第31話:救出作戦決行⑤ ※不快・グロ描写あり注意

※今回は人によっては不快になる描写がありますのでご注意下さい。


ダンジョンのボスである【ハーメルンの笛吹男】を倒し子供達を開放する。


「32…33…これで全部か?」


「そうだね…檻の中にいた子は全部よ」


「ほかに人が居ないか確認してくる、神楽坂さんは綴さんと行方不明者の人数を照らし合せてくれ」


「任せて、貴方は?」


「少し周囲を見てくる、残りの不明者が居ないか探してくるつもり」


「わかりました、耀さん達と協力して子供達に軽い食事を与え、脱出について考えておきます」


「お願いするね」


そう言って俺は周囲の探索を始める、檻から出られた子供達は抱き合ったり喜んでいたしてる、皆小学生低学年だけど状況は理解できているみたいだ。


次にこの部屋を見回す、家具の大きさ自体が俺の顔位まである、物陰が多いので不意打ち防止で定期的に探知魔法を使おう。


そうして暖炉付近や、物置の扉を開けて確認していく。


「ここは…キッチンか…」


一瞬視界に入れるのもおぞましいものがあった。


「流石にこれは…子供達にも見せられないな…」


ミキサーにかけられる前の子供達の脳に、内臓を取り攫われ骨と皮だけになった複数の遺体、頭部が取り去らわれ体が煮込まれ骨が浮かんだスープ。


そうして並ぶ脳が取り去らわれた頭部、見開いた目や苦悶に満ちた表情がそのままである。


「この子達が何したってんだよ…クソったれ」


とりあえず形の判別出来る遺体等はそこにあった布に包み、頭部は瞼を閉じて、顔に付いた血を洗い流し一つ一つ綺麗にする、途中で涙が止まらなくなることがあったが何とか全員分終えることが出来た。


作業を終えた頃探しに来たであろう耀が居た。


「耀…」


すると突然暖かいものに包まれた、それが耀に抱きしめられてると今更気づく。


それから数分の間だったが撫でられていると段々と心が落ち着いてきた。


「さあ、優希行きましょう」


「うん、ここの皆を返さないと…」


証拠写真を複数撮り遺体を皆の元へ運ぶ。


それから子供達を除く皆に先程見た状態を伝え、遺体を皆で分散して持ち帰る事を伝えると、皆頷いてくれた。


雰囲気は暗くなってしまったが子供達の前で暗くならない様に皆、空元気で出口へ向かう、幸にも道中モンスターと会わないので、綴さんに連絡をして犠牲者と生存者の親御さんには連絡をしてもらった。


外に出るといつの間にか報道陣が規制線の向こうに詰め掛けていた。


一斉に向けられるカメラとシャッタに一瞬怯む、脱出には子供達の移動ペースを考え、2時間かけたので日は高くなっている。


先程分かれた自衛隊員の方々と赤十字の腕章を付けた隊員の方も走ってくる。


そうして、遺体と生存者を引き渡し俺達の救出作戦は終わった、再開できた喜びの声と別離の慟哭が混ぜ合わされた空間で。




◇◆◇◆

【ダンジョン脱出1時間後】

簡易で作られた遺体安置所で、俺は残った魔力を使い損壊した遺体を回復魔法で修復していた。


異世界でも損壊した遺体には効力が無かったが、こちらの世界では出来る様だ。


「すみません、俺にはこれぐらいしか…」


「いえ、いいんです…頭しかなかったのに、これだけ綺麗になったんですから」


綺麗に復元された遺体を抱き抱え親御さんが感謝の言葉を告げてくる。


「さあ、後二人…っと…」


立ち上がった際に眩暈がした、どうやら魔力を使い過ぎたらしい、そのままその場に座り込む。


「大丈夫ですか!?」


先程治した子のご両親が駆け寄る。


「あはは、すみません。少し休めば大丈夫です」


手を貸して立たせてもらい椅子に座らせてもらった。


「お水取りに行ってきますね、上凪さんはそこに座ってて下さい」


そう言って奥さんは救護所へ走って行った。


その瞬間、劈く悲鳴が響き渡る。視線を向けるとそこには倒したはずの【ハーメルンの笛吹男】がそこに居た、触手が生え体長がさらに大きくなった姿で。


「なんで…あいつがあそこに!」


動きづらい体に鞭を打ち助けに入る、よく見ると最初に助けた子供達の一人が着ていた服の布がついている、まさか…なり替わってた?


傍らにその子の両親のだろう、首の無い遺体が転がっている、突然のモンスターで簡易施設周辺はパニックになっていた。


「大丈夫ですか!?」


「男の子が…いきなり…」


「立って!逃げましょう!」


女性を立たせ走り出す、先程の遺体安置所まで戻るが【ハーメルンの笛吹男】は追って来るようだ。


「優希!」


耀の声と共に鷲司さんから貰った刀が投げられる、刀を受け取り【ハーメルンの笛吹男】と対峙する。


(魔力が空っぽだからこの人が逃げる位しか時間が稼げないか…)


動くのは相手だった、飛び掛かられ触手によって弾き飛ばされる、数メートル吹き飛ばされ俺の意識は暗転した。




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あとがき



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