第56話:追走戦①
里の入り口近くの山の上に到着すると木陰から男達が出て来た、大体20人程……襲撃犯なのだろう目が血走ってる。
「やーっと来たのか……」
「ホント、宴まで始めるから襲うか悩んだよ!」
「まさか追手が二人とか舐められたもんだ……」
「さっさと殺してあの村を襲いましょうぜ!」
「そうだな、若い女は奴隷に、男は皆殺しだな!」
なんだろう、どこの世界にも一定レベルの救えない人っているんだな……。
「ユウキさん! ここは私が!!」
大太刀を構えるセレーネ、魔力が籠っている大太刀がバチバチと魔力を飛ばしている。
「わかった、好きにやって良いよ、フォローはするから」
「はい!!」
「あはは!! お嬢ちゃんがやるのか!!」
「おい殺すなよ! 髪も宝石も金になるからな!!」
――ダンッ。
わめいている襲撃犯へ地面が抉れるほどの踏み込みで距離を詰めたセレーネが一太刀で切り伏せる。
「ぎゃはっははは……はぁ?」
ずるりと肩口から両断された男の半身が地面へ落ちる。
「何だこのガキ!!」
「よくも仲間を!」
「武器を構え……「はああああああ!!」」
セレーネから視線を外した男の首が飛ぶ。
「クソッ!! こんなに強いなんて聞いて無いぞ!!」
「俺達はBランクだぞ! 魔族にだって勝てるんだ!」
「固まれ! 防御を固めろ!!」
リーダー格らしき男が叫ぶと、プレートメイルと盾を構えた集団が防御を固める。
「魔術師! 魔法で攻撃だ! 炎は価値が下がるから使うなよ!!」
リーダーが叫ぶと5人くらいの魔術師が氷や石の
「男は殺しても構わん、撃てぇぇぇ!!」
「はぁぁぁぁ!!」
飛んでくる攻撃に対してセレーネは宝石魔術で障壁を創りだす、以前稽古付けの時に使ってたけどそこそこに堅い守りを発揮する。
『——防御魔法』
防御魔法にあたった礫が砕ける、片っ端から落ちた礫が積み上がる。
それから数分程、嵐の様に降って来た礫で土煙が上がっている。
「煙いなぁ……飛んでけ」
「「「んなぁ!?」」」
風魔法で吹き飛ばすと俺の周囲だけ相当抉られていた。
セレーネの方もそこまで狙われてなかったのか無傷だ。
「ユウキさん! 大丈夫でしたか!?」
「大丈夫だよ~俺は問題無し」
ほっとした顔のセレーネに対して襲撃犯たちの顔がだんだんと引き攣る。
「何だアイツ……」
「化物だ……」
「う、狼狽えるんじゃねぇ!! 囲んで殺せぇ!!」
さて、ここからは俺も戦うか。
「セレーネ、俺も参加するから手っ取り早く片づけよう!」
「はい!!」
「まずは……『氷の槍よ我が敵を穿ち我が敵を凍らせその命を奪い去れ――アイストライデント!』」
「「「「「ぎゃあああああああ!!」」」」」
投擲した大槍で盾ごとプレートアーマーの男達を貫く。
「良くもユウキさんを!!」
――ダンッ……ダダンッ。
「なっ……ぐはぁ!?」
地面と大樹を蹴り背後から魔術師たちを撫で切りにするセレーネ。
「囲め囲め!!! 男も女もコロセェ!!!」
「「「「「うおおおおおおお!!!」」」」」
「『小鳥遊流守りの型+攻めの型———
リーダー以外の残りの相手の攻撃を片っ端から受け、返す刀で切り捨てていく。
「何なんだお前達……」
「それ、答える義務ある?」
近付いたリーダーを上に蹴飛ばす、そこには高く跳びあがったセレーネが大太刀を構えていた。
「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「くそぉぉぉぉぉ!!!」
大太刀の剣閃が走り綺麗に上半身と下半身を泣き別れをにする。
「よっと」
そして落ちて来るセレーネを俺が、お姫様抱っこ受け止める。
「ユ、ユウキさん!?」
「いやー下に居たし、つい咄嗟にね」
「す、すみません!!」
「いやいや、謝らないで良いよ、好きでやってるんだから、それじゃあ片付けようか……」
それからセレーネと、襲撃者達の鑑定と装備を確認しながら死体を片付ける。
「装備品は殆どボロボロだから
「ですね、彼らの死体はどうします?」
「穴掘って焼いた後埋めるか」
「わかりました! 私は何をすれば!?」
「うーん……魔法で燃やす所と埋めるとこ作っちゃうから、金属類外すのをやってくれるかな。出来上がったら俺も手伝うよ」
上を取っ払った箱を作って、薪に火を点ける。その後はセレーネが持ってきた死体を放り込む。
「うぅ……この匂い……あそこで焼き殺された人の事思い出します……」
「きついなら少し離れてると良いよ」
「うぅ……ユウキさんは何でそんなに慣れてるんですか?」
「あぁ、昔ね。俺がこうして強くなるまでの間に、沢山の人が魔物や邪神の手下に殺されたんだ、時間を稼ぐためにね。それで沢山の無くなった人を弔ったんだ、病気を流行らせないために死体は焼くからどうしても慣れるしか無かった、肩を並べた人や俺を命懸けで助けてくれた人。その人達の匂いだからね忘れないよ」
ユキの村もそうだったなぁ……と思いだして会いたくなってしまった。
そんな事を考えているとセレーネが手を握って来た。
「ん? どうしたの?」
「ユウキさんが凄く辛そうな顔をしていたので……」
どうやら昔の事を思いだしてた時に、苦い顔をしていたらしい。
「あはは……半分正解、半分は俺のお嫁さんに村を焼かれた唯一の生き残りの子がいてね。その子を思い出したら会いたくなっちゃったんだ」
「…………」
「ゴメンね、セレーネがこうしてくれてるのに」
「いえ……魔王領に来てひと月以上ですから、私もそれ位会えてなかったら悲しくて泣いちゃいますよ」
そう言って抱き付いてくるセレーネ、その温かい心に自然と顔がほころんだ。
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