第2話:アミリアと……。
いつの間にか里に来ていたアミリアや魔王軍の親衛隊に驚きつつリリアーナ達の元へ戻り説明をする。
「そういえばお父様に咄嗟に連絡を飛ばしたのでした……」
「そうだったのか、それなら兵士たちが居るのは納得だね」
「だから道が開けてたんですね~。あっ、馬車をしまいました~」
皆が降りた馬車を
「よし、じゃあここからは歩いて行こうか」
それから歩きながら丘を降りていくと、攫われた子達の家族が駆け寄って抱き合う、中には号泣している親も居る。
「ふぅ……これで一段落かな……」
「そうですね……」
「疲れましたぁ~」
息を吐いた後、先程も聞いた声が聞こえて来る。
「おーい、ユウキ~リリアーナ様~セレーネ~!」
アミリアが手を振りながら歩いてくる。
「あっ! アミリアさーん!」
セレーネが駆け出してアミリアに抱き付き、バランスを崩したアミリアが倒れ込む。
「あーあ……」
「大丈夫ですかね?」
近づくとセレーネとアミリアがゴロゴロと転げている。
「良かった〜無事で!」
「あはは〜私は、どんな敵よりユウキさんが怖かったよ……」
「それってセレーネがなにかしたんじゃ?」
「違うよ!? ユウキさんが天災を起こしたんだ……よ?」
ばっちしと目が合うセレーネ、すると気まずそうに目を逸らす。
「??????」
「いや、否定はしないよ? でもあれは不可抗力だし悪かったって。それに、あの後撫でまくったじゃん」
するとアミリアとリリアーナがジト目になる。
「ま、まぁ! 無事帰ってきました!」
シュタっと起き上がりダッシュで逃げるセレーネ、するとリリアーナとアミリアがダッシュで追いかける。
「待ちなさいセレーネ!」
「詳しく聞かせてもらいますよ!!」
「ひえぇぇぇぇぇぇ!!! 不可抗力ですよぉぉぉぉぉ!!!!」
里に向けて全力で逃げる。あ、捕まった。
「たしゅけてぇぇぇぇぇぇ!?」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「Zzz……」
「ユウキさまぁ……私も撫でて下さいよぉ~」
宴の夜、目が覚めると寝床にはアミリアの姿が無かった。
「ん? 今外に居るのか……」
ベットを抜けて外に出ると星空の下、月を映した湖の
「どうしたの?」
ブランケットを肩に掛けながら問いかけるとアミリアの肩が跳ねた。
「ひゃう!? な、なんだユウキかぁ……ビックリしたぁ~」
「ゴメンゴメン、それでこんな所にどうしたの?」
「いやーなんか目が冷めちゃってね~、外出たら湖が凄く綺麗でね~」
少しお酒が残ってるのかぽわぽわ~っとしつつ答える。
「確かに凄く綺麗だな~」
大きく腕を上げて伸びをする、落ちそうになるブランケットを支える。
「おっとと……ありがと~」
「そういえば、結構飲んでたね」
「そ~なの~ここのお酒おいしくってさぁ~」
そう言って倒れ込んで来るアミリアを支えて座らせる。
「うひひ~ありがと~」
(明日起きたら悶絶しそうだなぁ……)
そんな事を考えているとアミリアが突如立ち上がった。
「呼んでる?」
「え? ちょっ!」
駆け出したアミリアが湖に飛び込む、追って飛び込むとアミリアは驚異的な速度で底へ潜っていく。
「速い!? なら!『魔装——クロケル!』」
魔装を展開すると竜の角が生え天使の翼が一対現れる、水竜としての姿を持つクロケルで水流を操作しながら高速で接近する。
「アミリア!」
そう声に魔力を乗せて放つ、届いたのかアミリアはこちらを
「我、悠久の時を超えし神代の血を引くもの、その封印を解き我の目の前に現れよ!」
先程俺がやったようにアミリアは魔力を乗せた声で言い放つ。
――――ゴゴッ……ゴゴゴゴゴ。
湖の底がぽっかり空き俺とアミリアは吸い込まれた。
(とにかくアミリアだけは!)
アミリアを抱き寄せ水流操作の効かない水流が意思を持ったように流されていく。
(うわぁぁぁぁぁあ!?)
◇◆◇◆◇◆◇◆
結構な時間流され気が付くと神殿の様な場所に辿り着いた。
「やったぞ! 成功だ!」
「これで人類は救われる!」
ざわざわと周囲に集まっていた人間が騒ぎ出す。
「アミリア、大丈夫か?」
「んんっ……」
アミリアを揺すると、気が付いたのか目を覚ます。
「ユウ……キ……?」
「あぁ、俺が誰だかわかるなら大丈夫そうだな……」
「ここは?」
「わからないけど、多分異世界に召喚されたんだと思う」
恐らく周りの連中の感じから推察すると召喚された時がフラッシュバックする。
「召喚って……ユウキがこの世界に呼ばれた時みたいに?」
「あぁ、そうみたいだな……」
「というか、ユウキって呼ばれ過ぎじゃない?」
呆れたように言うアミリア、まぁ確かに俺もそう思ったけど……。
「いや、今回はアミリアが呼ばれたんだと思う」
「私が?」
「はい! 私達はこの度新しい聖女様になる、王家に縁のある者をお呼び立ていたしました!」
「という事はここは……」
「はい! グリームス
「グリームス?」
「神教国?」
聞いた事無い名前だった。
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