第13話:前線砦作成④
「今日の作業終了!」
日も暮れかけてきた頃、俺がそう言って伸びをすると、職人さん達がその場に倒れ込んだりへたり込む。
「づかれだぁ~」
「あぁ聖騎士様は体力お化けだぁ……」
「あれでケロッとしてるのすげぇよ……」
「いやいや俺も疲れてるからね? ただ2~3日なら戦える様にしてるだけだからね?」
そう取り繕うとげっそりとした皆の顔から血の気が引く。
「2~3日……」
「戦える……」
「「「「「ホントに化物かぁ~」」」」」
「ちょまてぃ!! だれが化け物だ!!」
思わずツッコミを入れると皆が笑いだす。
「ほーうわかった、そんな化物の回復魔法はいらないよな?」
じろりと睨みながら言うと、途端に笑って居た人達が黙る。
「さて、明日も今日と同じ時間で開始だからね~俺はこれから見回りに行って来るよ」
皆に告知して行こうとすると慌てだす。
「すまんかった!!」
「だから! 回復! 回復魔法を!!」
「えーだって化物の魔法はいやでしょ?」
「冗談だってばぁ!!」
「頼むよ!! 俺は言ってないぞ!!」
這いずりながら寄って来る人達、流石に汗まみれでずりずり来られると絵面が酷いな。
「冗談ですよ、ちゃんと回復してあげますって。丁度いいしやっちゃうか『——エリアヒール!』」
30メートル四方の魔法陣が出現してその上に居る人が回復していく。
「あぁ~きもちえぇの~」
「久々に風呂に入った気分だ」
「噂に会聞いてたけどこれは凄い……」
皆気持ち良さそうな顔をしている、というか風呂入ってないのか……まぁ沸かすの大変だしな。
「それじゃあ、皆さんにもう一つ! ご褒美を!!」
土魔法で壁を作り中に湯船を作る、ついでに配管もタンクも一緒にだ。
「「「「「おぉおおぉぉぉぉぉぉ!!」」」」」
「最後は一度素焼きしてっ! はい、完成! お風呂です!!」
そう言うと大歓声が上がる。途端に男衆が脱ぎ始め我先にと入って行く。
「まだお湯入れて無いんだけど!! あぁもう!! 『——水魔法!!』」
「「「「「ぎゃあああああああ、つめてええええええええ!!」」」」」
混雑して危ないので文字通り冷や水を浴びせる。
「とりあえず順番で!! お湯入れるからその間に決めてて!!」
溜息をつきながら水魔法でお湯を出してタンクを満たしながらと昨日買ってきた桶を並べる。
「はい! これは石鹸ね!」
大掃除の時。異世界で使うからって、実家に大量にあった石鹸(お中元とかのやつ)をアイテムボックスに入れていたのであった。
「何じゃこの石鹼は!?」
「いい匂いがするな!」
「一人一つじゃなくて使いまわしてね!」
「わかった! よし俺が先に行くぞ!」
「てめぇ!! ずるいぞ!!」
「俺にも使わせろ!!」
どたどたと第一陣がお風呂へ向かい、第二陣以降は石鹸を舐めたり、嗅いだりしている。
「あのぉ……聖騎士様……」
すると後ろから女性の声がして、振り返るとロップルさん以下十数名の女性が居た。
「あぁ、すみませんね。今女性用も作りますから。」
ニコリと笑いながら言うと女性陣が湧く。
「そうだ、木工職人さん居ましたよね?」
「あぁ! アタシだ!」
「少し相談があるんですがいいですか?」
「あぁ、良いぜぇ。何でも言ってくれ」
そうして女性陣を伴い少し離れた所に女性用のお風呂を作る。
「今から石の上に木を敷くので
「良いけど、どうしてだい? 私達も男衆と同じで石の床で良いんだぞ?」
その言葉に頷く女性陣。
「いや、この後ここに来るアミリア……聖女様も使うから床を綺麗にしたいんだ」
「そういう事なら任せろ!! ギルマスには及ばねーがアタシも職人だ、最高の床を仕上げてやるぜ!」
あのギルマスそんなに凄いんだ、確かに鰹節みたいな薄さだったもんなぁ……。
「そうしたら 後の皆さんで彼女を手伝ってあげて下さい」
「「「「「はい!!」」」」」
20本近い木材を置いてお風呂作りに向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「いやぁ……疲れたなぁ……」
広い湯船に浸かりながら空を見る、先に入った皆はもう寝ていて。俺は先程まで周辺の警戒と空から第二砦の偵察をしていた。
「敵は割と夜目が効かないみたいだし、少数で夜に攻めるか?」
でも夜目が効く人なんてこっちにはそんなに居なよな?
「俺一人で奪還も可能だけど……流石に初戦から俺一人で戦うとアミリアに対しての求心力が下がらないとも限らないし……」
王都周辺の貴族なら良いけど遠方の貴族はただでさえ不信感あるだろうしなぁ……。
「ちょこちょこと、ちょっかいをかけて戦いやすいようにしとけばいいか」
あと数日あるから指揮官さんとも話したりで、なんかいい考え重い浮かばないかなぁ……。
ちゃぷちゃぷと水をかきながら考えるのだった。
⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤⏤
作者です!
昨日は寝落ちしてしまい更新できずすみませんでした!
158万4000PV超えました!!ありがとうございます!
毎日、そしてここまで読んでいただける方、ありがとうございます!
♡も3万5300超えました!!毎日ありがとうございます!!
☆1140超えました!!感謝!!
新規ブクマもありがとうございます!!
ブクマも5000超えました!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます