第52話:子供達奪還作戦・急Ⅱ
順調に各階を制圧しながら地上へ進む、道中ゴブリン型の改造兵士が出てきたが難なく倒して進む。
「メアリーこの基地なんか違和感ない?」
「そうですネ、敵が少ないです、自動化されたターレットヤ、改造兵士しかいないでス」
――――パンパンパン。
「もっとわらわら居るかと思ったんだけど……」
「多分誘い込まれてまス」
――――ギャアアアア。
「どれどれ……うわぁ……地上出口付近に、滅茶苦茶人の反応が……」
「やはりですカ……」
「ともかく子供達を先に助けよう」
「はイ」
◇◆◇◆◇◆◇◆
それから探知で発見した子供達の収容されている部屋に到着した。
「行き止まりか……巧妙に隠してあるね」
「ですガ、扉を開閉した時の傷が床にありまス」
メアリーが床を指差して答える、ぱっと見わからない細かい傷なんだけど……。
「え? どれ?」
「これでス、うっすらト、一方向へ曲線を描いてまス」
「うわ、ほんとだ……凄いなメアリー」
目を凝らしてみると、細かい傷の中でも少し大き目の傷が、綺麗に曲線を描いている。
「えへへ、どうもでス」
頭を撫でながら壁を鑑定する、すると鋼鉄製で厚さが25cmもある扉だ。
「問題はこれ、普段どうやって開けてるかだな……」
「恐らク、電子制御ですネ」
「制御装置があるとかは鑑定に出なかったんだけど?」
「扉自体はハ、只の蓋ですかラ、恐らくあのあたりの扉に付いてる制御装置で中のストッパーが外れる仕組みですネ」
メアリーの指差した装置を鑑定すると的確に制御装置だった。
「ホントだ……あの制御装置はこっちの扉用だ、でも鍵が無いな……」
ただ、カードキー等は無いので開ける事は出来ないけど。
「優希さン、魔法でどうにかできませんカ?」
「うーん、力技だと中の子供達に被害が出ちゃうんだよね……」
「いエ、先程使っていた抽出とカ炎魔法で溶かすとかなのですガ」
「あぁ! その手があった!」
「思うのですガ……優希さんって偶に抜けてますよネ。まぁそこが可愛いんですガ」
少し呆れつつもにこやかに言って来るメアリー、そこまで抜けて……るな。
「その、なんとも喜べない評価はどうなのさ」
「いえいエ、それを直されるト。私達がニヤニヤ出来なくなるのデ、直さないで良いです!」
引き寄せられてメアリーに抱きしめられる、ふくよかな胸の感触が心地いい。
「はっ! 流石に作戦中だから!」
「良いじゃないですカ、少しくらい敵を待たせましょウ。その方が敵も焦れてきますかラ」
――――バキン。
「えっ? あの? メアリーさん?」
「さア、さア、さア!」
「やめっ……らめえぇぇぇぇ!!」
◇◆◇◆◇◆◇◆
その後情けなくもメアリーに絞られた俺は、魔法で扉を分解して
中に入ると40名程の子供達が身を寄せ合って居た、顔に痣があったり四肢の一部が欠損したりしている。
もちろんタンカーでも見た子供達も居る。
『هل الجميع بخير؟(皆さん、大丈夫でしたか?)』
メアリーがポケット翻訳機で変換して問いかける。
「ماذا عنك الرجال؟(貴方達は?)」
一番年長者であろう現地の子供が答える。
『لقد جئت لإنقاذكم يا رفاق.(君達を救出しに来ました)』
そう答えると子供達の顔が喜びに染まる、中には涙を流している子も存在している。
『حسنًا، فلننتقل إلى مكان آمن. يرجى الانتظار هناك مع الكبار.(それじゃあ、一度安全なところまでワープします。向こうで大人の人達と待ってて下さい。)』
そう言うと皆一様に頷いてくれた。
「それじゃあ先に……『——鑑定』」
以上が無いか、健康状態が危険でないかを確認する。
「皆大丈夫そうだね、特に洗脳とかもされてない」
「そうですカ、良かっタ」
メアリーが心底ホッととした顔をしている。
「それじゃあ、行こうか、皆手を繋いで」
手を繋ぐモーションをすると皆手を繋いでくれる。
「それじゃあ、行くよ!」
転移札で戻ると、まだ他のグループは帰って来ていなかった。
「ユウキ様!」
飛び込んで来たエアリスを抱き留める、そのまま抱っこをしながら話をする。
「とりあえず基地に居た子供達は助けたよ、それで傷の治療をお願いしたいんだ」
「任せて下さい!」
そう言ってエアリスが子供達へ向かい傷を治していく。
傍らに居た宮田総理達に声を掛け、事の次第を伝えると。病院などの手配をしてもらえることになった。
「それじゃあ戻ろうか……」
「はイ」
そうしてエアリスに一声掛けその場から転移札で元居た部屋に戻った。
「さて、後は……」
「ぶっ潰ス、だけですネ!」
「やる気が凄いな……」
「えェ! 行きましょウ!!」
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あとがき
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