第14話:六条家という厄介事

「さて……優希はん、巴ちゃん、昨日お話した件どすけど正式に六条の家から抗議……宣戦布告参ったんどすけど、どないしたしまひょか?」


「宣戦布告ですか?」


「はい、どうやら巴ちゃんに負けたのんが悔しいみたいで御前試合をしろちゅう事どす」


「御前試合ってあの時代劇とかでやるやつですか?」


「そうどす、一条から十条の家まで集められその家の代表見てる中試合を行うのんどすえ」


なんかすっごくめんどくさそう......。


「それでその御前試合は誰が戦うんです?」


「基本的には誰でもええどすえ勝ち抜き戦どすし」


「じゃあ、俺が出れば良いかそれで何人倒せば良いんですか?」


「そうどすなぁ、各陣営一条から十条までの将を決め戦う。そやさかい10人倒したら勝ちどすなぁ」


「じゃあとりあえず10人立てればいいか」


誰に出て貰おうかなぁ……クラスメイトから良さそうな人をピックアップして……。


「どうしたの、巴ちゃん?」


ジト目で見て来る彼女に問いかける。


「優希さん……絶対今良い練習になるだろうしクラスメイトを出そうとか考えてますよね?」


「うっ……ナゼソレヲ……」


「わかりますよ優希さんの事ですから」


「あはは……敵わないなぁ……それで、誰を誘えばいいかな?」


「華組の皆様は駄目ですね」


「マジか……」


戦闘力も頭一つ抜けてるしお願いしようと思ってたんだけどなぁ……。


「そうどすなぁ……あの子達は恐らくどっかの家……確実に一条か九条や二条あたりで出されるかもしれへんどすさかい、あまり宛には出来ひんどすなぁ」


「そうなんですか……でも何で他の家は出さないんですか?」


「それは、一条家、九条家、二条家は摂関家ですから」


摂関……確か歴史で習った摂関政治の政治の主権を握ってた人達の事だよね。


「つまり、優希さんにわかりやすく言うと公爵家の人達です」


「西園寺の家も公爵どすけど、あの子ぉは庶家の子ぉどすさかい貸付として使われそうどすなぁ」


「貸付って……そんな物みたいに……」


「あながち間違いではありませんから……」


巴ちゃんも思う所があるのか肩を落とす。


「ともかく、あのいけすかへん十条連中の鼻をへし折っとぉくれやす」


ふふふと暗黒の笑みが漏れ出ている花山院さん、何か相当恨みがあるのだろうな……。


「とりあえずクラスメイト同士戦わせるのは悪いですし、俺一人で片付けますね」


「すみません、私が出来れば良いのですが……流石に10人と戦うのは……」


「仕方ないよ、巴ちゃんは戦うフィールドが違うんだから。戦うのは俺に任せてくれ」


落ち込んでる頭を撫でながら抱き寄せる。


「あー見とってお暑おすわぁ、うちも良き旦那様がほしおすなぁ」


「「あっ、すみません……」」


「結構結構、うちはそろそろお邪魔どすさかい、ここいらで退散を……後は、ごゆっくり~」


そう言っていつの間にか呼んでいた車に乗って、帰って行った。


「とりあえず、帰ろうか……」


「そうですね」


転移を使い、ホテルへ戻るのだった。



◇◆◇◆

翌日、教室へ入ると華組の皆がやって来た。


「すみません上凪さん……実は昨日お爺様より御前試合に出る事を強制されてしまいました、こういった形で裏切ることになってしまい不甲斐ないですわ……」


「私もです……すみません優希さん」


「うぅ……しゅみません……折角術を教えてもらったのに……」


「すまん、俺も実家から言われっしもうてな……申し訳なか!」


悲痛な顔で頭を下げる皆、気にしなくて良いんだけどなぁ……。


「まぁ、仕方ないよ。貴族家だとどうしても逆らえない事情はあるしね」


貴族相手だとどうしてもある事だし、ひっくり返せるなんて王様位だしなぁ……。


「ですので私達の鍛錬は……」


「え? いやいや、そこはしっかりやるよ? むしろ、一層ハードにするけど?」


むしろそれが俺の来てる目的だし、そこは手を抜いちゃいけないからね。


「ですが、上凪さんにお手数を……」


「いやいや、勘違いしてるけど。俺が皆を鍛えるのは〝死なない〟様にする為だから」


「「「「えっ?」」」」


相手にはもう二度と逆らいたくないと思わせないといけないし、手を抜くつもりなんて更々ないし。


「だから、本気で戦うからしっかり鍛錬しとかないと死んじゃうよ?」


「ほ、本気ですの?」


「うん、悪いけど敵対するわけだし手を抜いたら皆に不利益が出るでしょ?」


「だ、ばってん死ぬるは言い過ぎじゃ?」


「それが、過言じゃないんですよね……」


巴ちゃんがお手洗いから戻って来たタイミングで言う。


「これが直近で優希さんが戦った相手ですね」


取りだしたノートPCのディスプレイに、この間倒した邪神との映像が再生される。


「何で持ってるの、その映像……」


「理映さんから貰いました、というか優希さんの戦闘ダイジェスト映像を貰いましたし……」


「何してるの!?」


恥ずかしいんだけど……消してもらえないかな……。


「「「「「………………」」」」」


いつの間にか華組以外のクラスメイト全員が覗き込んでいる。


「何あの化物……」

「上凪さん、片手で悠々としてるんだが」

「映画みたい」

「この映像が現実に起こったは思えないんだけど」


クラスメイトが若干引いてる。


「ちょっとこれは……」


「鍛錬しないと……死ぬ……」


「あばばばばばば」


「俺は井ん中んびきたんやったんか……」


「あはは……と言う訳で、頑張ろうな」


「「「はい……」」」

「あばばばばばば」


1人白目剥いちゃってるけど、頑張ってもらわないとな。



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作者です。

連日7000PV感謝です!!


【ファンタジー長編コンテスト】へ出しております!読者選考期間も終わりまして中間突破が出来ればと思います!


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毎日、そしてここまで読んでいただける方、ありがとうございます!

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