|章間|④:懐疑的な会議とクズ野郎

 ◇綴side◇


「しかし、信じられんな……ただの学生がオーガの変異種を倒すなど……」

「はい、ですが討伐証明はこうしてあるのです……」

「ふむ……試験の結果欲しさに〝偽装〟という事では無いかね?」

「そう見えますか?」


 懐疑的な雰囲気で見て来る上司達を、一睨みで押し返す。


「うぐっ……とりあえず、了承はした。件の彼は?」

「はい、持ち前の回復魔法のお陰か、みるみると回復をしています」

「〝回復魔法〟か……病院などから送られた資料をみると、治癒が速くなるだけとはな……」

「そうですね、今後は彼の成長に任せるしかないかと……」


 資料を置き溜息を吐く、特に収穫が無いのが不服なのかご機嫌な斜めらしい。


「まぁいい、今後に期待しよう。監視を怠るなよ?」

「はい、わかりました。無理ない形で彼を自主的に動かす状況にしたいと思います」

「頼んだぞ、私達が上に行ければ。君も昇進できるのだから」

「かしこまりました」


 会議を追い出され、私は廊下を歩く。


「本っ当に救えない!」


 つい私は悪態をついてしまう、私の上司達は元官僚やそれなりの地位で甘い汁を吸ってたお歴々だ、首相が代変わりしてから肩身が狭くなりここダンジョン庁に逃げて来た奴等だ。


「まぁ、あの方のお陰で私に面倒事を強制されないのは幸いですね……」


 ――ヴーッ――ヴーッ。


 スマホに着信が来る、内容を見ると御老公からだ。


「はい……」

『綴君、僕だよ』

「あ、お世話になっております柊さん」


 スマホから聞こえて来た声は、御老公ではなく若々しい声だ。


『聞きたい事があって連絡させていただいたんだ、今日この後時間はあるかい?』

「はい、本日は大丈夫です」

『そうか、じゃあ妻も交えて少し話をしようか……1時間程で車を回すから来てくれたまえ』

「はい、かしこまりました」

『では……』


 そう言って電話は切れた。


「はぁ……優希君恨むわよ……」


 この後の予定を考えながら仕事の調整をする、優希君関連の事で私の仕事量は着実に増えてきている。


「はぁ……彼はどうせ耀ちゃんとイチャイチャしてるんだろうなぁ……けっ!」


 何度か経過観察で行ってるのだが毎回睦合うとこに遭遇するのは何故だろう……。


「私への当てつけか? アラサーが見えてきてる私への当てつけなのか!?」


 今の世の中、この年齢で結婚して無いのは珍しくは無いが、どうにも最近男運が悪いみたいだ。


「はぁ……どっかにいい男、居ないかなぁ……」


 私は肩を落としながら自分の部署へ向かった。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ※直接内容は書きませんが若干の性的表現があります。胸糞注意。


 ◇???side◇

「はい、OKでーす! お疲れっしたー」

「ふぅ……まったくどれだけ時間をかけるんだ……」


 モデルの仕事を終え荷物を纏める、撮影日が急遽変更になったとはいえ準備が悪くクソほど待たされた、それ故俺はイライラが激しい。


 怒りを上手く隠しながら関係者に挨拶してやってると、今日の撮影が一緒だったモデルのレナが近寄って来る。


「キア君って今日この後暇かな? もしよかったら一緒にご飯に行かない?」


(相変わらず馬鹿で面倒だけど、顔と身体だけは良いからな。最近耀と話せてなかったし似た女で我慢しとくか……)


「良いですよ、明日は学校ありませんし」

「良かったぁ、じゃあ私奢っちゃう! なにたべる?」

「最近、外食してなかったので、何か良いお店ありますか?」


 そう言うとレナはスマホで行った店の写真を見ながら考える。


「そうだねぇ、そうだこの店なんてどう?この間友達と行った焼肉屋さんなんだけどとっても美味しかったわ、そこで良いかしら?」


 そう言ってレナは腕を絡めながらスマホを見せてくる。

 それに応じてレナのことをアフターに誘おうと見ていた負け犬共が、恨めしそうな目で見てくる。


(俺に尻尾を振ってくるメスの一人だが、お前らの様な屑共に与えるような女ではないんだよ)


「そうですね、とても美味しそうです、行きましょう!」


 レナに女性ならば誰もが惚れる笑みを浮かべ子供らしく甘えれば、コイツは直ぐに調子に乗ってくれるから便利だ。

 レナのマネージャーが用意したタクシーに乗り店に行きレナと食事をする、その後はホテルに行き楽しんだ。


「はぁ……馬鹿と居ると疲れるな……」


 翌朝、朝帰りで自宅に帰ると、以前マネージャーの頼みによって受けた能力検査の結果が送られてきていた。


「能力検査か……大して興味も無かったが……これは!」


 内容を見て俺は、興奮を隠せずにいた。


「やっぱり俺は何でも持ってるなあ!!!」


 届いた手紙には俺のジョブが希少職である【騎士】というのになった事が記載されていた、それと同時に新設される探索者専門学校への編入のしおりも入っていた。


「これであの雑魚から耀を俺の者に出来る! いや? 世界が俺に跪くかぁ!!」


 俺は笑いを隠せず、笑いが漏れる……この結果は最高だ!!


「ははは……はははは!!」



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 作者です!

 今回も読んでいただきありがとうございました!

 これにて1章終了です!


 2章も改稿版に書き換えるかは皆さんの反応次第です!好評ならやろうと思います!


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