第3話:聖女アミリア
召喚によって謎の神殿に飛ばされた俺達はとりあえず魔法で服を乾かし魔術師? 達に用意された馬車に乗っていた。
「ねぇアミリア」
「何?」
「グリームス神教国って知ってる? 少なくとも聞いた事無い国だよね?」
「知らないわね、私の父様が受け継いできた国はフィルレシア王国、その前の国は神教国でもないわ」
「そっか……他の世界に飛ばされたのかなぁ……」
「だとすると帰る方法ってあるのかしら?」
顎に手を当てて悩み始めるアミリア。
「うーん少なくとも俺が呼ばれた時は、目的を達成しないと帰れないって誓約はあったな」
「そっかーじゃあ、その目的とやらをさっさと片付けて戻らないといけないわね」
備え付けられた窓を開けようとしているアミリア、固いのか全く動かない。
「ぐぬぬぬぬ! ユウキ……開かないんだけど……」
「了解、任せて」
鎧戸に手をかけて押し込む、べきべきと音を立てて窓が開いた。
「うわっ……なんだこれ……」
窓と窓枠の間にべっとりと接着剤らしきものがついていた。
「途端に胡散臭くなったわね……」
「そうだな……『——探知』
鑑定をかけると外には騎馬に乗った兵士が10人程、他は魔術師が8人か……。
「兵士が10人と魔術師が8人だな」
「ふぅん……まぁユウキも居るし私もヒカリさん達に鍛えられてるから少しは力になれるわよ!」
「そういえば鍛えられてたね……どんな感じ?」
そう聞くと途端に気まずそうにするアミリア。
「えっと……魔法はそこそこで私の世界で中級くらい、剣術は片手の春華さんの頬を掠めたくらい……」
「それは結構凄いのでは? 耀は魔法だけならウチの中でもトップクラスだし、春華は武器にもよるけど1対1はかなり強いからそれだけ出来れば良いかも」
(多分日本の探索者達の中でも中~上くらいの間には入ってるはず)
「そうなの?」
「うん、春華のお父さんは武術や戦闘術の師匠でその師範代に認められてるからね、技の精度や冴えは春華のが上だよ、俺は身体強化とか魔力でごり押してるし」
「そうなんだ……少し自信がついたかも!」
そんな事を話していると城を備えた街に辿り着いた。
「大きいお城ね、でもどこかで見た様な……」
「うん、どことなく魔王城に似てない?」
「それそれ! 今の魔王城は補修はされてるけど所々直してるし、なにより形がかなり似てるのよね」
アミリアが言う通り魔王城に凄く似ているのだ。
「となるとこの世界は私達の世界と同じなのかしら?」
「かもしれないね……里から王都までの距離も大体同じだったし……」
「魔族と人間も仲が良いわね……見てユウキ、子供達が一緒に遊んでるわ」
アミリアが指差した先には魔族と人間の子供が一緒に遊んでいた、今の王都じゃ見れない光景だ。
「聖女様! 従者様! お待たせしました! お手数ですがここからは歩きとなります!」
扉を開けて兵士の1人が声を掛けて来た、年齢も若くてアミリアと同じくらいの歳だ。
「あのーすみません……窓壊しちゃったんですが……」
「えぇ!? 皆がどうやっても開けられなかった窓をですか!?」
「はい……俺がちょっと力を入れた「違うの! 私が窓を開けて外の空気を吸おうとしたの! でも空かなくて……」」
俺が素直謝ろうとするとアミリアが割り込んで来る。
「もし、直すなら魔法で治しますけど……」
気まずそうに言うと兵士の青年はニッコリと笑って。
「大丈夫です! 私達も開かなくて困っていたので!」
「そ、そうですか……」
胸を撫で下ろしているとその青年が頬を搔きながらもう一つの窓を見た。
「あのぉ……もし差し支えなければ、もう片方も開けてもらって良いですか?」
「良いんですか?」
「はい……倉庫に眠ってたものでしたので、内装は私達で新しくしたのですが……窓だけ空かなくて……」
そうか……それは仕方ないな。というか聖女扱いするなら倉庫に眠ってたもの使うなよ……。
そう思いながら力を入れて外すと周りの兵士から感嘆の声が聞こえた。
「ありがとうございます! これで隅々まで掃除が出来ます!!」
「なんか、疑ったの悪いと思っちゃうわね(ボソボソ」
「あぁ、これが演技じゃ無い事を祈ろうか……(ボソボソ」
「それでは! 話が王達の元へご案内します!」
青年の後に続いて王城の中へ入ると、文官の人達が走り回り、数少ない兵士が警備をしていた。
(兵士の数が少ない? 平和になったリーベルンシュタインよりも少ないって、まさか?)
「ねぇ、ユウキ……なんか見られてない?(ボソボソ」
アミリアが袖を引く、それに気づいて周りを見ると明らかにこちらを見ている人達が多い。
「確かに多いな、もしかしたらアミリアが聖女と呼ばれてる事に関係があるのかも……(ボソボソ」
「えぇ!? 私、まともな回復術とか簡単なのしか使えないよ!?(ボソボソ」
「でも、ここまで来てるし、もう少ししたらわかるでしょ(ボソボソ」
「そうね……ねぇユウキ……」
袖を握る手が強くなる、その手を解いて包む。
「大丈夫、何かあったら俺がちゃんと守るから」
そう言うと不安そうな顔が少し和らいだ。
「わかったわ、任せたわよ……」
「あぁ、任された」
そうして一際大きな扉の前に到着した。
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