですね…その三つでしたら直すのは一つで済みますね、どうされますか大体1時間くらいで直せてしまいますが」
「そんなに早く直せるんですか?」
「本来は数週間かかるのですが、ジョブに目覚めてからはすぐ終わる様になったんですよ、今日は他に作業が無いですし超特急で仕上げれますよ」
「じゃあお願いします、代金は?」
「えっと…3つで70万円ですね」
「判りました、時間あるみたいなんで銀行寄ってきます」
「わかりました、それじゃあお名前だけ伺ってもよろしいでしょうか?」
「えっと、上凪優希です」
「上凪さんですね…上凪さん!?」
「どうした急に」
「いや!今話題の上凪さんですか!?」
「えー話題になってるんですか…」
「そうですよ!今朝もニュースでやってましたし!見てないんですか!?」
「あーえっと…」
「今日は入学式なのに優希が寝坊したのよ」
ニヤニヤ顔で耀が言ってくる。
「それじゃあ隣に居るのは…黒銀の―天姫―の水城耀さんでうか!?」
「落ち着け、語尾がおかしいぞ、それになんだその天姫って」
「すみません、つい…水城さんのファンですので」
「「え゛…ファン!?」」
「そうですよ!凛々しく戦い!神々しく敵を殲滅する!あの姿を見れば惚れます!」
そう熱を持って語る金守、キャラ代わりすぎだろ。
「じゃあじゃあ私達は~」
冬華がワクワクした顔で金守に聞く。
「えええええええ、―天穹―の小鳥遊冬華さんと、まさかそちらに居るのは―揺篭―の小鳥遊春華さん!?????」
「そのゆりかご?とか、わからないですがはい私が春華です」
「私が冬華だよ~」
「だからなんだその二つ名…」
「今ネットで定着した二つ名ですね、因みに上凪さんは―神閃—と呼ばれてますよ」
「マジか…」
「マジですね!」
「まあまだ一般人には定着してないですが、一部の人はもう知ってるかと」
「マジか…」
「でもここに来るまで、良く騒ぎになりませんでしたね」
「まあ、耀達と歩いてると色んな視線に晒されるからな…」
「だから、私が気持ち悪い視線向けられてる時に間に入っててくれたのね」
「私は慣れてるからいいけど春華はそうゆうの嫌だもんね…」
「そうですね、優希お兄さんには何度か助けてもらってますので」
「ばれてたのか…」
「まあ女の子は視線に敏感だからね~」
そう言って女子二人が笑う。
「あのーすみません…もしかして上凪さんとお三方は…」
「あーえっと…まあその…」
気不味くなり言葉を濁していると…
「三人とも婚約者だよ♪」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
冬華の爆弾発言で金守君の脳が破壊されてしまった
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あとがき
作者です。
10万1千PV超えました毎日地味に伸びてて感謝!
♡も2200超えました!
ブクマの新規登録ありがとうございます!増えたり減ったりしてるけどw
今回のお話で宝石調べたけど中々に面白いですね。
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