第5話:後方支援組の魔力講座

「さて……、理事長先生に色々と便宜を図ってもらったので、皆の戦闘技能について見せてもらいと思います」


武道館に集まった皆の前で言う、すると皆が息をのむ。


「という事で準備運動をしてから集まってね」


「「「「「はい!」」」」」


その掛け声と共に、皆が準備運動を始める。その間に後方支援組の元に行く。


「さて……ここに居る皆、各々武器は何を使ってるんだい?」


「はい、武器は弓です」


「私はボウガンです」


「私も」「俺も」と続いていき、10人程の中で3~4人が弓を残りの殆どがボウガンを使っている。


(後は、土御門さん達か……というか西園寺さん準備運動してるんだけど……まぁ、鍛えるのは悪い事じゃないしな)


「それじゃあ皆、質問なんだけど〝何で矢が通る〟と思うんだい?」


「矢が……通る?」


「えっ?」


「う、うーん……?」


皆が疑問に首を捻る、確かに普段から使っている人は武器が通るから使っているという感覚で使っているのだろう。


「じゃあこう考えよう、『ボウガンを使えばモンスターの外皮は誰でも抜けるのか?』ってね」


「それは……」


「抜けるんじゃないですか?」


「抜けるよね?」


「私に聞かれても、わかんないよ」


互いに顔を見合い、思い思いの意見を交わす。


「うん、それじゃあ試してみようか」


空間収納アイテムボックスからオーガの外皮を取りだす、年末に依頼を受けて討伐してきた時の物だ。


「上凪さん……それは?」


弓使いの女子が疑問を呈す。


「これはオーガの外皮、少し前に狩った時のやつなんだけど、試しに撃ってみようか」


「えぇ!?」


驚いて口を開いている女の子を、外皮から20メートル位の位置に立たせる。


「それじゃあいつもの通り、撃ってみよう!」


「は、はい!」


精神を統一して弓を構える、アーチェリー用より少し大きいコンパウンドボウだが難なく引いている。


(うん、魔力の流れも綺麗だね、これなら貫ける)


「はぁ!!」


一声ひとこえ一閃、飛んで行った矢はオーガの外皮を貫通して土壁に刺さる。


「うん、貫けたね、それじゃあ……」


走っている男子の中で魔力の低い人を探す。


「おーい、そこの剃り込み入れてる君!」


「えっ、俺ですか?」


反り込みを入れた彼の足が止まる。


「そうそう、ちょっとこっちに来てくれるかな?」


「は、はい……」


走って来た彼にクロスボウを手渡す。


「あそこにあるモンスターの外皮、そのクロスボウで撃ってみて?」


「は、はい……」


狙いをつけて構える、息を飲んで撃ち出す。


――ガキンッ!


「「「「「!?」」」」」


外皮に矢が弾かれる、落ち込んでる彼に準備していたもう一つのクロスボウを手渡す。


「もう一度撃ってみて」


「はい、でも俺じゃ刺さりもしないですよ?」


「大丈夫、次はいけるから」


「は、はい……」


不安そうな顔の彼が構えて撃つ、今度は綺麗に貫通して土壁をい抉る。


「「「「「んなぁ!?」」」」」


皆が驚く、その中で土御門さんと賀茂さんは魔力の流れタネが見えていたようで、皆とは少し違う驚き方をしていた。


「えっ、ええっ!? 俺が!?」


「うん、実はまだ公にはして無いんだけど皆の中には魔力や法力・神通力というものが少なからず存在してるんだ。それでその魔力を纏わせるとモンスターの外皮はいとも簡単に斬ったり貫通できるんだ」


爪楊枝に魔力を纏わせ外皮にぶすぶすと刺していく、みんなは目玉が飛び出る程の驚きをしている。


「ここで一つ、じゃあ魔力の少ない人でも戦えてるのは何故かって話になるんだけど……それは剣士や戦士組の領分だからね、そこらへんはその内また座学で教えるよ、とりあえず君はありがとう準備運動が終わたら皆を呼んでくれ」


「はい! ありがとうございました!」


剃り込みの男子は、足取りが軽く前衛組に戻って行った。


「という訳で、後方支援組の皆は全身に魔力を行き渡らせる為の練習を積んで欲しいんだ、それが一段階目。次にはその力を無駄なく矢に込める練習になるからね」


「でも、上凪さん。私達、魔力を意識して使った事なんて……」


弓使いの女の子が手を挙げる、くりくりとした目がかわいい子だ。


「うん、だから皆が矢を射る時の〝精神的な集中〟をして欲しいんだ、ボウガンの人も狙いをつける時には集中するじゃん?」


「あっ……」


何かわかった様だ、でも中にはわからない子もいるようで。


「わからない人はこっちにおいで、少し荒療治だけど魔力を通してみるよ」


笑いながら言うと皆が息を飲んだ……。


「優希さん……怖がらせてどうするんですか……」


「あでっ……巴ちゃんおかえり」


「はい、ただいまです」


丁度良い、巴ちゃんで実演しよう。


「じゃあ巴ちゃん、皆の緊張をほぐす為に実験台になろうか♪」


「ふぇ!?」


「大丈夫大丈夫、いつもの回復魔法だから」


「あ、そうなんですね……」


何で残念そうな顔するの……。


「それじゃあ、行くよ。両手を繋いで、足先は俺の足先に乗せていいから」


「はい」


繋いだ手と乗せた足先から魔力を流す、左側から右側へ。それで魔力を循環させていく。


「はいっ、終わり」


「ふぅ……ありがとうございます。最近肩こりが酷くて……」


その言葉に思わず視線が胸に行く、最近また大きくなった言ってたし、定期的に肩もみしてあげるか……。


「という訳で、皆さん大丈夫ですよ。体が元気になりますので♪」


上機嫌に言う巴ちゃんによって緊張が解れたのか、後方支援組全員に回復魔法を施すことになった。



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作者です。


【ファンタジー長編コンテスト】へ出しております!読者選考期間も終わりまして中間突破が出来ればと思います!


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毎日、そしてここまで読んでいただける方、ありがとうございます!

読んでいただける方には感謝しかありませんが!!


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