第23話:編入試験②※残酷描写有り【改稿版】
――3階層――
1・2階層を抜けて3階層に降りてすぐの階段に腰を下ろす、水魔法で飲み水を創りだしのどを潤す。
反復練習で今ではこの位の初級魔法なら無詠唱まで行けた、あるいは脳内で詠唱(集中)すれば出来る様になった。
「ふぅ……鍛えてるとはいえ、2階層抜けるのに20分は頑張り過ぎか……」
渡された地図を見ながら進行ルートを考える。
1・2階層目はゴブリンしか居なかったので楽々進めた、だが注意書きによるとこの階層からオークが出るらしい。
「この間倒したとはいえ、オークは結構面倒なんだよね……」
分厚い肉と脂肪があるせいで刃が止まりやすい、それ故に新兵は出来るだけ失血を狙う戦い方が一番安全だったりする、それか魔法使いが魔法で倒す方が安全だ。
まぁ危険度はあるが魔石のある核を一撃で破壊するか、大型の武器での首を斬り落としたりや頭部破壊での討伐が一般的である。
まぁ正直この間みたいな力技は、武器に負担もかかるし避けたいんだよね。
「さてさて……気をつけならが進もうか」
気をつけつつ進んでいくと、ゴブリンが集まって共食いをしている、かなり珍しい光景だ。
「確か……共食いは上位種が生まれる可能性があるから注意しろって言われたよな……」
とはいえ……どう報告するかなぁ……『上位種』が生まれますなんて言っても信頼されるかどうか……。
「数は3体、武器は手斧とマチェットか。まぁ……ここで討伐しときますか……」
剣を構え飛び出す、身体強化で速度の乗った体重と物理強化を施した盾で1体目を弾き飛ばす、頭から壁に突っ込み潰れる。
「まずは一つ!」
「ギャギャ!?」
「ギルギ――!?」
くるりと回り横薙ぎで残りの2体を斬り殺す、断末魔を上げる前に倒しきれた。
「さて……一応綴さんに連絡しとくか……」
使えそうな手斧とマチェットを回収すると、持たされた携帯電話……ガラケー言うらしいものを取り出す、ボタンを押して一つだけ登録されている番号に電話をかける。
『もしもし? どうしたのかしら?』
「綴さんですか?」
『あ、上凪君。何かあったの?』
「えぇ、モンスター同士が共食いをしていました」
『共食いってあの?』
「えぇ」
俺の返答に少し考え込む綴さん。
『それは〝飢えていて〟の共食いかしら?』
「違います、一般的な形のゴブリン同士なのでもしかしたら何か理由があるのかもしれなくて……」
『わかったわ、こちらでも調べてみるわね』
「あっ、綴さん。それでですね……」
『何かしら?』
「もしかしたら共食いで〝上位種〟が生まれるかもしれない、と思ったんです……」
俺がそう言うと電話口でぶつぶつと考え込む綴さん。
『わかったわ、もしかしたらその可能性があるかもしれない、他の皆には注意する様に言うわ』
「はい、ありがとうございます」
『お礼を言うのはこちらよ。ダンジョンは未知の領域、細かい情報でも参考になるわ』
「はい、なら良かったです……」
『もし、オークの上位種を見付けたら無理せず引いてね』
「はい、今は3階層なので来る人は注意してもらえる様に伝えて下さい」
『え? ちょ!? 3階層って!?』
「探索に戻りますので!」
電話を切って、携帯電話を腰の小物入れにしまう。
「さて……お待たせ……」
正面にはオークが臨戦態勢で立っていた、電話中にやって来てたのでずっと睨み付けていたのだ。
「ブモゥゥ!!」
「はぁ!!」
鈍い音が響く、棍棒を盾で弾き返す。
「悪いけど!一撃で行かせてもらうよ!」
「ブモゥ!?」
核の部分を正確に剣で貫き、一撃で倒す。
本当なら戦闘経験を稼ぎたいけど、今は魔力も体力も温存したいのでこの方法を取った。
剣を引き抜き水魔法で綺麗にする、討伐部位は邪魔になるので今回はスルーだ。
「さて……地図だとまだ三分の一……気を取り直して進もう」
それ以降はオークとも出会わずにゴブリンのみだったので余計な戦闘を避ける事が出来た。
――4階層――
4階層から降りてすぐにオークを見つけたので先程拾ったゴブリンの持っていたボロボロの手斧をオークの側頭部へ投擲する。
―――――ヒュンッ。
凄く小さな風切音がして飛んで行った手斧はオークの頭蓋を割り砕き不恰好なオブジェと変化させた。
「うげえ……やりすぎだな……」
勢い強すぎてグチャグチャになっている、ついでに手斧は所々割れたりしていた。
「もったいない……とりあえず進むか……」
それから進み今度は狭い通路の先にオークが歩いていた、こちらには気付いてないな……。
(この位置なら頚椎狙えるから、1撃でいけるかな?)
出来る限り気配を消して歩く、5mくらいの距離になった所で飛び掛かる、オークが反応したが緩慢な動作なので死角からの1撃で絶命させる。
「よし、これで後少し……」
5階層はセーフエリアを除き、丸々ボス部屋になっているのでそこまで行けば十分に休めるだろう。
足早に進み5階層への階段を降りた。
――5階層――
セーフエリアにて簡単な軽食と休息をする、どういう訳かセーフエリアにはモンスターも降りてこないし入って来れない。
ただ、近づかないので獲物を狩るとかは出来ないのが難点だ。
「昔、エアリスに『小狡いこと考えてないでちゃんと戦いなさい!』って、言われたなぁ……」
そんな事を思い返してるとタイマーが鳴る、立ち上がって伸びをしながら自分の状態を確かめる。
見えないけど魔力はほぼ回復してる、食事も問題無い。
「うん、大丈夫だな!」
ボス扉の前に立ち、少し開けて中へ体を滑り込ませる。
状況を確認する、室内を徘徊してるゴブリンが居て、その背後でオークは寝ている、唯一つ問題があるとしたらオークもゴブリンも双方とも〝色〟が違う、見た感じ変異種か上位種のようだ。
ゴブリンもオークも基本は緑色の体表をしているが変異種は茶褐色、上位種は灰色の体である。
(まずいな、完全におかしい。オークは二体とも変異種と上位種だし、しかもゴブリンの数が多い……囲まれたらヤバいし魔法を使ってゴブリンを倒すか……)
調査書には試験内容には7体と書いてあったが、ぱっと見るだけで20体以上居る、背後に隠れてるヤツを含めると30体はいるであろう。
そして状況把握で気配を消して居たが、徘徊してるゴブリンと目が合ってしまう「ギャギャギャ」と騒ぎ立てると、すぐにゴブリンが集まってくる。
「クソッ!『氷よ数多の敵を射殺す
広範囲にダメージを与えるアイスバレットに竜巻であるウインドストーム混ぜ合わせたオリジナルの
「ギャギャーーーーーーーー」
たちまちゴブリン悲鳴を上げながら巻き込まれ、ズタズタに引き裂かれる。
――――バキバキバキ!
地面も敵も凍り付き風で抉られる、砂や石礫も舞い上がり、嵐が終わると目の前には体の表面が酷く裂かれた上位種のオークと直撃を避けた数匹のゴブリンが立っていた。
「やっぱし耐えられちゃうか……」
背中に備えたホルスターから投擲用のナイフを取り出す、まずはオークの動きを抑えるように膝の部分と顔の部分へ投擲する。
それと同時に身体強化によって魔力を込めた脚で飛び出す、オークの顔へ向かったナイフは顔への直撃を庇った掌と狙い通りの膝に刺さる、そのまま流れるようにナイフの刺さった膝を強化した盾で砕く。
「ブギイイイイ!?」
そこから体を捻らせオークの片腕を斬り取る痛みに耐え切れないオークは再度「ブギイイイイイ」と悲鳴を上げる。
そのまま首まで行けると思ったが、横からゴブリンが突っ込んでくるので一旦下がり距離を取る、再度背部のホルスターよりナイフを取り出しゴブリンを2匹を投擲で仕留める。
「残りは手負いのオークとゴブリン4匹か……」
「ブヒューッ! ブヒューッ!」
「瀕死だし機動力を奪ってるオークを先に仕留めるか……土よ金よ鉄よ自然の剛の者達よ我が眼前に対する巨体を穿ち砕く剛槍となれ――グランドランス!」
詠唱して魔力を高める頭の中で敵を刺し潰す様な大きな土の塊を頭の中で描く。
そのままオークへと発射する、轟音と共に土煙が上がり見えなくなる。
それから土煙が晴れるとオークは上半身が無くなりとゴブリンは磨り潰されていた。
「結局魔法頼りになっちゃったな……でも、大魔法使えるの楽しかったぁ……」
そのまま奥の部屋に行き指定されたアイテムを回収する、目立てないようにしてるのか岩に嵌まっていた。
それを外してポーチに入れる、ついでに携帯電話を出して電話をかける。
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