エピローグ:ならば目指そうハーレムを!【改稿版】

「はぁ~い優希くん、目が覚めたって聞いてスマホとか持ってきたよぉ~」


 入ってきたのは目の下に隈を作った綴さんで、試験会場に置いてきた俺のバッグを持っていた。


「スマホはすぐ使うと思って充電しながら持ってきたさー」

「ありがとうございます、助かります!」


 有り難いことにフル充電でスマホは帰ってきた。


「スマホ預けてたのね。知らなかったから、飛行機から降りたらめちゃくちゃ着信入れちゃってたわ」

「あー預けてる事メッセしとけば良かった……」


 スマホを開くと、確かに履歴が100件近く入ってた。


「それにしても、お熱いね~お二人さんはぁ~」


 ニヤニヤしながら綴さんは茶化してくる、ふらふらしてて危ない。


 念の為軽く回復魔法をかけておくか……。

 無詠唱でヒールを使う、目の下の隈は良くならないけど血色は良くなっている。


「大丈夫ですか? 凄く眠そうですけど……」

「大丈夫大丈夫、これで私の方も確認したい事が確認できたし」


 確認? 何かあったのかな?


「そうそう、お二人に聞きたいんだけどさ、優希君って身体を治せる魔法使えるでしょ?」

「「へ?」」


 突如核心を突く一言にマヌケな声が出る俺と耀。


「いっ、いったいどうしたんです? 綴さん」

「そ、そうですよ~そんな便利な魔法あるわけないですよ~」

「隠さないでいいよ~ほぼ確信してるし。それにちゃんと教えてくれないと、何かあった時、優希君を守れないからね」

「うっ……でもどうして……」

「そりゃぁ今私の前で使ったでしょ?」


 顔の下の隈を擦るとメイクが崩れ、綺麗な状態の綴さんの肌が見えた。


「やられた……」

「ゴメンね~、眠いのは本当だけど。それを利用させてもらっちゃった」

「アホ優希……」

「んで、どのくらいの傷や欠損は治せる?」

「正直、死なないならどこまでも、それと生やすより接合して、その傷を治す方がちゃんと治ります。それと病気は無理です、体力の回復というか筋肉痛とかの疲れを取るのは出来ます」

「そうなのね、となるとやはり以前優希君家ゆうきくんちの近くでゴブリンに襲われた女性の治療は優希君だったんだね~」

「そうですね、そのとおりです」

「まぁその事は、秘匿としとくよ~治療は古傷とかも治るの?」

「そうですね、治すことが出来るとは思います……試した事無いので……」


 エアリスの回復魔法だと古傷や、昔無くなった手足も再生させてたけど……俺は試した事無いからなぁ……。


「え? じゃあ優希脱いで?」

「ふぁ!? 耀!?」

「いやー耀ちゃん……熱々なのは判るけどさぁ……いきなりおっぱじめようとしないでよ……」

「え? あっ、いやその……っ!?」


 俺と綴さんの言葉でやっと意味が分かったらしい、途端に顔を赤くする耀。


「違う違う!! 優希の背中から肩にかけて昔手術した事あったじゃん!」

「そんな事……あったわ……何で覚えてるの?」

「えっ……それは……良いから脱ぎなさい!!」

「あっちょ!? やめっ! らめぇぇぇぇぇぇ!?」


 服を剥ぎとられ耀と綴さんが俺の背中を見る、すると耀が手術痕が消えていると教えてくれた。


「しくしく……もうお嫁にいけない……」

「優希は貰う側でしょ……全く……」

「とにかく回復魔法の性能はわかったわ。それとこの件は一応上層部に伝えますね、でも優希君の能力は小さな切り傷が早く治る程度と伝えておきますね」

「えっと、それって大丈夫なんですか?」


 虚偽申告になるだろうし、正直綴さんが怒られるのは気分が悪い。


「うーん正直に伝えても良いんだけど、その場合確実に実験動物化待ったなしだよ? だって病気以外〝何でも〟治せるんですから。現代医療も裸足で逃げ出す位に異常性ありありですよ、まぁそうなったら優希君は永遠異回復魔法を撃つだけの生活になるけどね」


 現代医療でも腕は生えてこないもんな……そりゃそうだよね。


「わかりました、ありがとうございます」

「それじゃあ堅苦しいお話しは終わり! 私は帰るね~、運転するから少しは寝はしたけど流石につかれたし~」

「あーそれならちゃんと回復魔法をかけましょうか?」

「良いの?」

「まぁ普段の生活ですと、疲労と肩こり腰痛に効くくらいですが……」

「それ、めっちゃ助かる! 肩こり酷いのよ!」


 いや、肩こりはその胸のせいじゃないかな?


「ゆ~う~き~……」

「ひゃい!?」


 耀から凄い圧が……ちらっと見ただけなのにバレたの!?


「あー優希君……こういっちゃなんだけどさ」

「結構、優希の視線はバレバレなのよ……」

「…………マジで?」


 二人がゆっくりと頷いた。


「それじゃあ~また来るわね~」

「はい!」

「コロシテ……コロシテ……」


 俺の絶望をスルーしてひらひらと手を振りながら綴さんは病室を出て行った。


 と、思ったら戻ってきた。


「それと忘れてたよ~、優希君君の編入試験は合格ね~後日パンフレットとかこっちに持ってくるよー」


 そう言い残し綴さんは帰っていった。


 すると面会終了の鐘が鳴る、今から夕食の時間だ。


「なごり惜しいけど、そろそろ私も帰るわね」


 そう言うと耀は立ち上がる。


「そっか……」

「寂しそうな顔しないの、明日も来るから!」

「でも学校があるんじゃ?」

「まだお休み中、それにお父さんとお母さん今こっちに帰ってきてるのよ。今日の事含めて色々報告してくるね」

「え゛っ!?」


 さらりと末恐ろしい宣告をして去ろうとする耀、だが踵を返すとすごい自然な感じてキスをしてきた、しかも口にだ。


「んんっ!?」


 耳まで真っ赤になった耀は「じゃあまた明日!」と言って足早に帰っていった。


「びっくりした……」


 その後夕食を持ってきた看護師さんに、不思議な顔をされたのであった。







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