第7話:お持ち帰り
その声と共に頭巾が目の前に迫る。
「早っ!」
持っていた鞄を盾にする、強化して硬化した鞄に相手の武器が当たり甲高い音と共に弾く。
(パワーもあるな!上手く身体強化使いこなしてる)
「耀、春華。持っててくれ!」
先程買ったお土産と指輪を投げて渡す。
「はい!」「任せて下さい!」
「おにーちゃんこれ!」
冬華が何か投げてきた、警棒!?
「なんで警棒なんか!?」
「護身用にお父さんから渡された!」
(なんてもの娘に渡してるんですか鷲司さん!)
「まあ、この場合は助かった!」
飛来する物体を叩き落す、見てみると手裏剣や苦無だった。
「いやいや忍者かよ!」
「なヌ!何故ばれタ!」
「忍者はそんなんじゃ!ないよ!」
「ガーン…」
(くそっ、追えるけどギリギリの速さだろ…)
執拗に飛んでくる手裏剣と苦無の近接攻撃が非常に攻めあぐねる。
手裏剣を弾いたら目の前に苦無を構えたメアリーが迫ってる。
それを弾いたり逸らしたりすると間髪入れずに手裏剣が飛んでくる変則的に手裏剣を拾っているが、ひたすらそのループが上手い。
(人間相手に攻撃魔法とか使えないし…下手したら命を奪いかねないんだよなぁ…)
向こうも段々攻略出来ないのか焦り始めてきた、攻撃が雑になって来てる。
何十回目の攻防を終えるとやっと攻撃が止まる。
どうやらメアリーの体力が限界に近い様だ「ぜーはーぜーはー」と肩で息をしている。
「なあ、メアリー終わりにしない?」
「なヌの…すゥーーーはぁーーーーコレしキ!すゥーーーはぁーーーー」
諦めてくれないか…
「よし!じゃあメアリー!今度はこっちが攻める番だな!」
「はェ?」
「いっくぞーそうれ!」
身体強化でコンクリートを踏み抜きメアリーに詰め寄る、理解したのか慌てて苦無を構え直す。
「よっ、ほっ、とう」
「ぴぎゃ、ぴゃ、ひえー」
受け止める度リアクションが増えていく、なんだこれ面白いな。
「ほらほら~もっと早くするよ~」
「だメ、ですゥ!もう、こレじジょうは!みゅり!」
そうして耐え切れなくなったのか苦無が手から抜け落ち、俺の攻撃が肩に入った、肩甲骨辺りが砕ける感覚が手に伝わる。
「あっ、やべっ」
直ぐに武器を捨てて顎にアッパーカット入れる。
「ぷぎゅ」
ちょっとあれな断末魔と白目を晒してメアリーは気絶した。
「おっと…」
倒れない様に崩れる体を受け止め…でっか(ゲフンゲフン
受け止めると、ゆっくりと横に寝かして回復魔法をかける。
「さて、どうするかなー」
「お疲れ、優希」
「お疲れ様ですお兄さん」
「おつかれーおにーちゃん」
「いやー大変だった」
「大変そうにはみえなかったけど?」
「怪我させず制圧したかったんだけどね…」
「でも大けがはしてないんだよね?」
「治した骨折を大けがと言うかは悩ましい所だけどね…」
「それで優希お兄さん、この人どうするんですか?」
「どうしようか…」
「とりあえず縛ったよ~」
「縛っちゃったの!?」
メアリーは綺麗に両手両足を縛られ海老反りにされている
「なんか持ちやすそうにされてるんですが」
「私ダンボールとか持ちやすくするの得意なんだよねー」
「さいですか」
「あらあら、お嬢様のご学友は荷造りの達人なのですね」
急に声がして驚きながら背後を振り返ると着物のおばあさんが居た。
「初めまして上凪様、水城様。お久しゅう御座います、春華様、冬華様」
「「あ、はい…初めまして」」
「あ!ばあやさん」
「あーばあやさんだ~」
「二人は知ってるの?」
「はい、この方は巴ちゃんの家で家政婦をやられているばあやさんです」
「何十年も家政婦さんやってるすごいひとなんだよー」
「巴ちゃんの家の家政婦さん…って事は」
「はい、御夕食会へのご案内に来させていただきました」
「そうなんですか、助かりました。でも何でこの場所が?」
「禁則事項です♪」
「え?」
「あら、このネタが通じませんか…」
「すみません…」
「若い子なら通じると思ったんですが…」
「すみません…」
「いえ、とりあえずお車は用意してますのでお乗りください」
そこに居たのはリムジンだった、お金持ちは皆リムジンが好きなのか?
「そんな事はないですよ、6~7人まで効率よく運べるのがリムジンなだけですから」
「今?声に出てました?」
「いいえ、年寄りの勘です」
「すごいっすね…」
「褒めていただき光栄です」
「では、皆様そうぞお乗りください」
「わーい」「失礼します」「ありがとうございます」
三人は次々乗り込んでいく、さて俺も…
「上凪様」
「はい?どうしました?」
「あちらの方はどういたしますか?」
指さされた先には持ち運びしやすいようにコンパクトにされたメアリーが居た。
「どうしましょうかねー」
「放置していくのは流石に問題かと…」
「ですよねー」
「とりあえずのせますか」
「良いんですか?」
「余裕はあるので大丈夫すよ」
「じゃあ、すみませんが中に入れますね、よっと」
海老反りは可哀想なので抱えて車内へ入れる。
「それでは出発致しますね」
ばあやさんが運転手へ伝えリムジンが動き出した。
(あ、やべっ地面直すの忘れてた)
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あとがき
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