第4話:婚約指輪①<耀編>

カフェテリアから見える景色の説明をしてくれた巴ちゃんが、突然俺達の背後に居た。


「わー巴ちゃんだーおひさー」


「お久しぶり、冬華ちゃん」


「巴ちゃん、お引っ越しは?」


「先程終わりましたよ、春華ちゃんと冬華ちゃんのお部屋も準備済みです」


「すみません、手伝えなくて…」


「大丈夫ですよ、私も全くやってないですし。全部業者さんとばあや任せですから」


「それでも、ありがとうございます」


「ありがとー巴ちゃん」


「ふふっ、このままだと堂々巡りになっちゃいますので受け取って終わりにりましょうか」


そう柔らかく笑う巴ちゃん、何か雰囲気が変わった様な。


「どうかしましたか?優希さん」


「あっ、いやなんか雰囲気変わったなーって思って」


「昨日のお見合いで色々ありまして、一皮むけました」


「そうなんだ、良かった…のかな?」


「ふふっ、私的には最高でした」


「では、私はこれから用事がありまして。皆様失礼致しますね」


「そうなんですか…残念です」


「巴ちゃんと一緒にお昼食べたかったなー」


寂しそうに、春華と冬華が言う。


「そうでしたら今日の夜ご飯、皆様で一緒に食べませんか?」


「いいの?」「良いんですか?」


「えぇ!それはもう、今日とゆうかこれから会いに行く方が御爺様でして。夕食にも御爺様と食べる予定なんです。それに御爺様が優希さんにお会いしたいと…」


「えぇ!?俺なんかやらかした!?」


「いえいえ、昨日の引き取った子供の件ですね」


「成程、良かった、また何かやらかしたかと…」


「まあ、それだけじゃないと思いますけど」


「え゛」


「では後ほど、ご連絡しますね、皆様失礼します」


一礼して去っていく巴ちゃん、俺死刑宣告されませんでした?


ギギギっと振り返ると皆が苦笑いしていた。



◇◆◇◆

それからカフェテリアで昼食を食べた後、今俺と耀と春華と冬華は東京の御徒町まで来ていた。


「母さんに聞いたら御徒町が安くて良いのが多いからおすすめって聞いたんだけど…どこのお店とかは教えてくれなかったんだよね…」


「まぁ、まだお昼過ぎだし色々見て回りましょう」


「さんせーい」


「そうですね」


それからしばらく4人でお店を探したり色々と巡っていると裏路地のお店が目に入った。


「どうしたの優希?」


「えっ?ああ、あそこのお店」


「オーダージュエリー?」


「中々見ないなーと思ってね」


「行ってみましょうか?」


綺麗音でドアベルが鳴る、入ってみると店内は薄暗く、置いてある商品にだけスポットライトが綺麗に当たる展示方法だ、宝飾品がとても綺麗に見える。


「いらっしゃいませーってその服は!?」


「え?」


「ああ、すみません。僕は金守かなもり 弘幸ひろゆきです、探索者学校の新入生です」


「そうなんですね、学科は?」


「クリエイタークラスですね、鎧の整備や装備品の彫金等もしてますね」


「それじゃあ、ここに置いてある商品は金守さんが?」


「3割僕の作品、5割が父の作品、2割が引退した祖父の作品ですね」


「親子3代でやってるんですね、それに同年代でお店に出せる商品を作るなんて」


「僕のやつはまだまだですよ、気になるのがありましたら声を掛けて下さい、必要であれば使われてる宝石の説明とかさせていただきますよ、石言葉もありますし」


「ありがとうございます」


それから店内に居る三人を見て回るとそれぞれ作品に釘付けになっていた。


「耀?何か良いのあったの?」


「あーうん。これがね、気になって」


耀が見ていたのはイエローダイヤとその周囲に小さめのダイヤを使った【光】という作品名の指輪だ、20万ちょっとの価格でお手頃だ。


「耀が気に入ったらそれで良いんだけど、結構シンプルなの選ぶんだね、婚約指輪ってもっと大きい石でゴテゴテしたものだと思ってた」


「どこの世界の話よ…まぁ普段からつける婚約指輪だし、学生なのにそこまでゴテゴテしたものは選ばないわよ…」


「そうゆうものなのか」


「そうゆうものよ」


「それにそこまでお金無いでしょ優希」


「それなりにはあるよ、来る前に綴さんからメール来てて、預金を見たら億入ってたし」


「億!?」


「まあこの間のあいつの討伐代だよ、これでも10分の1だけどね。色々と入用になるし1億円だけ貰って、残りはあの事件の被害者の人達に分配したよ、それでも少ないだろうけどね」


あの事件では両親も殺されてしまった子供も数人居たがその子達は、巴ちゃんの家が引き取ったそうだ。


それに子供を亡くされた家庭に申し出た見舞金は、生き残った身寄りのない子供達の為に使って欲しいと頼まれたので、巴ちゃんの家を通して進学や独り立ちに扱えるように保管してもらうことになった。


「なので金はある!何百万だろうが値段は気にするな!」


「いやーそんなドヤ顔で言われても…てか何百万もの指輪はいらないわよ、ゴテゴテして使いづらそうだし」


「まあ何百万は冗談だけど、耀の好きな物を買っていいよ」


「じゃあ私はこれが良いわね、一目惚れしたものだし」


「わかった、じゃあ店員さんにサイズが合うか聞いてみるね、必要なら直してもらわないと」


「じゃあその間に他の二人を見て回るよ」


「おっけー」


さてさて、二人はどんなのを選んだんだろう?








---------------------------------

あとがき



作者です。


10万PV超えました~ぱちぱちー。

ここまで長いようで短かったです、ほんっっっっっっっっとうに色々とありました。

この2カ月が滅茶苦茶濃かったです…………

昨日の近況ノートにも書きましたが、これからも頑張って書きますので楽しんで下さい!

♡も毎話感謝です、もうちょいで2200!

ブクマの新規登録ありがとうございます増えてくれて嬉しい!



ちなみに前回倒したボスの討伐代は


優希=10億

耀=4億(口座見て無いからそんなに入ってると知らない)

春華・冬華=二人で6億

です。


今更お金積み始めた政府のお方々、前回の分も含め色付けたんだけど優希はわかってない件。

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