第16話:初ダンジョンへ……。【改稿版】
一日の授業も終わり、学校から帰ってくると部屋に宅配便が届いてるとの母さんからの書置きがあった。
(母さんは今日、夜勤か……それなら夕食は外でいいか……)
耀も母さんも居ないので何を食べに行くか考える、母さんと耀の食事がおいしすぎてあんまり外食もしないので、こういった時はファミレスくらいしか思いつかない。
とりあえず部屋に戻ると、部屋のど真ん中に馬鹿でかいダンボールが鎮座してた。
こんな大物は頼んだ覚えない、精々予約してたラノベかと思ってたら不意を突かれた形だ……恐々としながら送り主を見ると神様からだった。
「えっ、神様!? というか宅配業者普通に持ってきたのかよ!?」
とりあえずダンボールを剥ぐと、中からカバーに入った凄く懐かしいものと一枚の手紙が出てきた。
『やっほー、元気してる? 君がダンジョン潜ると思ってね、向こうの世界で使ってた剣と盾を送るよ~♪』
その記述通り、向こうの世界で、聖剣を渡される前まで使っていた、
「懐かしいなぁ……それに、綺麗に手入れもされてるや……」
細やかな傷はそのままだったが、剣身に着いていた大きな傷は修復されている、恐らく俺が帰った後なのだろうか、綺麗になっていた。
柄を握ると手に伝わる冷たさが懐かしい。
時計を見ると今の時刻は5時を過ぎたところだった。
「軽くダンジョンまでいくか……確か近くにあったよね?」
パソコンを開き、綴さんより教えられたアドレスを入力する、すると今日現在発見されているダンジョンが表示される。
「ウチの近くだと……自転車で1時間か……」
昔家族で行った事のある山間のキャンプ場、その近くが崩落してダンジョンになっているらしい。
ウチの県は条例で午後11時が補導時間だ、今から支度して出発すれば時間は結構ある……。
「行くか……」
思い立ったが吉日ということで動きやすい服に着替え、剣と盾を背負うと自転車の前籠に服を詰めた鞄を入れる。
「よし! 出発!」
気合と共にダンジョンへ向け漕ぎだした。
◇◆◇◆◇◆◇◆
K県A市初級者ダンジョン
「はぁ……はぁ……明るい内に着けた……」
休み休みだから日が暮れるかと思ったけど全然早く到着出来た。
(ここがダンジョンか……向こうの世界とは違って、意外と綺麗に整備されてるんだな、というか結構物騒な感じだな)
ダンジョンの入り口はここからだと見えないが、高い塀に上には有刺鉄線の返しが置かれている、よくドラマとかで見る刑○所のような感じだ。
5メートル位の監視塔も見え、上には機銃が置いてある。
外からの進入を防ぐというより、内から外へ出さないような設備である。
昨日綴さんから説明された通り、入り口近くの宿舎が入出場の手続き場所となっている。
「しつれいしまー「おう! いらっしゃい!!」」
扉を空けた瞬間音割れするくらいの挨拶が飛んで来た。
見ると、受付に居る迷彩服を着た、ムキムキマッチョの男性がニコニコと笑っている。
「坊主、探索証は持ってるか?(ニコォ~」
とにかく笑顔の圧が強いな、というか怖い……。
異世界であったモンスターとは違うベクトルの怖さだ。
「は、はい……これです……」
探索証を出すと男性は丁寧に受け取り、カードリーダーに翳した後は、手早く手続きを始める。
瞬く間に手続きが終わったようだ。
「上凪 優希君だね、ダンジョンは始めてかい?」
「はい、今日が初探索の日です」
「武器は……持っているようだね、もし必要であれば貸し出しもあるからな!」
「あ、はい。それだったら15cmくらいのナイフはありますか?」
「あぁ、あるぞ。何本必要だい?」
「では、3本で」
「わかった、ナイフは手で持って行くか?」
「バックルとかありますか?」
「あるぞ、ほいっと……」
ベルト式のナイフ入れが出て来る、腰に巻くタイプだ。
「ありがとうございます、後は大丈夫です」
「わかった、それじゃあ荷物はロッカーに入れると良い。詳しいことは冊子を読んでるはずだ、討伐部位なんかはわかりやすいものでいいからな」
「はい」
「よし、最後に……欲張って死ぬなよ?」
「はい、わかりました!」
俺が元気よく返すとニコォ~と先程の様な笑みを浮かべる。
「それと!」
「未成年の探索限界時間は21時だからな、それに間に合うように帰って来い」
「わかりました」
「じゃあ行ってこい!!」
ゲートを通され塀の中に入る、ロッカーに荷物を入れた後、入り口の鉄格子を監視している守衛さんに会釈をしダンジョンへ入る。
(懐かしいな……異世界で始めて入った時を思い出す……)
ダンジョン内部は異世界と同じでヒカリゴケが生えていて明るい、これなら懐中電灯やライトは要らないみたいだ。
周囲に警戒しつつ進みだすのだった。
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