第3話:疑われてる……

異世界から帰って来た翌日、俺は総務省に綴さんと鳳さん、そして両親と来ていた。


「それで、この証拠で、どうして上凪優希君と、この人物が同一人物であると証明できるんですか?」


机の上には前回来た際に採取された俺の血液及び切り落とされた後保存された左腕手首が冷凍された状態で置かれている。


「これだけ証拠が揃っているのにですか?」


鳳さんが真剣な顔で職員に詰め寄る。


「えぇ、普通に考えて死んだ人間が5年後の姿で1ヶ月後に帰ってくるなんておかしいじゃないですか」


「確かにおかしいですね……」


「優希さん……あなたの事なんですが……」


鳳さんがジト目でこちらを見て来る。


「そうは言ってもねぇ……普通の事なら、この人も信じるんでしょうけど……」


「このままじゃ貴方は、死んだ人になるんですよ?」


「うーん……どうしよう……何か証明できること……」


「正直、貴方が上凪さんを可能性も否定できないんですよ」


「何か証明できればなぁ……」


「何かしら以前の上凪さんと同じか、それ以上の実績があればですが、個人の口座暗証番号や探索者許可証カードの暗証番号なんてのは信用になりませんからね」


「実績ですか……じゃあこうしましょう、現在この国にある未踏破ダンジョンって中級が最高ですよね?」


「えぇ……でもそれがどう関係あるんですか?」


「実績作りですよ。そして世界中どこを探しても上級を踏破した国は無い、で間違いは無いですね?」


「私の記憶している限りは……」


「じゃあ踏破しましょう、上級ダンジョン」


「は?」


「「「「優希(さん)!?」」」」


「それでも、認めてくれないのなら俺は他国に移住します。無論、水城 耀、小鳥遊 春華、冬華もです、そうだなぁ……イタリアには縁がありましたしそちらに移住しても良さそうですね」


「そしてこの国は経済で、最大級の損を出すことになります」


俺は職員の目の前で空間収納アイテムボックスを使い魔石を取り出す。


「これ何だかわかりますか?」


「只の宝石じゃないか……」


「まぁ見た目はそうですね、ですがこれは魔石というもので私が5年間過ごした世界ではエネルギーとして扱われてます」


「だからといってそれを扱える人間が居るはず……まさか……」


「はい、私がどうして帰って来れたか……少し考えればわかってもらえるかと思うのですが……」


「待て!!すぐ上司に相談する!!」


そう言って職員が飛び出して行った。


「ふぅ……疲れた……」


「優希さん……どこでそんな交渉を」


「いやーこうゆうのって後引くから、やりたくないんだけどね……」


「本当に……女の子に囲まれてニヤニヤしてるのとは別人じゃないかしら……」


「ねぇ本当にこの子私達の子供かしら?」


「何か自信無くなって来たな……」


おい両親ふざけんな、あんたらの赤裸々な秘密ぶちまけるぞ。


「それにしても……中級はまだしも上級ダンジョンなんて……」


「そうよ……それに魔石の情報……漏らして良かったの?」


「まぁ現状魔道具を作れるのはユフィだけですし、この世界の人達が束でかかっても敵わないですから」


「その、ユフィさん?という方が優希さんの言う異世界の人なんですか?」


「まぁ、そうだね後は向こうのお姫様も俺の家に今居るよ」


「それって不法入国じゃ……」


「ばれなきゃ、犯罪じゃないんですよ……」


まぁ実際には現状のまま異世界との交流をしても嚙み合わないし、まずは異世界を認知して貰わないと困るし……その為の根回しを厳徳さんがしてくれている訳だ。


「まぁ現状行き来出来るのが俺だけだからなぁ……」


「その問題もあるからね……」


「しかし、異世界楽しかったな」


「そうね、また行きたいわ」


◇◆◇◆◇◆◇◆

それから職員の人が上司っぽい人を連れてきた。


「はぁ…日本を代表する探索者とダンジョン対策課の職員が居てなぜ詐欺師に引っかかるんですか…」


詐欺師と言われたよ……まぁ5年で顔つきが別人になったもんなぁ……


「ともかく、上級ダンジョンとかいう寝言ってないで、パスポートを出して下さい、このまま入管に引き渡しますから」


何か面倒なこと言い始めたぞこの人。まぁそりゃ、今の俺身分とかは証明できないけどさ……


「わかりました、あなた方がそうゆう手段に出るのであればこの方の身柄は私達が保証します、その上で上級ダンジョンを踏破しましょう、そうしたらこの方はこの国に必要な方となります。それと、貴方のお名前を聞かせて貰えますか?」


「あのね、あなた方にそこまで権限は無いでしょ、何寝言ってるんですか?」


「わかりました、今日をもって私、広報の為の探索者は終わりにします、そして1週間以内にこの国を出ます、先程優希さんの伝手があると言われたイタリアに移住の打診をします無論水城さんと共にです」


「それでしたら出国停止になるようにさせていただきますが?」


「くっ……」


鳳さんが返しに困窮したので助け船を出す。


「それでしたら亡命させてもらいますね」


「は?」


「そもそも、今の俺に国は関係ないですから」


「何を言って……」


「だって俺、空飛べますから」


「「「「「「はぁ!?」」」」」」


なんでみんな驚くんだよ……つか父さんと母さん綴さんも武術大会見に来てたじゃん……


「えっと……与那国島から台湾まで100㎞ちょい……足場も作れますしそこまで無理な距離じゃないですね」


そう言って空中に浮きながらGo〇gleで調べた画面を見せる。


「さて……まだ言いますか?」


「お前……一体何者なんだ……」


「だから、貴方達の目の前にある資料の人物ですよ」


「わかりました……そこまで言うのなら挑戦してもらいましょう……ソロ上級ダンジョンを!!」


なんか面倒な制約が追加されたな……


「わかりました、どこのダンジョンにしましょうか?」


「それでしたら、最近発見された大諏訪ダンジョンにしましょう」


「諏訪って言うと……長野県ですか……」


「えぇ……最近発見されたダンジョンで洞窟の様な形状のダンジョンで水生生物が多く存在します、そして現在このダンジョンは5階層から下は水没しているので進行不可能です、それも相まって上級ダンジョンに指定されています」



厭らしい笑みを浮かべる職員、水没ダンジョンなんてそこまで苦じゃないんだけど……。


過去に水中ダンジョンを進むために風の障壁をユフィと共に開発したんだよね……懐かしい。


「わかりました、じゃあ攻略しましょう」



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あとがき


作者です。


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です!


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