第17話:細川君①

「うわぁぁああぁぁぁぁぁ!!!」


父さん、母さん、耀、そして皆……どうも上凪優希です。現在竜の国ドクリンの神山から獣人の国アストラにすっ飛ばされております。


なぜこうなったかというと……。


◇◆◇◆

「というわけで、霊泉を使わせていただきたいのですが……」


頭を垂れ、跪く劉英リーエンさん、それに続き俺達も頭を下げる。


「ふむ……ホソカワと言ったか? 見た所お主の才覚は限りなく低いな、このままでは霊泉を飲んだところで大して変わらぬわ」


ティアさんが足を組み替えながら品定めをする。


「えっ……」


不安そうな顔でティアさんを見る細川君、その顔に対して面白くないといった凄く不満げな顔をする。


「まぁよい……ユウキの頼みでもある。ホソカワ、ここには妾が集めた武具がある、それを使いそこな娘を守ってみせろ」


綺麗に整頓された武具をと土御門さんを指差し、つまらなそうに言う。


「えっ?」


「何を呆けておる、試験をしてやろうという事だ」


ニヤリと笑うティアさん、何か背筋にうすら寒さを覚える笑みだ。


「ほれ、早くしろ。30数える間に準備をしなければそこな小娘を殺す」


「「ええっ!?」」


驚く細川君と土御門さん、そりゃ当然だよね……。


一応人の形は保っているがこの世界での絶対的な強者の真龍だし、この程度の傍若無人っぷりは当然とも言える。


「それとユウキ、お主が居たら駄目じゃ、邪魔過ぎる。それ故……飛んでおけ!!」


首根っこを掴まれ投げ飛ばされた。


◇◆◇◆

という訳で、投げ飛ばされて早30分。勢いが衰えず今だに空中に居る。


(魔力で飛ばされてるから勢いが落ちない分、落下の心配はしてないけど。そろそろ戻らないと、ティアさんに怒られるよなぁ……)


「ふぅ……『——魔装・ホルス!!』」


魔力を纏い翼を生やす、大きく旋回しながら元の方向へ飛ぶ。


「なるべく上空へ……寒い!!」


呼吸は問題無いんだけど、標高4000メートル超える山から空に飛ばされたのですっごく寒い……それに速度が半端ないので温度調整が間に合わない。


「あががががが……鼻水がごおりばじめだぁぁ」


垂れて来た鼻水が凍って飛ばされる、キラキラと光ってるのがなんか憎い。


そして僅か15分程でティアさん達の元へ戻ったのだが……。


「全く、つまらないのぉ……」


辛うじて五体満足の状態の細川君がボロボロの状態で倒れていた。


「優希さん、細川君が……」


俺に気付いた土御門さんが縋るような目で俺を見た。


「ユウキ、治療はまだするな。そ奴を持ってついてこい」


「あ、はい……」


「優希さん私も……」


ついて来ようとする土御門さん、それをティアさんが止める。


「小娘は付いて来るな。劉英、小娘の相手をしてやれ」


「かしこまりました、真龍様」


恭しく跪く。


「ほれ、行くぞユウキ」


手招きをするティアさん。


「わかりました……細川君生きてる?」


担ぎあげながら問いかけると、ボロボロの状態だが意識はあるみたいだ。


「はい……ありがとうございます……」


「無理に喋らないで良いよ、傷に響くでしょ」


「あん人……でたらめすぎる……」


「まぁ、ティアさんだしなぁ……」


「それに、たいぎゃ手加減された……はがいか……」


どうやら、細川君の攻撃は全部指一本で返されたらしい、それでいてティアさんの攻撃は意識を失わない程の絶妙な攻撃だったとの事だ。


「ユウキ、そ奴をここに寝かせろ」


ティアさんの指示で石の窪みに寝かせる、何かこれバスタブみたいだよな?


「少し待っておれ……」


竜に戻ったティアさんがどこかに飛んでいく。


「とりあえず、首痛いかもしれないからタオルを挟んでおくね」


「ありがとうございます……」


暫くして大きな桶を持って来た。


「ユウキ、コレを受け取ってくれ」


10メートル位の桶を受け取りながら中身を見る。


「これは……水?」


「あぁ、霊泉の水よ。これを体が浸かるぐらいに溜めてやれ」


人化したティアさんが隣に来る、全裸で。


「わかりました、魔法は……」


「使うな馬鹿者、ユウキも魔力で変質してしまう」


「わかりました」


空間収納アイテムボックスから梯子とバケツを取りだして霊泉水を汲んでいく。


「おぉ……凄い……」


バケツに入った水を注ぐと濁った血が流れ出て霊泉水が体に吸い込まれる。


「これ……相当大変ですよね?」


「うむ、最近お主も鍛錬をサボってたじゃろ?」


(ぎくっ……何でバレた?)


「この腹じゃよ」


「あだだだだだだだだ!?」


脇肉抓まないで!!


「ほれ、別の世界から帰って来た時は。かなりスラッとしてたのに……嘆かわしい」


更に、ギューッと力が籠められる。


「ぎゃあああああ!?」


「という訳じゃ、動け動け!」


せかされるティアさんによって、相当な回数の往復運動をする事になった。



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作者です。

書いてて長くなったので分割します!


【ファンタジー長編コンテスト】へ出しております!読者選考期間も終わりまして中間突破が出来ればと思います!


211万6000PV超えました!!ありがとうございます!

毎日、そしてここまで読んでいただける方、ありがとうございます!

読んでいただける方には感謝しかありませんが!!


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毎日ありがとうございます!!

☆も1260になりました、めちゃ増えてて感謝です!!

感想も新規ブクマもありがとうございます!!

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