|幕間|①:春華とバーベキューの準備を

◇春華side◇

お家に帰るとお母さんと綴さんがリビングで談笑してた。


「ただいまー」


「お帰り春華」


「春華ちゃんおかえりー」


「こんにちは、綴さん。どうしてうちに?」


「いやー優希君に急ぎの用事があってねーもう終わったんだけど姫華さんに今日は泊って行ってと言われちゃったのよ」


「そうなんですね、お仕事お疲れ様です」


「ありがとー春華ちゃん」


「春華、今なら優希君が夕食の準備してるから、一緒にやるチャンスよ!」


「お母さん!?」


「ほら、早く行った行った、優希君要領良いだろうからすぐ終わっちゃうよ」


そう言って廊下に押し出されてしまった。


それからキッチンに行き覗き込むと、優希さんが丁度串を用意している所だった。


(今日はバーベキューかな?珍しいなーお母さん)


「春華お帰り、どうしたんだ?」


覗き込んでいたら優希さんに気付かれてしまった。


「いえ、優希お兄さんが夕食の準備をしてるとお母さんから聞いたので、お手伝いに来ました」


「それは助かったよ、じゃあ一緒にやろうか」


「はい!」


(冬華には悪いけど、これは二人きりのチャンス!)


◇◆◇◆

それからブレザーの上着を脱ぎ、エプロンに付け替える。


「串に刺すタイプのバーベキューは初めてだから、手伝ってくれる春華が来てくれて助かったよ」


ほっとした様な顔をする優希お兄さん、たまーに見せるゆるっとした顔が私の優希さんで好きな所の一つである。


「そうなんですね、うちは半々くらいです、もっと人が多いとそのまま網で焼きますね、今日は…お父さん、お母さん、綴さん、鳳さん、布良さん、耀お姉さん、優希さん、それと私達で9人ですね」


「ん?あれ?今俺の事」


「きっ、気のせいですよーあはは…」


「そ、そうか…」


つい、いつも脳内で呼んでいる呼び方が出てきてしまった、マズイとか不都合がある訳じゃないけど、とっても恥ずかしい。


その証拠に顔が熱くなってきてしまった。


下手な返しをしてしまったせいか優希さんとの間に少し沈黙が流れる。


私が落ち込んでいると、頭に手が置かれた。


「ふぇ?ゆ、優希おにーさん!?」


「いや、なんか春華が落ち込んでいると思ったから…それに、俺の呼び方は好きに呼んで良いんだぞ?」


「そ…そんな」


でも、良いよね?


「じゃっ、じゃあ二人の時は優希さんって…呼んじゃ駄目でしょうか…?」


「いいよ、春華がそれが良いなら」


それから少しの間私は撫でられていたが時計を見ると10分も経っていた


「優希さん、流石に嬉しいですけど、ご飯の準備をしないと」


「え?あぁそうだな、春華の頭が触り心地良すぎて忘れてたよ」


「はうっ!」


不意打ちで攻撃力が高い言葉を…


「いやーごめんな、嫌だったか?」


「いえ、そんな事は無いです。」


ただちょっと恥ずかしかった…嫌じゃないんだけど恥ずかしい…


「とにかく!バーベキューの準備をしましょう!」


手を洗い、お互いに具材を串に刺していく。


「そういえば優希さんは何か苦手な食べ物はありますか?」


「うーん…しいて言うなら、数の子とかとびっ子かなぁ、あの微妙な生臭さと小さいのにぶちゅっと潰れる感覚が好きじゃないかなぁ…」


「あーわかります…私も苦手でした…でも最近は食べる機会が増えたので食べれるようになっちゃいました」


「凄いな、俺より大人じゃん」


「そんな事は無いですよ、会食とかで「食べれません」は相手に気をつかわせちゃいますから」


「それでも、食べれるようになったのは凄いな」


「食べれるようになっただけでそこまで好きではないですから…」


「春華の頑張りなんだから、謙遜しなくていいんだぞ、又頭でも撫でようか?」


「そ、そこまでは!だっ大丈夫ですっ!」


優希さんの唐突な発言で私の顔がどんどん熱を持ってくる。


「そうか…」


あ、しゅんとしちゃった…そんなに頭撫でたかったんですかね?


「じゃ、じゃあ。お手伝いの報酬で後で頭撫でて下さい」


「わかった、じゃあ早く終わらせちゃうか!」


そう言って優希さんは作業のスピードを速めていく、それから10分もかからずにすぐに終わってしまった。


片付けも終わらせ、後は皆の帰りを待つだけになった、キッチンで優希さんと二人対面する。


「それじゃあ、失礼して」


その言葉と共に髪の間に優希さんの指が入り込んでくる、いつもと違う撫で方に少しびっくりしたが、その撫で方は優しく髪をとかすやり方と普通の撫で方を合わせたやり方で時折頬なんかに触れる指の体温にドキッてしてしまった。


(この時間が長く続けばいいのになぁ…)


その優しい撫で方にこの時がずっと続けば良いのになと思ってしまった私だった。


◇◆◇◆

「いつ終わりますかね綴さん」


「そうですねぇ…たっぷり見ていたいですね、姫華さん」


「あら、耀ちゃん、冬華おかえりなさい今面白いものが見えるわよ」


「どれですか?ははーん〜なるほど〜」


「いやー春華もやりますのー」


そんな四人の視線を受けて二人はキッチンで仲良くしているのであった。



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あとがき



作者です。

春華単独回でした。調子出なくてシチュが中々進まなかったのですが、行き過ぎないようにセーブしつつそれなりに、満足できるかわからないですが…書いてて楽しめたのなら良しとします。


幕間で2000字超えるとは思ってもなかったですw


ここからはいつもの。

7万4千PV超えました!ありがとうございます!

★も♡もブクマも感謝です!!


順位更新されました!

週間98位

総合329位

日間129位

月間131位

ガッツリ落ちてますね!まあ読んでくれてる人いるので無問題です!


さて、もう一つの幕間を書き上げないと…

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