第22話:編入試験① ※残酷描写有り 【改稿版】

 クラスメイトを助けた数日後、編入試験の日がやってきた、学校へは試験を受ける旨を伝えてあるので今日は休みだ。

 先ほど、支度中に耀からウサギがメラメラ燃える炎をバックに『今日の試験頑張れ!』と応援メッセージとスタンプが帰ってきた。

『ありがとう、がんばるな』っとメッセージを返す既読だけ付いた。


(確か今日、向こうを立つんだっけ? となると今は手続きとかで大変なタイミングかな?)

 昨日話していた事を思い出し、スマホを鞄に入れる。


 それから約束の時間になり綴さんの車に乗る。


「おはよー上凪君」

「おはようございます綴さん」

「さあ、早く乗って、試験会場は隣の県だからね」

「それでは綴さんよろしくおねがいします」

「はい、無事上凪君を送り届けますね!」


 母さんとあいさつを交わした後、綴さんも車に乗り出発する。


「ゴメンねぇ、上凪君だけ隣の県で……」

「いえ、それより俺を送って大丈夫なんですか?」

「大丈夫大丈夫、上凪君以外は近場と前拍してる人なのよ」

「そうなんですね、というかそれなら俺も前泊で良かったんじゃ……」

「あーそれがね……基本的に交通費とか経費になるし、しかもそれを削減させないと怒られるし、だから前泊の子達は自費なのよ」

「俺も自腹で良かったんですけど……」

「後はね……私は一応監督官なんだけど昨日も仕事でね……。せっかくだし上凪君の交通費も経費削減出来るし、上凪君の家の近くで泊ってたのよ……」


 遠い目をしてあはは、と乾いた笑いをする、大人はたいへんそうだ……。


(後で、しれっと回復魔法だけ掛けとくか……)


「という訳で、少し走ったらSAサービスエリアで休むわね、試験には間に合うように出て来てるから……」


 それからSAサービスエリアで綴さんが寝てる間に回復魔法をかける、基本的に回復魔法は体力が回復はしないのだが、疲労している部分を回復する効果があるので起きた後の綴さんは目に見えて元気になっていた。

 会場へ着くと他の参加者はまだ到着していなかった、回復してからの綴さんの調子が良く一番最初の到着だった。


「いやー優希君のオススメのドリンク、すっごい効きがいいね。流石お母様が看護師さんなだけあるわね」

「なら良かったです、でもあんまり多用すると、効きが悪くなっちゃいますからね」

「はーい、それじゃあ預ける荷物とかあれば、あそこの建物にロッカーあるからね。それとまだ時間があるし、あそこは休息所も併設されてるからで休んでても良いよ~」

「わかりました、仮眠でもしてきますねー」

「わかったわ、時間が近くなったら呼びに行くわ」


 綴さんに送り出され、休息所に入る、中は綺麗で小上がりに畳張りだった。


「ふぁぁぁ~後2時間位かぁ……寝よう……」


 畳の上に寝転がり鞄を枕にする、朝早かったのもあり意識がすとんと落ちた。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆

「……さん……お兄さん……起きて下さい~」

「おにーさん! 試験始まっちゃうよ!」


 揺さぶられ意識が覚醒する、聞きなれない声に目を開ける。

 すると二人の少女が、俺を揺さぶって居た。


「えっと……?」

「綴さんから起してきてー頼まれたんだ!」

「もう、開始時刻ですので起きて下さいとの事です」

「あ、ありがとう……」


 二人は双子の様で髪色と目の色が桜色と空色でとても愛らしい。


「春華ちゃん? 冬華ちゃん? おにーさんは起きましたか?」


 その声に主を見る栗色の髪に大人しそうな雰囲気の少女だ、後胸がデカい……。


「起きたよー」「起きました」

「で、では……後、10分で始めるそうです」


 おどおどしながら言ってくれる少女、そこに二人が駆け寄る。


「ありがとう3人共。お陰で準備が間に合いそうだ」

「い、いえっ! 頼まれただけですので、失礼します!」

「じゃーねー!」

「失礼します」


 そう言って三人共出て行った。


「さて、俺も準備するか……」


 ロッカールームに向かい動きやすい服に着替えて装備を整える。


「剣と盾、後は投げる様のナイフが数本で良いか、斧はこの間砕けちゃったし……」


 この間の斧を思いっ切り投げたら壁に当たって割れちゃたんだよね……。

 その点ナイフは貫通する事も無いし、軽いので持ち運びがしやすいのが利点だ。


「よし、準備完了!」



 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 荷物をロッカーに預けて外に出ると数グループが集まっていた。

 緋色の髪が目立つ少女を中心とした5人のパーティー、武器は基本的に刀を佩いていて一人だけ荷物とクロスボウを持っている。

 全身鎧を着て剣と槍を持った男性3人のパーティと先程見た女の子達は大きな盾と弓と剣の3人パーティだ。

 ぼーっと観察していると綴さんが、メガホンを持って壇上へ立つ。


「皆さん集まっていただきありがとうございます。本日は探索者学校の特別育成科への編入試験です。試験は規定の基準をクリアーしていただければ合格となります。内容に関して各パーティー毎に別となっております。内容を書いた紙をお渡ししますので後で取りに来て下さい。ちなみにこのダンジョンは、踏破済みですので階層などの把握は済んでおります。危険はありませんがダンジョンは変化する性質を持っていますので何か異常が発生したら切り上げて脱出して報告して下さい」


 綴さんは注意事項などを説明し終え全員を見回す。


「それでは試験内容を受け取っていただいた後、試験内容の作戦会議をして下さい。順番でお呼びいたしますのでそうしたらダンジョンへ入って試験へ臨んでいただきます」


 各パーティーが試験内容を受け取り行く、受け取る順番は最後なので待っていると俺の番になる。


「それじゃあ頑張ってね」

「はい、任せて下さい」


 試験内容を受け取ると、最終階層である第5階層のボスモンスターの討伐とそれに確認できる討伐部位の提出、又は最奥の間に設置された試験用アイテムの回収となっている。

 ボスモンスターはオーク2頭とゴブリン7匹の集団との情報だ。

 情報を確かめていると係員の方が来た。俺が一人なのと、ボスまで行くので一番最初にダンジョンに潜るのは俺となっている。


「さて……行くか」

 入り口が開けられたのでゆっくりとダンジョンへ入る。

 5階層らしいので奥まで数時間かかるし手早く道中も倒していこう。


 ――1階層――

「さて……身体強化と武器強化、駆け抜けますか!」


 身体強化した体で走り出す、道中で出るゴブリンを叩き斬っていく、今回は速度重視なので最低限しか倒さない。


「よし、1階層は終了! 時間は10分か……よしっ、2階層も頑張ろう!」


 次の階層への階段を降りて行った。


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