第15話:クラスメイトへの説明と集中訓練開始

「という訳で、皆ごめん! 俺は御前試合の為に華組の皆を集中強化する事にした!」


「えっと……あんまり話が読めないんですが、上凪さんはどうして華組の皆さんと戦うのですか?」


「それは私から説明しますね、一昨日皆さんの修練中にやって来た二人。あの二人が事の発端です」


前に出た巴ちゃんがしっかりとした口調で伝え始める。


「あの二人は六条家、京都に居る皆さんならわかると思いますが京都には十の通りがありますね、その方々が運営されているのが十条通協商連合という旧華族の方々が運営されている企業連合があるのです」


「それって、あの大きなデパートのSANJOとか老舗製菓メーカーの七条製菓とかですか?」


青鞍さんが思いつくのを並べていく。


「そうですね、京都ではその協商連合が顔役となってたりしますが、その方々が内々で決まらない際に争う事をする為に用意したのが御前試合というシステムです」


「でも、何で上凪さんが華組と戦う事になってるんです?」


不満そうな大貫君が言う。


「理由としては『一般市民が我が六条の顔に泥を塗った、それすなわち我々十条の面目を潰した』という事らしいです」


「えぇ……理不尽……」

「その二人って紡さんに、絡んで上凪さんの悪口言った人でしょ?」

「サイテーです!!」


やいのやいのクラスメイトが言い始める、と思ったら西園寺さんも文句を滅茶苦茶言っている。


「はいはい、皆~嬉しいけど今は話の途中だからね~」


手を叩きながら静かにさせる。


「それで話を戻します、その結果。御前試合は優希さん対十条の各将達で行う事にしたのです」


「それで、全力でやるからね。華組の皆に死なれたら困るから強化を行おうと思ったんだ」


「そうだったんですね、それじゃあ死なない様に頑張ってもらわないといけないですね」


「でもそれなら! 俺達も上凪さんの側について闘います!」


大貫君が意気揚々と声を上げる、それに続いて皆も声を上げる。


「いやいや、少し勘違いしてるだろうけど、恐らくは命のやり取りが行われるんだ、 皆は華組の皆を〝殺せる〟かい?」


にこやかに言うと言葉が止まり、息を呑む。


「こう言ってしまうと血も涙もないんだけど、俺は殺す事が出来るよ。華組も皆の事も」


軽く魔力を込め圧を与える。


「「「「「……っ!?」」」」」


息を吞み、皆がピクリとも動かなくなる。


――パァン!


「はい、皆さんは死にました。今の一秒あれば全員分は首が落とせるからね」


大きく手を打ち威圧を解くと半分くらいのクラスメイトがその場にへたり込む。


「それで、何で俺が皆を殺せるかって事なんだけど、少し昔話をしようか」


俺が甘くて、皆を危険に晒した事、鈴香を死なせてしまった事、そして自分が死んだ事。


「という訳でね、俺は自分の嫁である巴や他の嫁達を守る為なら、この世界全部でも相手に出来る覚悟はあるからね」


「懐かしいですねぇ……あの時は目の前が真っ暗になりました」


巴ちゃんがしみじみ言う、なんか遠い過去の様にも思えるけど、まだ一年も経ってないんだよな……。


「だからこうして、俺は大切な人を悲しませない様に皆であろうと殺せるって事。なんか暗くなっちゃったな、ごめんね」


そう言って笑うと空気が柔らかくなる。


「という訳で、一応様子は見るけど。練習はいつもの通り、出来てる人は出来てない人に教えてあげて」


「「「「「はい!」」」」」


「それじゃあ華組の皆はこっちに、ここだと建物が壊れるから移動するよー」


華組の皆が集まり手を繋ぐ。


「それじゃあ巴ちゃん、後は頼んだ!」


「はい、何かあれば連絡をします」


そしてクラスメイトを残し、異世界へ飛んだ。



◇◆◇◆

「それじゃあガリウスさんよろしくお願いします!」


「おう!任せろ。そっちの嬢ちゃんは初めてだな」


「は、はひぃ……私は賀茂依与里と申しますっ!」


腰の引けた賀茂さんにガリウスさんが、鋭く大きな牙を見せながら不気味に笑いながら言う。


「ガリウスさん、そのスマイル怖いよ……」


「んなぁ!? アストラじゃ今超流行ってるんだが!?」


怖いなぁ……子供絶対泣くでしょ……。


「それと賀茂さん、これを使って」


昨日特急で作ってもらった杖を渡す、市販品の玩具の杖だがプラスティック宝石部分を魔石に変更してある。


「ふひっ……これは杖ですか?」


目を輝かせて杖に触れる。


「うん、魔石を使って効果時間の増幅が出来るから使ってみて」


「はい! ありゅがとうございましゅ!!」


「それで西園寺さんにはこれを」


空間収納アイテムボックスからガントレットを取りだす。


「これは……普通のガントレットですわね」


「いや、これは魔銀鋼ミスリル製だな?」


ガリウスさんが手元を覗いて来る。


「はい、これなら使えば使う程使用者に馴染んで、魔力が通しやすくなりますからね」


「ありがとうございます、上凪さん」


「壊れたら直しますので、思いっ切り使って大丈夫ですよ」


「わかりましたわ!」


「良いじゃねぇか! それとそっちの嬢ちゃん、補助魔法をしっかり頼むぞ」


「は、はひぃ!」


そしてガリウスさんと西園寺さんが舞台上に上がって行った。


「さて、土御門さんの訓練を始めようか」


空間収納アイテムボックスから魔石と紙を積み上げた。



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作者です。


【ファンタジー長編コンテスト】へ出しております!読者選考期間も終わりまして中間突破が出来ればと思います!


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毎日、そしてここまで読んでいただける方、ありがとうございます!

読んでいただける方には感謝しかありませんが!!


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