第13話:魔力付与の効果

「それじゃあ西園寺さん、軽く動いてみて」


「わかりましたわ! まずは軽いジャンプから……」


宣言通り軽くジャンプすると3メートルはある天井にぶつかりそうになる。本人も思ったより飛んだ様で目を丸くしている。


「なんですのこれ……」


「魔力の回路を藁人形を通して西園寺さんと繋いだんだ、それで身体強化を行ってる西園寺さん自身に魔力を追加する、すると?」


「身体強化の魔力が上乗せされて出力が一時的に上がってる、ということですの?」


「正解。この魔力付与は本人の魔力量による抵抗を受けないからね。いくらでも渡し放題なんだ。ただ与えてる本人の魔力が切れると〝強制的〟に切れちゃうけどね」


昔、ユキの村が襲われた時に生存者が居るかわからない状況だから。大型の魔法を使えないユフィに使ってもらったのが懐かしい。


「だから、使う瞬間は〝一瞬〟攻撃が当たる瞬間や防御をする瞬間に魔力を一時的に大量に付与するととんでもない破壊力や強靭な防御力が生まれるんだ」


「そうですわね、ダンジョン内での戦闘は長い物ですし。前衛のわたくしと細川君の継続戦闘能力は飛躍的に上がりますわね」


上機嫌な西園寺さんが説明をしてくれる、賀茂さんは呆けてるけど大丈夫だろうか?


「という事で、習うより慣れろ。実際にやってみよう」


藁人形に流してる魔力を切って付与魔法を解除して賀茂さんに渡す。


「や、やってみますね……くひっ……」


賀茂さんが藁人形と呪文の書かれたメモ帳を震える手で握り、大きく深呼吸をする。


『わ、我が魔力により賀茂 依与里いよりが命ずる! この藁人形いれものに繋がりし高潔なる汝の魂を繋ぐ。た、魂の繋がり、五行の理、天地の陰陽に従い、わが友を天下無双の徒となり給え! ――豪剛心身ごうごうしんしん!』


メモ帳を見ながらおっかなびっくり呪文を言う、緊張してるのかかなり声が震えている。


「何も変化がありませんわね……」


「よし、じゃあ賀茂さん。その藁人形に魔力を込めるイメージを」


「はひゃい! むむむむむっ!」


はんにゃら~ほんにゃら~とか言いながら魔力を込めている……。


「キマシタワー!!」


気合入れて身体を振るう西園寺さん、しかし風切り音が凄い。


「なんでカンフーなんだろうな……」


「えっと、昔お爺様の趣味で見たジャ○キーチェンに影響を受けたらしいです。そこから派生してマーシャルアーツなんかも覚えたそうです」


土御門さんが説明してくれる、というか西園寺さんの格闘術好きはお爺さん譲りなのか……。


「そうなんだ、お嬢様なのにアグレッシブ過ぎるからどうしてかと思ったら……そういう事だったのね……」


鷲司さんと似ているな、西園寺さんは魔力での身体能力の底上げをしてるけど、あの人は〝気〟らしいからなぁ……。


「くぬぬぬぬ……うぴゅるる……」


賀茂さんがよろめく、そして崩れ落ちそうな所を近くに居た巴ちゃんが支える。


「大丈夫ですか?」


「はひぃ……ありがとうございます……突然力が抜けちゃいまして……」


よろよろと立ち上がろうとする賀茂さん、だけど腰を抜かした様にへたり込む。


「あー魔力切れだね。初めて魔法を使ったのもあるけど、調整が出来て無いとすぐ切れちゃうし、今日はこれくらいにしとこうか」


「はひぃ……すみません……」


「大丈夫ですよ、私もすぐへばってましたので」


申し訳無さそうな賀茂さんを抱えた巴ちゃんが笑顔で言う、その間に車椅子を出して座れるようにする。


「それじゃー集まってー」


皆が近づいて来る、一応アンカーを置いて外に転移する、全員が居る事を確認してアンカーを取って来る。


「さて、今日はお疲れさまでした。今日で色々な可能性も見つかったし明日からはそこを強化していこうか」


「「はい、おねがいします(わ!)」」


「ふぁ~い~」


「賀茂さんは明日、体調に何かしら問題があったら呼んでね」


「ふぁ~い~」


「とりあえず依与里さんは本日、私の家で預かりますわ」


「ふぇ?」


「私の家はここから近いですし、私なら軽々持ちあげられますので」


どこかに連絡をしながら言う西園寺さん、それに狼狽える賀茂さん。


「ふぇぇえ!? でも悪いですし……」


「大丈夫ですわ、私の家はバリアフリーも整っておりますし。なによりわたくし達の為に頑張って下さる方に何もしないのは西園寺心愛の名が廃りますわ」


「そ、それじゃあお言葉に甘えます……ふぇひひ……」


「それに、もし良かったら結菜さんも来ませんこと?」


「良いの?」


「えぇ、今日は華組女子だけのパジャマパーティーですわ」


胸を張って言う西園寺さん、嬉しそうなのがひしひしと伝わって来る。


「それじゃあ、お邪魔する」


「わかりましたわ。それでは私達は駐車場に迎えが来ますので、押すのを変わりますわ」


「ありがとうございます、閉じ方がわからなかったらここにマニュアルがありますので」


「わかりましたわ」


車椅子を押す係りが巴ちゃんから西園寺さんに変わり、駐車場へ歩き出す。


「それでは皆様、ごきげんよう」


「ありがとうございましたぁ~」


「また明日」


手を振る三人、暫くして迎えの車に乗っていた。



⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤

作者です。

ここ数日PVが爆増して喜んでいます感謝!!


【ファンタジー長編コンテスト】へ出しております!読者選考期間も終わりまして中間突破が出来ればと思います!


209万2000PV超えました!!ありがとうございます!

毎日、そしてここまで読んでいただける方、ありがとうございます!

読んでいただける方には感謝しかありませんが!!


♡も3万9500超えました!!毎日ありがとうございます!!

☆も1255になりました、めちゃ増えてて感謝です!!

感想も新規ブクマもありがとうございます!!

気付いたらブクマも5690超えました!! 感謝!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る