第34話:理由と翌日

という訳自宅に戻ると、皆の靴が揃っていた。


「ただいまぁ……おまたせしました……」


そろりと入るとピリッとした空気が流れていた。


「優希、おかえりなさい。いきなりで悪いけど。ここに座ってくれるかしら?」


耀が開口一番、自分の隣の椅子を指差す。


「はい」


「それじゃ話を始めましょう。優羽、どうして教えてくれなかったの?」


「そ、それは……」


口ごもってしまう優羽、隠し事があるのか視線も泳いでいる。


「優羽、こんな事言うのもアレだけど。出会ってまだ半年くらいしか経ってないから俺達を親と認めるのも嫌かもしれないけど。優羽が大きくなるまでは保護者をやらせて貰えないか? それともこんな人じゃダメなのかな?」


そう言うと、申し訳無さそうに口を開く優羽。


「ごめんなさい、お父さん達は皆やることがあって毎日忙しそうにしてるし、私の事で迷惑を掛けられないかなと思ったんです」


「優羽の為ならいくらでも時間が作れるわよ、私これでも優希と違って授業にはしっかり出て居るもの」


「ユウキ様の代わりでしたら公務もすっぽかせますし」


「そうね、私は日が浅いから代わりにはなれないけど、その……先生?の話を聞いてユウキに伝える位は出来るよ」


「優羽ちゃんそういう時ハ、私を頼って下さイ。こう見えて大学は卒業しておりますのデ、一番役に立てるかト」


「それはズルいでしょメアリー!」


「フフフ、特権という奴でス」


「ん、なら私も。既にいくつも論文を書いてるし。世界中の大学から勧誘が来てる」


わちゃわちゃとし始める皆、その姿を苦笑いしながら見る優羽。その隣に行って頭を撫でる。


「皆優羽の事が好きだからね、だからその為に何でも出来るんだよ」


「お父さん……でも一番は、お父さんの事を知られたくなかったんだ……」


「へ?」


優羽の発言に皆が動きを止める、どう……して?


「優羽……俺の事嫌いなのか?」


「違う違う! だってお父さん凄く有名人でカッコ良いから……」


耳を赤くしながらぼそぼそと尻すぼみになっていく。


「「「「「あぁ~」」」」」


何故か皆、納得した様に頷く。


「何で皆頷いてるの!?」


「それは優希だし?」


「ユウキ様ですから」


「優希さんですからねぇ……」


「おにーさんですし……」


次々と言われる、そんなにか……。


「と、ともかく! 今度から優羽はちゃんと行事や親の誰かを必要とする事があったら言う事、遠慮なんてしない様に!」


「わかりました、以後気をつけますね」


笑い出す優羽の頭を少し強めに撫でるのだった。


◇◆◇◆

「と、いう訳で。水曜日の深夜が御前試合になったから」


「は、はい……」


「わかりましたわ!」


「あぁ……憂鬱だ……」


翌日、華組の皆に御前試合の日程を話すと皆の顔が強張る。


「それで、昨日の課題はどうだった?」


「「「………………」」」


「うーん……難しかった?」


出来ると思ったんだけどなぁ……。


「難し過ぎですわ……何なんですの皆さんの練度は……」


「うーん、そこまでだった?」


「えぇ……四方八方から投げ込まれるお手玉……中身が綿なのに速度がとんでもないですのよ」


そう言って肩を落とす西園寺さん、どうやら俺の想定を超えて皆が育ってたらしい。


「確かに、巴ちゃんには皆が身体強化状態で投げるように言ってたけどそこまでだったか……」


「あれはプロの野球選手並みですわよ……」


「そんなにか……ちょっと体験してみたいな……」


そう言うと、三人が引き攣った顔を見せる。


「上凪さん、あなた結構戦闘バカですの?」


「えっ……い、いやさ! 皆の成長を見るのに丁度良いかなぁって!!」


決して戦闘バカじゃない……バカじゃないぞ!?


三人の視線が呆れに変わりつつあるので話を逸らす。


「か、賀茂さんはどうだった?」


「わ、私は……あまり上手くは出来ませんでした、どうしても関節の部分が人間と違うので外部から圧力をかけるイメージにならないと動かせなかったんです」


デッサン人形の関節を指で動かしながら言う、確かに人間やモンスター等の生き物は関節を筋線維で動かすもんな……。


「確かに……ごめん、俺も少し考えれば良かったね。」


「い、いえ、私もやってから気付いたので……」


うーんいい方法だと思ったんだけどな……逆にゴムなんかで靭帯を再現したらできるのかも? 


(それが出来たら人形遣いとか出来るかもしれないな……)


「最後は私です」


「うん、どこら辺が駄目だった?」


「それが……こうなってしまったんです……」


差し出してきたのは試作型魔導砲台の一つがバラバラに壊れた姿だった。


「これは……」


「い、意図的に壊してしまったわけでは無いですよ!? ただほんの魔力の出力を上げてたら爆発しまして……」


「マジ?」


「はい」「えぇ」「あ、あれにはおどろきました……」


またもや予想を超えたらしい、個人の魔力を補う形で提案したらここまで化けるとは……。


「仕方ないか、壊れた試作型魔導砲台これもユフィにはいい研究材料になるだろうしね」


「それで、皆は怪我は無かった?」


「大丈夫ですわ、爆発の瞬間光が出ただけですので」


「そうなの? どれどれ『鑑定』」


鑑定魔法を使うと、どうやら機械の表面に防御魔法をかけていてそれが外傷と内側からの攻撃を防御したらしい。


「あー試作型魔導砲台これって、いざという時に使用者に被害が出ない様に防御魔法の魔法が組み込まれてるね」


多分俺が調子乗って壊す事を想定してるな……。


「ともかく、それを踏まえて今日の練習しようか」


とりあえず今日は休日だし、朝から晩まで頑張ってもらおう。


練習メニューを考えながら異世界に転移した。




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作者です。

ここで補足を、優希君実は小学生に滅茶苦茶大人気です。

2章での戦闘だったり、迎賓館の戦闘でヘリを両断したりと漫画やアニメの中でしかない様な戦闘を見て男の子にとってはスーパーヒーローですし。

女の子は優希のイケメンさにやられてます。



【ファンタジー長編コンテスト】中間選考……【突破】してました!!

読者の皆様ありがとうございます!!


231万5000PV超えました!!ありがとうございます!

毎日、そしてここまで読んでいただける方、ありがとうございます!

読んでいただける方には感謝しかありませんが!!


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毎日ありがとうございます!!

☆も1329になりました、1320超えました!ありがとうございます!

感想も新規ブクマもありがとうございます!!

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