第63話:王都凱旋……そして……

それから二日後、王都に到着した。案の定街は大騒ぎになり、人々がお祭りを始めた。


祝勝会のパーティあるしで巴ちゃんを大急ぎで呼んで戻って来た、速攻耀達に拉致されたけど。


―――そして二日後———


(だぁあああああ!!)


ここ二日ずっと謎に貴族の挨拶回りだよ!!!


しかもエアリスとの結婚に乗り気なシド様のせいでひたすらに連れまわされ、ここ二日耀達にも会えてないし…


とりあえず来客を対応し終え席見送った後を立つ、メイド長がやって来て紅茶を出してくれた。


「どうぞ、メアリーさん程では無いですが」


「ありがとうございます、しかし大変ですね……」


「えぇ、今回は勇者様ご帰還・姫様&勇者様ハーレムまとめてご結婚、ついでに戦勝パーティですから」


「ん?」


(。´・ω・)←なんか咄嗟の事でこんな顔になった。


………………………………

……………………

…………


「えっと…もう一度良いですか?」


「えぇ、今回は勇者様ご帰還・姫様&勇者様ハーレムまとめてご結婚、ついでに戦勝パーティですから」


一字一句おんなじ台詞をコピぺしてくれたね……うん


「マジで?」


「大マジです、これが告知の新聞です」


「うーんと……発行日は……3日前!?」


俺の帰ってくる前に決まってたって事か……


「準備が良すぎない?」


「そうですね…かなりいいと思います」


「だよなぁ……」


「まぁ考えるに陛下は、今回の件で威光を強めたいんだと思います」


「そうなんですか?」


「はい、まぁ簡単に言えばクソ強勇者が自分の娘と結婚してるから武力で何かしようものなら潰すよ?こっちには魔道具の名工、元騎士団長まで勇者の嫁だぞ?反逆なんて考えんじゃねーぞゴルァって事ですね」


「最後の方どっから声出してたんですか……」


「簡単な声帯模写ですね」


「まぁ簡単に、矢面立たせたいって事ですね」


「えぇ……そうゆう事です」


「そこまで国内って野心家多いんですか?」


「多くは無いですね、だからといってゼロでは無いので無視も出来ないんです、現に今回の邪神の件で姫様を狙ってた者もいましたし」


「あー居ましたね……」


「ともかく陛下は勇者様の威光でこすい事してるだけですから」


「酷いですね…まぁ同意できるんであれこれ言いませんが」


「そうですね、それと、各国の長たる人々が結婚式に来ますのでいつも以上に時間を要してるのだと思います」


「えぇ……長って……ガイウスとかティアさんとか?」


「えぇ、小部族の長など、手一杯の所を除いて基本は全員ですね」


「うわぁ……面倒……」


「仕方ないです、諦めて下さい」


「それで、俺はどのくらいこうしてればいいの?」


「まぁ明後日には主要な貴族は揃いますし、それで良いかと」


「そうなんですか……明後日……」


うーん長いなぁ…まぁでも俺達の結婚式やってくれるって言うんだし………仕方ない。


「今日の予定は?」


「そうですね、この後は特にありませんね、自由です」


「あれ?そうなんですか?」


「はい、近隣の貴族は粗方挨拶に来たので、残り殆どが遠方です」


「じゃあ耀達に会いに……」


「それは駄目です」


「え?駄目なんですか?」


「そうですね、会いに来るのは大丈夫なのですが……会いに行くのは、しきたりで禁止されています」


「そうですか……それじゃあ守らないと駄目ですね」


「お暇でしたら、街へ出られては?」


「それは良いんですか?」


「はい、ただし夕方までに戻って来て貰えれば」


「あんまり時間ないですね……」


「すみません、今日勇者様の服の仕立てに仕立て屋が来ますので……」


「わかりました、それじゃあ一旦自分の世界に戻ってから、両親に話をしてきます、それと……」


通信器の魔道具を起動する。


「神楽坂さん聞こえる?」


「わっわっわっわわわわわ、優……上凪さん!?」


「ゴメン、今忙しかった?」


「いえ、大丈夫です」


「神楽坂さん……来れるなら来て欲しい」


「……わかりました」


「それじゃあ、いつも転移で使ってる部屋で待ってるよ」


通信を切るとメイド長が複雑そうな顔をしていた。


「ずるくないですか、それ」


「あはは……会いには行ってないですから……」


「はぁ……とりあえずお茶をご用意いたしますね」


「ありがとうございます」


◇◆◇◆◇◆◇◆

それから15分後、神楽坂さんが俺の部屋にやって来た。


「おまたせしました」


「あぁ、いらっしゃい」


「では勇者様、リンカ様、こちらを、私は一度下がりますね」


「「ありがとうございます」」


そう言ってメイド長は下がっていった。


時間も無いし直球で行こう


「えっと……今何してた?」


「えっと……皆でドレスの調整です」


「そっか……失礼な事かもしれないけど……俺で良いの?」


「う、うん……大丈夫、失礼じゃないです。私が勝手に上凪さんに憧れて、上凪さんを好きになって……でも私が上凪さんの重荷になるなら……」


「いや、それは大丈夫、重荷にもならないし、寧ろ神楽坂さんみたいな綺麗な人が相手ならすごく嬉しいよ」


「そんな美人だなんて……でも上凪さんの周りには凄い人がいっぱいだし……私はおお母さんやお姉ちゃんたちと違って優秀でも無いですから?」


なんか巴ちゃんの時も同じ事で悩んでたな……今はバリバリ向こうの世界で俺達の居場所を用意してくれてる。


「うーん……この世界での神楽坂さんを見てるとそうでもない様な……」


この世界に来てから正直凄くイキイキしてるし、笑っちゃうくらい元気になってる。


「そうだ……改めて……あの時俺を助けてくれてありがとう、神楽坂さんが居たから俺は戦えたし、久墨を潰せたんだ。改めてお礼を言わせて」


「そんな!私こそ上凪さんが居なかったら私は今この世には居ませんでした、それに私の両親を保護して下さってるんですよね?」


「まぁ……うん……一応ね……」


まぁ……保護とは名ばかりの軽い軟禁状態なんだけどね、そうでもしないと心神喪失状態だったから…でもそう考えると保護になるのかな?うんきっと大丈夫!!


それに巴ちゃんに聞いた話だと、今では神楽坂さんが居なくなったのを、やっと認識し始めて四六時中ずっと自分を責めているみたい。


「それでね…もし良かったら、神楽坂さんのご両親とお姉さんを結婚式に呼びたいなって思ったんだけど…」


「大丈夫なんですか?」


「まぁ……皆は怒ってたから、何とも言えないんだよなぁ……」


「そう……ですよね……」


「でも、重要なのは神楽坂さんがどうしたいか、その想いを俺達は応援するし皆納得してくれるよ」


「わかりました……それでは、1日貰って良いですか?」


「うん、大丈夫だよ。ゆっくり考えてね」


そして時間も時間なんで、そろそろ向こうの世界に行かないと……


「じゃあ、俺は自分の両親とかに伝えて来るよ」


「あ、そうですね、わかりました!いってらっしゃい優希さん」


「うん、行ってきます鈴香」


鈴香に見送られながら俺は自宅へと転移した。



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