エピローグ:ただいま異世界

それから結婚式はざわつきながらも、つつがなく終わり場所を大きなホールへ移して披露宴となった。


ちなみに俺達は円卓を囲って食事を摂っている、俺達の食事はこの世界のコース料理である。


だが下のフロアーの参加者の食事はこの世界の料理と、何故か日本のカレーやハンバーグ、更にはうどん迄ライブキッチンやバイキング形式で用意されている。


「しかし考えたわねライブキッチンやバイキング形式にしたのは」


「シド様と話しててね。色々な人種が集まるし、種族が様々だからね。一定のコース料理より自分達で食べやすいものを取れる方が良いかと思ってね」


「使用した食材を明記してるのも良いですわね、これなら種族毎に食べられないもを避ける事が出来ますわね」


「私達の世界のアレルギー表記に似てますね」


「それを基に考えたんだよ、まさか日本食があるとは思わなかったけど……」


「あれ?優希おにーちゃんが教えたんじゃないの?」


「違うんだよね、だって日本食があるなんて知らなかったから」


「だとすると……優佳ゆうかさんかな?」


「多分そうだと思う、来てから少しの間厨房に入り浸ってたし」


異世界の料理を学んでいるのかと思ったんだけど……まさか日本食を教えてるとは……


「私も少し、デザートについてご教授をしました」


「そうだよね、前に来た時はここまで綺麗なデザートは少なかったし、生クリームなんて無かったよね?」


「それはゼラチンで代用できるホイップクリームですね、ショートケーキだと難しいですがクレープやパンケーキには美味しく使えます」


ライブキッチンではクレープやパンケーキに、ホイップクリームを乗せたものに女性と子供が集まっている。


「やっぱりお食事の方は、カレーが人気ですね」


春華ちゃんもライブキッチンの様子を見ている。


「うむ、ハルカが作ってくれたカレーは絶品だったからな!」


「ん、シチューも美味しかった」


「向こうの世界でまた作りますね」


「ユウキ様……その……カレーとかシチューとは?」


「あぁこの間エアリスは居なかったもんね」


「俺達の世界の料理でね、シチューは牛乳煮に似た料理で、カレーはそれにスパイス使った料理なんだけど……」


メイドさんにカレーを1人前を持ってきて貰った。


「失礼します……」


「私も食べてみたいです!」


エアリスとユキが恐る恐る食べる。


「なんですか……これ……」


「辛いですが……美味しいです!」


手を尻尾をパタパタさながらユキが喜ぶ、エアリスも目を大きく開いて驚いている。


「どう?エアリス?」


「美味しいですね……スパイスの辛さが来ますが、なぜここまで味に深みがあるんですか?」


「多分母さんの隠し味があるんだよなぁ……」


「私と春華ちゃんは知ってるわよ」


そういえば耀のカレーは母さん直伝だったな、春華も覚えてたし。


「それで旦那様この後ハ?」


デザートまで食べきった頃にメアリーが聞く。


「確か今日はこれで終わりで、明日から3日程、武芸大会や市街地でお祭りが開催されるみたいだね」


何とエキシビジョンで俺がガリウス・劉英リーエンさんと闘う事が告知されている。


「確かユウキ様は獣王様と龍頭リョウズウ伯爵と模擬戦をするとか……」


「あはは……正直気が重いよ」


「ユウキ、ガンバ」


「私はヴォルフと表舞台最後の模擬戦だな……まぁ私の引退式みたいなもんだ」


「私は遠的のコンテストに出るよ!」


「私はその……武術大会に」


「え?鈴香ちゃんいつの間に……」


「実はティアニールさんとの約束で、『私が師匠として、手を引いてやるんだ。武術大会くらい勝ってもらわんとなぁ』と言われまして……」


「私はお料理の勉強ですね!お母さん達とこの国のお料理について勉強しないとですし!」


「わっ……私はお菓子を学びたいです」


「私は、寝る」


「そういえば気になった事があるんだけど……今日雛菊さん見なかったんだけど……どうしたの?」


そう、今日の結婚式雛菊さんが居なかったのである、参列者にも控室でも見なかったので疑問に思った。


「それはですね……」


「雛菊さん、今爆睡してるのよ……」


「はイ、我々9人分ノ、ウエディングドレスを用意してくれてたのデ……」


「しかも、直前まで細かい直しもしててくれたのよ」


「流石に参加しようとしてましたけど……」


「流石に止めたよね~」


「はい……いかにも倒れそうでしたので……」


「そうだったんだね、雛菊さんにはお礼をしないとな……」


「それだったら、いい案がある」


「ん?どんな案?」


「ユウキの世界へ、一緒にごー」


「確かに、せっかく作ってもらった魔法鎧も修繕とか必要になるし」


「ファッション誌だけじゃ、無理があるからね!」


「それニ、当人は着いて来る気満々でス」


「本当に行くかは雛菊さんに聞いてみないと、駄目だけど。行きたいと言うなら手を尽くしてあげないとね」


「ん、きっと喜ぶ」


そんな話をしているとシド様が締めの挨拶に入ってる。


「それじゃあ、俺。締めの挨拶があるから、行って来るよ」


「いってらっしゃい優希」


「がんばって下さいユウキ様」


「おにーさん、がんばって下さい!」


「おにーちゃん、楽しみにしてるよ~」


「いってらっしゃいませ優希さん」


「頑張って下さイ、旦那様」


「がんばって下さい優希さん」


「ファイト、ユウキ」


「頑張れ、ユウキ」


「ユウキ様ファイトです!」


皆に見送られ静まり返った会場で俺はシド様の隣に立つ、数カ月前に元の世界に戻ったのを思い出す。


「皆の者!我等が世界を救いし勇者ユウキがこの度結婚した!相手は、この世界そしてユウキの世界の者達だ!拍手と感謝の言葉でさあ祝おう!」


その言葉により静かだった会場が万雷の拍手と祝いの言葉が飛んでくる。


「さぁ!勇者ユウキよ……」


そう言ってシド様が俺に魔道具を手渡してくる、それを受け取り俺は言葉を紡ぎ出した。


「————————」


---------------------------------

12/18追記

新作公開しました!!催眠術を手に入れた主人公のラブコメです!!


【チートな催眠術を貰ったけど、気軽に使える訳が無いので、普通に生きようと思います!! ~二度目の青春はそんな事許してくれない~】

https://kakuyomu.jp/works/16817330656339993124


ここからあとがき

作者です!!


はい!4章終わりです!


その内幕間武術大会で頑張る鈴香や主人公がガリウスと劉英リーエンと闘う所をやろうと思います。


4章の主題が異世界で何も得られなかった主人公が全てを受け取るのを主題としてました。

ここから元の世界に主人公達は戻ります!(ちょくちょく異世界に遊びに行くけど…)


色々と成長した主人公に待ち受けるものとは、刺されずに女性問題を解決できるのか!


4章で取り残した伏線を作者は忘れずに回収できるのか!


楽しみにしてて下さい!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る