第25話:式神使いの暗殺者・後編
「ガァァァァァ!!」
次々と茅の輪から犬が出て来る、召喚魔法みたいでカッコいいな。
「っと、対処をしないと……はぁ!!」
腰に佩いていた小太刀を抜いて、飛び出て来た犬の首を斬り落とす。
「ギャウ!?」
「噓ぉ!?」
「次ぃ!」
「ギャウ!?」
それから僅か2分で12体を捌き終えると、歯嚙みした四条さんが逃げようとする。
「どこへ行こうと言うのだね?」
バリバリの某悪役の台詞を言って入り口を塞ぐ。
「くそぉ! どきんなし!」
袖から匕首を出し突っ込んで来る。
「はいはい、危ないからね~」
「ひゃう!?」
手を叩き匕首を取り上げ、拘束する。
「くっ! 放しんさい!」
「手を放したら逃げるでしょ?」
「ぐっ……」
悔しそうに唇を噛む四条さん、まぁ逃げても簡単に追いつくだろうし、手荒にするのもどうかと思うんだけど……。
「わかりんした、わたしの負けでありんす……」
そう言うと周囲に居た式神が消えていく。
「それじゃあ、拘束を解きますね」
腕を放し回復魔法をかける、切れた口端と後の付いた手首が綺麗に治る。
「流石、上凪殿やな。まさか四条の当主を捕えるとは……」
「まぁ、これくらいなら……」
「アンタはいったい何者でありんす!」
うーん……何者と聞かれても、正直に答える訳にはいかないし……。
「えっと……ただの一般人?」
「一般人が式神をいともたやすう倒せる訳あらへんやろう……」
「これでも、並みの剣士じゃ相手にならない強さなんだけどねぇ……」
確かにスピードは速かったけど……ウチの皆なら対応できない速さじゃ無いしなぁ……。
「うーん、正直そこまで苦戦する相手じゃ無かったよ?」
そう言うと、二人がぽかんと口を開け唖然とした顔をする。
「はぁ……ほんまに企画外じゃな……」
「化け物じゃありんせんか……」
「酷いなぁ……それで三条さん、四条さんはどうするの? 一応命を狙われたけど……」
談笑は終わったとばかりにじろりと殺気を込めた目で睨みながら言う。
実害は無いとは言え俺も三条さんも命を狙われた、普通だったらただじゃおかない訳で、後銃刀法違反だし。
「ひっ!?」
汗が滲み目に涙が溜まる、強い恐怖を感じるのかカチカチと歯が鳴っている。
「うーむ……上凪殿、愛妾にどうだ? これでも見目は悪うあらへんし、歳は30ちょいだが、一夫多妻だし気にはならんやろ?」
「いらないですよ……だって俺の事好きな訳でも無いですし」
重大な理由が無い限り、勝手に奥さん増やしたら怒られるだろうし、何より俺の事を好きでも無い相手と他の皆を並べるのが失礼だ。
「そうか、となると上凪殿に何か有益な事をしないと……」
親指で首を切るポーズをする三条さん、それを見た四条さんが俺の足に縋りつく。
「そ、それだけはやめておくんなんし、何でもしんすから! ネットで公開全裸土下座でも、上凪さんの為に娼婦でもやりんすので!」
「いやいや、いらないですよ!? それに全裸土下座って何ですか!?」
「それは、文字通り全裸で土下座させて、その姿を肴に楽しみんす……男の子なら好きと聞きんしたけど?」
「どこの偏った知識ですか!?」
しかもそんな自分からデジタルタトゥーを残す様な事しなくても良いのに。
「うぅ……なら後は、全裸で市中引き回しの散歩くらいしか……」
「やらないよ!? というか何で全裸にこだわるんだよ!?」
「若い男性はそう言った女性の屈辱的な顔が好きと、ネットで……」
「その偏った知識を捨てぃ!」
そう言い放ったタイミングで肩をポンと叩かれる。
「ええんじゃよ? 欲望を曝け出しても」
「出さないわ! 俺を変態にしないでくれ!」
「そやけど、奥はんが沢山おるんし、お盛んやろ?」
「お盛んなのは否定しないけど、そんな特殊なのはしませんよ……」
駄目だ、このまま話の主導権を握らせたら……。
(何か無いか……そうだ!)
「それだったら式神について詳しく教えて下さい、丁度学んでてどうしてもそういった門外不出の部分って調べても中々出て来なくて!」
式神出して戦うとかカッコいいし、正直見ててワクワクしたんだよね!!
「わかったわぁ、でも私の使う式神は比較的低級のものになるけどそれでも良いのなら……」
一瞬考え事をした四条さんが了解をしてくれる。
「ほな、ワシ見届け人になろかの。呪詛契約で四条のには約束を履行させられる様にするがどないすんか?」
「それって危なくないですか?」
「まぁ、守らな酷い腹下しが半月以上続く位やな」
うん、可哀想だし止めよう。
「それはあまりに可哀想なんで良いです……こっちで簡単な契約魔法をかけますよ、それで良いですか四条さん」
「えぇ、それで良いわ。それと私の事は
「わかった、それじゃあ燐さん手を出して、少し血を貰うね」
「わかりんしたっつ! あれ……痛うのうござりんすか?」
一瞬魔法で指先を切って、同時に回復魔法をかける。その時に紙に染み込ませた血の横に俺の血を垂らす。
「それじゃあ『我が魔力を持ち、我と彼の者は契約の鎖によって魂縛する!――指切りの誓約』」
宙に浮かんだ紙が燃え、魔力の糸で繋がる。
一応これで約束を履行するまでの間、こちらに危害を加えたりすることが出来ない様になったのだ。
「はい、終わり。とりあえず今日は遅いし、連絡先の交換だけしとこうか」
「わかりんした、それで本当に私脱がなくて良いんでありんすか?」
「脱がんで良い!!」
思わず食い気味にツッコミを入れてしまった。
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作者です。
週間ランキング88位と総合週間430位の維持が出来ました皆様のお陰です!
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【ファンタジー長編コンテスト】へ出しております!読者選考期間も終わりまして中間突破が出来ればと思います!
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