第32話:覚醒

◇水城 耀side◇

吹き飛ばされた優希の元へ行き抱えてその場を離れる、先程まで魔力をフルで使っていた為か吹き飛ばされた為か気絶している。


「「優希さん!」」


春華ちゃんと冬華ちゃんか駆け寄ってくる、春華ちゃんに優希を渡す。


「春華ちゃん…優希をお願い、何があっても守ってね」


「はい!耀さんは?」


「ちょっと私、久々に本気で怒ってるの…アイツぶっ飛ばさないと気が済まないみたい」


視線の先で安置されてる遺体を貪っているモンスターを睨む。


「それなら、私も一緒だね…アイツぶっ倒さないとこの怒りが収まらない…」


冬華ちゃんは目に見える位魔力が漏れている、散々やらかしてくれた【ハーメルンの笛吹男】に対して怒っている様だ。


「冬華、私もすっっっっっっごく怒ってるの…私の分もアイツぶっ倒して!」


春華ちゃんも相当怒ってる様で、魔力が漏れている握った手が白くなるくらいに。


「おおう…春華が怒ってる…」


「よし!じゃあ行くわよ!目標はアイツをぶっ倒す事、それと優希が悲しまない様に生き残ること!」


「「はい!」」


絶対に許さない…あの光景を見てしまったら誰でも怒りが収まらなくなる。


「子供達をあんなふうにして!悲しみに暮れてる人を殺して!そして優希を傷つけた!私は絶対に許さない!」


その瞬間、私の中から普段使ったこと無い程の力が溢れ出した…その力は私を飲み込んでいく。


「すごい…力が溢れてくる…」


いつも魔法や身体強化を使う時は少し漏れ出してしまうが今は完全に扱えている。


「ちょちょちょ!耀おねーちゃん!?」


「ん?どうしたの冬華ちゃん?」


「おねーちゃんの髪が、なんか凄い事になって…ええっ!目が」


驚く冬華ちゃんが上手く要領を得ないので土魔法で鏡を作る、鏡をのぞき込むと普段の瞳の色が変化してる、しかも両方ともだ。


髪の毛もグレーと云うか銀色が強くなり髪の内側に虹色の光沢が出来ていた。


「なにこれ…凄い事になってる…」


「凄く綺麗…」


「まあいいわ、今凄く調子が良いの」


「いいんだ…」


「じゃあ気を取り直して…アイツぶっ倒しましょう!」


(あの魔法…今なら使えるはず!)


今なら頭で考えるだけでどんな魔法も使える気がした、現に今魔力を込めて飛ぼうと考えたら空中に飛んでいる、スカートじゃなくて良かった。


「とりあえず、まず最初は!」


装備してる剣2本を魔法で操り触手を分断していく、そこに冬華ちゃんの矢が飛んで行き半身が砕ける、半身を壊されて怒り狂うがそれを私が軽く往なしていく。


「ガアァァァァァァァァ」


暴風雨の様に数多の触手で仕掛けてくる、冬華ちゃんへ向かう触手は私が迎撃をする、優希の方に向う触手は春華ちゃんに近寄った途端片っ端から破壊される、良く見えないけど春華ちゃんが攻撃してるみたい。


しかし回復が早いわね、触手も増えてきている、これ以上増やされる前に倒したいなぁ、避難は終わったみたいだし一か八かやりましょう。


飛翔の魔法を切り地面へ降りる、そして火・水・風・土・雷・氷・光・闇、考えつく属性全部詰め込んで行く各々の属性を内包された魔力をコントロールし球形に整え、自身の周囲に飛ばしていれば完成だ。


「これが今の私に出来る最大火力の魔法————虹の天球儀!」


それを操り次々に本体に当てていく、当たった各所は燃え、凍結し、切り裂かれ、抉られ、焼け爛れ、潰れ、浄化され、消えていく。


「グギャァァァァァァァァァァァァァァ」


様々な属性を浴びせられ相手は攻撃も出来ず触手を身に纏い防御を固める、だが段々と再生が遅くなっていっている、ここからは相手の再生能力と私の魔力のガチンコ勝負だ。


「はあああああああああ!!」


ランダムで作った属性弾をひたすら当てていく、


「後、もう少し!」


【ハーメルンの笛吹男】は段々と小さくなり最初の大男がみる影も無い。


「はぁはぁ…これで!最後!」


残った魔力で特大の属性玉を作り叩きつける、濛々と土煙が上がり静寂が訪れる。


魔力がすっからかんになり、膝を着くこれで終わってくれたらいいけど…


そう思うのもつかの間、視界に触手が伸びてくる。


(これは避けられないなぁ…)


瞬きする視界がスローモーションになり優希や家族の顔が浮かぶ「これが走馬灯かぁ、本当に見れるんだね」なんて感心していた…


「ひかりいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」


(でも最後に聞こえた声が優希の声だし満足かな♪)


迫り来る優希の声を最期に噛みしめる様に目を閉じる、どうか痛くありませんように…





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あとがき



作者です。

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