第7話:身体強化訓練・其之壱
「どう? 身体強化って凄いでしょ?」
笑いながら皆の方へ振り返る、声が出ない位目を見張ったり、口を開けたりで驚いている。
「いやいや、どこのビックリ超人ですか!?」
「私達は以前見ましたけど……まぁ、そうですよね……」
巴ちゃんが苦笑いをしている、新年のパーティで見せたビックリドッキリのかくし芸だ。
「これは、思いっ切り魔力を込めたからね。それに来る場所がわかってるから一点集中しただけなんだ、でも全身に行き渡らせれば……」
軽く踏み込みながら移動する、大体2メートルくらいの距離を飛び跳ねながら武道館をぐるりと1周回り戻って来る。
「ふぅ……こんな事もできるよ」
「まぁこれは極端な例ですが、私でも2~3時間はダッシュで走り続ける事が出来ますよ」
巴ちゃんが注釈を入れてくれる。
「それでもすごいですよ……」
剃り込みを入れた男の子が呟く。
「それで、上凪さん。どうすればその身体強化を覚えれるんですか?」
クラスメイトの1人が聞いてくる。
「実は結構簡単で、さっき後方支援組の皆がやってたけど。全身に魔力を行き渡らせる練習と同じなんだ。でも、身体強化を使うだけなら前衛組のが早く出来るんだ」
「それは、普段から身体を動かしてるからですか?」
「正解、前衛組のが戦いで大きく身体を動かしてるからね。身体強化のイメージとしては、皆が普段気合を入れながら武器を振るうじゃん? その時の延長線上みたいなものなんだ、その体の動きを魔力で補助するそんな感じだね」
「でも、それですと後方支援組は……あっ、そうか身体強化は魔力の流れの制御、という事は先程の説明と組み合わせて魔力を武器に込めやすくなるのですね」
ボウガン使いのクラスメイトが気付いたように言う。
「正解、だから魔力の流れを感覚で掴んでほしかったんだ」
「それでは、上凪さん。前衛組も同じ様に訓練するのですか?」
西園寺さんが待ちきれないと言った様子で聞いてくる。
「そうだね、でも最初から身体強化を使って、いきなり筋肉に力を入れると大変な事になるんだ」
「大変な事……ですか?」
「うん、力が入り過ぎちゃうと。身体を痛めたり、骨折をしちゃうんだ」
「「「「「……っつ!?」」」」」
皆が驚きながら息を飲む。
「とまぁ、それは余計な力が入るからなんだ。という事で、皆にばててもらうために今から俺と戦ってもらいます」
「へっ?」
「はっ?」
「まぁまぁ!」
驚いた顔や唖然とした顔、そして一名楽しみという感じの顔をしている。
「それじゃあ、誰からやる?」
俺は皆を見てニヤリとした。
◇◆◇◆
「さぁ、行きますわ!」
籠手だけ着けた徒手空拳の西園寺さんが身体能力だけで飛び込んで来る、この人も里菜と同じで天性で身体強化が使えるタイプだ。
「ふっ……はぁ!!」
跳び蹴りからの二度蹴りを受け止める、そこからしなやかに一回転して踵落としを当てて来る。
「よっ、はっと」
受け止めたり首を捻り躱す、初対面でやってきた通り、蹴り中心の戦闘スタイルだ。
「まだまだですわ!」
蹴り上げて守りを崩し、そこに拳を混ぜて来る。
「ふっ、おぉ凄い!」
真偽混ぜ込みながら打ち込んで来る乱打に舌を巻く。
「これでも崩せないんですの!?」
腕を取り、投げられる。身体強化を最低限だけど、ここまでされるのは久しぶりだ。
「よっとと……凄い凄い!」
「はぁ……はぁ……全力で仕掛けてるのに……」
肩で息をする西園寺さん、流石にもう良いかな……。
「よし、じゃあ西園寺さんは終わりです。というか、西園寺さんは身体強化出来てますので、後は持続時間を鍛える方向で」
「はぁ……はぁ……そうなんですの?」
「うん、まだまだ使い方が荒いですから、頑張りましょう」
「は、はいぃ……」
皆の元に戻り大の字で倒れ込む。お嬢様がその格好で倒れ込むのは良いんか?
「さて、じゃあ次は。誰がやる?」
◇◆◇◆
それから2時間後、殆どのクラスメイトが床で伸びている。
「それじゃあ、後は……細川君か」
「よろしゅうお願いいたします!」
木刀を構えた細川君と相対する、気迫が増していく。
「きえぇぇぇぇい!!」
袁叫を上げて踏み込んで来るのを真正面から受け止める、ギリギリと押してくるが途中で止める。
「はぁ!」
押し返し、たたらを踏む。身体強化を使ってないとはいえ、力比べで押されるとは……。
「まさか、押し返さるるとは思いまっせんでした!」
「こっちも、身体強化を切ってるとはいえ。鍛えてるんだけどね!」
「では、もう一度!!」
今度は先程より踏み込んだ一撃は、切っ先で斬るというより刀の腹で押しつぶす様な圧をかけてくる。
「ぐぅぅぅ……重いぃぃ!」
「えあぁぁぁぁぁぁ!!」
ミシミシと木刀に力が入る、このまま行くと折れ負けるかもしれない。
「力比べはこの位にさせて貰うよ!」
木刀を滑らせ攻撃を抜ける、斬り払い細川君の木刀を飛ばす。
「じゃあここからは、俺も少し力を出そうかな」
空間収納から木剣と盾を取りだす、そしてミュリに教えてもらった対人剣術の構えを取る。
「ここから先は、日本で見た事ある人は居ないよ。俺の師匠にも見せた事無いからね!」
盾を構え一気に細川君の懐へ飛び込んだ!
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作者です。
朝投稿……出来ると思ってた頃が私にもありました……。
【ファンタジー長編コンテスト】へ出しております!読者選考期間も終わりまして中間突破が出来ればと思います!
205万9000PV超えました!!ありがとうございます!
毎日、そしてここまで読んでいただける方、ありがとうございます!
読んでいただける方には感謝しかありませんが!!
♡も3万9000超えました!!毎日ありがとうございます!!
☆も1242になりました!感謝!!
感想も新規ブクマもありがとうございます!!
気付いたらブクマも5590超えました!! 感謝!!
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