|幕間|動き出す悪意

――都内某所警察病院――


暗闇の中蠢いている影が複数居る。


「Does it fit here?(ここで合ってるか?)」


「Ahh(あぁ)」


「So let's get this done quickly.(じゃあさっさと済ませるか)」


裏口から侵入してきた男達は非常階段を進む。


そうしてとある病室の前に到達する。


◇◆◇◆◇◆◇◆

「Now, let's quickly finish this guy we brought out.(さて、連れ出したこいつをさっさと仕上げるか)」


「んん……なんだおま……んぐぐ!!」


「少し黙れ、今お前を自由にしてやる」


「(コクコクコク)」


「Hey, I'll install it quickly.(おい、さっさと取り付けるぞ)」


「もごもごもごもっご(おい! なんだそれは!! やめろ!!!)」


「Tsk, that's annoying(チッ、うっせーな)」


黒ずくめの男は注射器を取り出して、ベッドに寝ている男に打つ。


「んん!!」


ベッドの男は動きが緩慢になり動かなくなる。


「Okay, it's finished...(よし、仕上げだ……)」


どこからか取り出した結晶を 開胸した所に埋め込んでいく。


「Okay, that's it, now let's move on to the limbs.(よし、終わりだ、次は四肢に移るぞ)」


翌朝になり病院は騒然とした。


1人の再起不能と思われた犯罪者が逃げ出したのだ。



◇◆◇◆◇◆◇◆

――ダンジョン庁・長官室——


――コンコン。


「入れ」


「失礼します」


制服姿の若者が長官室へ入って来た。


「今日はアポなしの急な訪問失礼します」


「いえいえ、今日は一体どうされましたか?」


「それがですね……」


若者が今朝起きた事を、事細かに報告していく。


「そんな事があったのか……」


「えぇ、被告は現在逃走中。こちらでも捜索はしておりますが……どうも痕跡が巧妙に隠されていまして……」


「わかった、こちらは何をすればいい?」


「特には……とはいえ逃げた者が逃げた者なので上凪さんに警護と連絡を……」


「わかった手配しよう……」


「すみません……助かります……」


「それと、今回の件は裏で糸を引いてる者が居るかと……」


「ふむ……テロリスト達か……」


「恐らく……」


「その件も連絡しておこう」


「ありがとうございます」


そうして話し合いが終わりスマホを取り出す。


「ふぅ……厄介ごとがどんどん来るな……」


◇◆◇◆◇◆◇◆

「————♪♬♪♬」


(ん? こんな朝早くから誰だろう?)


スマホの通話ボタンを押して出る。


「はい、上凪です」


「すまないね、私だ」


朝から聞き覚えのある渋めの声がスマホから聞こえて来る。


「ゴンさん?」


「うむ、おはよう」


「おはようございます」


「まだ、学校には行ってないかね?」


「えぇ、今日はまだ補講なので少し遅いです」


今日は補講も最後なので10時過ぎに出発だ。


「そうか、良かった」


「それで、どうしました?」


「それがな……」


どうやら久墨がテロリストの手を借りて脱走した様だ。


「マジですか……」


「君達に注意しろなんて言うのは過ぎた事かと思うが一応注意してくれ、今日は学校を休んでもらってもいいぞ、こちらから連絡をしておく」


「わかりましたお願いします」


「では、今日は家族と一緒に居なさい」


「はい、わかりました」


通話を切って、朝食へ向かう、今日は休みだし何しようかな。



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