第4話:グリームス神教国

開けられた扉をくぐり、中に入ると王様が二人いた、片方は人間の男性で片方は魔族の女性だ。


「聖女様、召喚に応えていただきありがとうございます」


「そちらの方はお付きの方でしょうか? 何か見知った香りがするのですが……」


魔族の男性が聞いてくる、というかあの人吸血鬼だよな? リリアーナやノクタールさんと同じ感じがする。


「えっと……彼は……」


「夫婦です、彼女は俺の奥さんです」


「ちょ!? ユウキ!?」


隠しても仕方ないし、厄介事を呼びこまない様に先に牽制をしておく。


「そ、そうか……」


「ですが彼からは他の魔族からの寵愛を受けているようですが?」


「あーそれは……はい、彼は複数奥さんがいます」


「成程……未来のこの国は一夫多妻制になっているのですね」


「「未来?」」


「あぁ、貴殿達は今過去に来ているのだよ」


「ですが【グリームス神教国】というのは私は知りません……」


そうアミリアが言うとざわざわと周囲が騒ぎ始める。


「そうか……我が国の名が残らない程未来の子達なのだな……」


遠い目をする女王様、たとえ過去だとしても国の記録に残らない程っていうのは、ありえなさそうなんだよなぁ……。


「それで、俺達はどうして呼ばれたのですか?」


「貴殿達を呼んだのはこの世界が危機的状況なのだ」


「危機的状況ですか……」


「そうです、悪神と呼ばれる存在がこの国の北方、元こちらの人族の領地に降りてきてな……撤退を余儀なくされた私達は神に救いを求めたのです。すると『それを討ち払えるのは聖女だけ』と神の啓示があったのです」


女王様に言われあの駄女神が頭をよぎった、おいこらピースしてるんじゃない。


そして一つの疑問がよぎった俺は二人の王様に質問を投げかけた。


「そういえば神様の名前は?」


「そうね、神様の名前は変化してない筈、それならこの世界が地続きかわかるわね」


「「そうじゃのう(ね)、我らが神の名はマリアン様じゃ(ですわ)」」


すると二人の王様は声を揃えて良く見知った神の名前を出した。


「よかったぁ~これで地続きとわかったわね……ってユウキ?」


「マリアンかぁ……」


喜ぶアミリアと違い頭を抱える俺。


「どうしたの? マリアン様だと何か悪いの?」


「いや……あの人この世界を放置して他の世界を弄ってたみたいなんだよなぁ……」


「「えぇ!?」」


「マジ?」


三人が驚く、まぁそりゃそんな事思いもしないよなぁ……。


「うん、多分その期間が今だと思うんだよぁ……」


さっきから何度か頭の中で呼びかけたけど反応が無いのよ。


「よし、ともかく色々と確認しよう。王様・女王様、召喚方法は?」


「あ、あぁ……過去に合った文献の召喚方法を……」


「召喚時の制約は?」


「あ、悪神の討伐です」


「他はありませんか?」


二人を見据えるとゆっくりと頷いた。


「なら、このまま悪神とやらを倒せば済みそうだな……。次にアミリア、身体に何か異常は無いか? 力が溢れて来たり魔力が爆発的に上がったりとか……」


「うーんあまり感じないわ……前より強くなった感じはするけど……」


「念の為に鑑定しとくか『——鑑定』」


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【アミリア・フィルレシア】 性別:女 年齢:17歳 種族:人間

ジョブ:召喚聖女 Level:389

所持能力スキル:【体術】【小鳥遊流剣術】【回復魔法】【剣術】【潜在強化(未覚醒)】【聖魔法】【空間魔法(未覚醒)】【元素魔法(未覚醒)】


称号:国王の遺児・仮初の聖女・優希に恋する少女・孤児院のヒーロー・耀の弟子・エアリスの弟子・春華の弟子・召喚された聖女・優希の嫁(仮)。


備考:潜在強化は覚醒すると身体強化、魔力強化等が発現する。

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「【潜在強化】とか【空間魔法】とかあるね、多分召喚された時に付与されたのが【潜在強化】かな? ただ未覚醒だからもう少し鍛えれば習得できそうだね」


「そっか~ここだとヒカリさん達に鍛えて貰えないしユウキ頼りかなぁ……」


「わかった、なるべく早く解決したいから頑張るよ」


アミリアの頭を撫でながら答える。


「それじゃあ王様・女王様、敵について詳細を教えてください」



◇◆◇◆◇◆◇◆

◇耀side◇

「また呼び寄せられてる……」


神様の世界で私は呆れたように優希の動向を見ていた。


「まぁアミリアが中心だし、運がよく巻き込まれたのが正しいわね……」


ともかく理映ちゃんに伝えないとねぇ……。


「あぁ、そっか私達は良いけど、リリアーナちゃん達に伝えないと……」


ソファーから立ち上がり今は寝ている理映ちゃんの元へ向かう。


「全く……ちゃんとアミリアちゃん護りなさいよ優希」



◇◆◇◆◇◆◇◆

◇リリアーナside◇

優希様、アミリアさんにやっと気付いたんですね……。


寝たふりから起き上がり伸びをする、吸血鬼という種族は夜に活動的になるから睡眠時間はかなり少なくて良いのだ。


「さて……少ししたらお酒でも持って行ってあげましょうかね~」


湖畔を歩く二人を遠目に見つつ、ウキウキ気分でお酒を選んでいると湖が一瞬光った。


「月の光の反射ですかね? あれ? 優希様? アミリアさん!? きゃっ!?」


光の後、途轍とてつもない魔力の膨れ上がりの後二人の魔力が消えていた。


その直後家の壁を蹴破り、セレーネさんが飛び出してた。


「ユウキさん!? あれ? リリアーナ様?」


「セレーネさんも感じ取ったのですね。優希様……これは遠くに感じますわ……」


「今の魔力と関係があるのかな?」


「そうですね……まぁ、優希様ですし無事に帰ってきますよ」


「そう……だね!」


「それよりもセレーネさん……『アレ』大丈夫ですの?」


壁が吹き飛びリビングが丸見えになった家を指差す。


「ひゃあああああ!? お母さんに、おこられるぅ!?」


慌てふためくセレーネさんを横に、私は遠い所に居る伴侶と親友へ祈りを捧げた。



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作者です!

昨日はぎっくり腰では無いですが腰を『ピキっと』やってしまったのでダウンしてました。

今日は鍼灸院に行ってきたので少し良くなりました。


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