第19話:休日の初級ダンジョン②【改稿版】

「おぉ~ここは凄いなぁ!」


 手続きを終えて中に入ると、鍾乳洞の様な洞窟が広がっていた。


(この感じだと、下に行けば水棲のモンスターが居そうだな……)


 水棲だと水ゴブリンと呼ばれるモンスターが居て、基本はゴブリンなのだが手足に水かきがあり泳ぐのが得意なのだ。

 流石にマーマンは居ないと思いたい、姿形は弱そうなのだが鱗は硬いし簡単な水魔法も使う。異世界でも中級じゃないと倒せない位のモンスターである。


「というか、マーマンは数が出るのが厄介なんだよ……」


 Gほどじゃないけど1匹見たら周囲に20匹くらいは居る、一人で相手をすると囲まれるので初心者が迂闊に出会うと命に関わる。

 そんな事を考えつつ進む、とにかく暇なのだ、第一階層は人が多いので敵が残ってない、仕方ないので陰キャ特有の気配を消す特技で進んでいく……。


 ――現在2階層――

「ここも人が多い……」


 当然というか当然なんだけど、人が多いな! イメージとしては耀とたまに行くタイムセール時のスーパーみたいだ。


「この階層もさっさと抜けるか……」


 先程と同じ様に気配を消しながら進んでいく、最早リポップ待ちが出来てたりする程だった。


 ――現在3階層――

「こうなったら深い所じゃ!!」


 人が多すぎて(以下略




 ――現在5階層――

「やっと人が減った……」


 結局、4層も人がそこそこいたので飛ばし、このダンジョンのとしては一番下の階層まで来た、そして……ここまで来るのに2時間もかかってしまった。


「うーん……流石にここまで深いと人もいないか……」


 4階層~5階層間にはセーフエリアもあったし良い感じに長居できそうだ。


「さて、行きますか!」


 軽く身体強化して走る、まずはいつもやってる筋トレからだ。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆

「ふぅ……『我が手に集まりし力、水となしてこの器を満たせ――ウォーター!』」


 簡単な水魔法でペットボトルを満たす、そこに粉のスポーツドリンクの素を入れて振る。


「んっく……んっく……ぷはぁ~」


 喉も乾いていたので一気に半分程飲む、トレーニングを始めて30分、入り口付近でやっていたのが誰一人も降りてこなかった。


(1~4階層までは人が居たのに、どうしてだろう……)


「ま、いっか! 人居なきゃ魔法も使えるし」


 人が居ないのは好都合なので荷物をまとめ進む、少し進むと3つの分岐点が現れた。

 地面の削れ具合だと、真っ直ぐが多い。


「じゃあ、まずは右から行くか……」


 右方向の道へ入る、しばらく歩いて行くと少し広めの突き当りが、あるこれは……。


「モンスターハウスか……」


 恐らく区切られてる部分へ入ると作動するだろう、さて……。


「まぁ、考える前に入ろうか!」


 足を踏み入れる、すると部屋の壁一面に滝が流れてきた。


「ギャギャ!」

「ギギギ!」

「グギャギャギャ!」


 水ゴブリンがもう現れる、武器は槍というか銛だな。


「悪いけど、練習台になって貰うよ!」


 盾を構え、同じ手に剣を逆手に持つ……。

 今回はナイフの代わりに手斧を持ってきている。


「ふっ!」


 重い風切り音と共に投げた手斧が飛んで行く、そのまま水ゴブリンの頭部を砕き中身が飛び散る。


「ギギッ!?」

「グギャギャギャ!」

「甘い!!」


 一体の水ゴブリンは驚き、もう一体は飛び掛かって来る。

 突き出された銛を避け逆手の剣で回転斬りをしながら両断する、その隙にもう一つの手斧を構え最後の一体に飛び込む。


「はぁ!!」

「ギッ!?」


 手斧で側頭部から頭を割る、ここ数日で勘を取り戻した武器強化の魔法のお陰で一撃だ。


 ――ザバンッ!


「ギャギ!」

「ギルル!」

「グギギギ!」


 更に3体水の壁から飛び出してくる、今度は鎌や鉈持ちだ。


「じゃあ次は……これで行くか!」


 剣と盾を背負い直し手斧2本を構える、双剣というか双斧そうふと呼ぶべきか……。


「行くぞ!」


 俺は、水ゴブリンに飛び込みながら叫んだ。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 一時間くらいだろうか、計60体ほどの水ゴブリンを倒すと一切出て来なくなったので水は流れてたけど入り口から出る。

 すると水が止まったので更に待ってみる。


 10分程動画などを見て暇つぶしをしてたが何も出てこなかったので恐らく完全にゴブリンの在庫が切れたのだろう、中を覗くと部屋の半分が崩れていた。


「えぇ……せっかくもう少し色々試そうと思ったのに……」


 それから分岐を戻るとモンスターハウスへ通じる道が、自然に塞がった。


「これって、出禁というやつですか?」


 当然誰も答えてくれないのでそのまま他の道へ向かう、今度はもう一方の横道だ。

 奥にすすむ事5分、細くなっていき突き当りへ到着する。

 壁とか触るけど何もない、只のハズレ通路か、成長中の道か……。

 諦めて戻ろうとすると、大きな悲鳴が響いてきた。


「!!」


 位置的に最後の通路だろう、来た道を全力で走り、最後の道へ。


「間に合ってくれ!」


 素早く景色が流れていく、身体強化のお陰で間に合いそうだ。


「大丈夫ですか!!!」


 大きなモンスターの影が見えた広間へ飛び込み、大きく声を上げる。


(これで注意が逸れてくれれば!)


 どうやら成功した様で、大きな影がこちらを向いた。


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