人気投票SS:【理映編】
「お父さん! 朝ですよ、あーさ!」
聞きなれた優羽の声と揺れに目を擦りながら起き上がる。
「おはよう、優羽……」
「おはよう、お父さんって、寝癖凄いね」
「あぁ、ほんとだ……こいつは凄い……」
某国民的ジャ○プアニメの主人公の強化状態並みの逆立ち方をしている、どうしてこうなった?
「ほら、シャワー浴びてきたら? 今日は理映さんとのデートでしょ?」
「そうだけど……待ち合わせ時間は昼だよ?」
「いやいや、今日は春華お母さんが布団を丸洗いにするって言ってたじゃん。それに私も手伝うんだから早く起きて!」
最近の優羽は色々な母親達の影響か、まるで母親の様に世話を焼くようになっていた。
「了解、それじゃあシャワー浴びてくるよ」
それから、シャワーを浴びて戻ると、何故かリビングに顔を赤くした理恵が居た。
「おはよう理恵」
「お、おはよう優希君……」
「ほら、お兄ちゃん。私が見立てた理恵さんの服どうよ?」
立ち上がらせられた理映は、冬華によって回される。
白色のレースが入ったブラウスに大きな紺色のリボン、胸のブローチは薔薇を閉じ込めたローズクオーツで
「————うん、可愛い」
「あれは脳内で滅茶苦茶感想言ってるね……」
「——うん、聞こえてる……」
「でも優希、ちゃんと声に出してあげないと駄目よ」
そこに朝食を持って来たエプロン姿の耀が入って来る、2人分な所を見ると皆はもう済ませているのかもしれない。
「はい、理恵、簡単だけど食べてよ」
「あ、ありがとう……」
「優希も仕度あるだろうし、さっさと食べちゃって~」
「了解。あ、理映……その服すげぇ似合ってる、思わず見惚れちゃったよ」
「!?!?!?」
「いただきます」
素早く食事を済ませ、耀にお礼を言う、そのまま手早く冬華の用意してくれた服に袖を通す。よくわからないけど、どうやら理映の服に合わせたコーデらしく少し気崩すのが良いらしい。
「うーん……これで良いのかな?」
「おっけーおっけー、じゃあ頑張れお兄ちゃん!」
「ありがとうな冬華、いつも助かるよ」
くしゃりと頭を撫でる、それからリビングで待っている理映の元へ向かう。
「理恵お待たせー……ってなにやってるんだ?」
リビングでは隣の下の階から近所から来たであろう母さんが理映を抱きしめて、テレビを見ていた。
「優希おそーい、理映ちゃん貰っちゃうわよ?」
「わっ、わっお義母さん!?」
「母さん……理映が戸惑ってるから……放してあげて……」
そう言われた母さんが不満そうに理恵を放す、そして理恵を連れながら玄関へ向かう。
「それじゃあ、行き先は本当にそこで良いのか?」
「うん、お願い!」
「じゃあ皆行ってる」
「「「「「いってらっしゃーい」」」」」
◇◆◇◆
『すりー・つー・わん!』
閃光と共に鳴ったシャッター音、そして目の前の画面に加工された俺と理恵が出て来る。
「ぷっ……優希君の目ぇ、凄く大きいんだけど!?」
「いやいや、理映の目も凄いキラキラしてるんだけど」
お互いに笑い合う、その後は書き込みをしてプリントする。
「じゃあ次は、あの大きな綿あめが良いなぁ~」
「それって、数年前に流行った奴だよな……まだあるの?」
「わからない! 行こうよ!」
自然と腕を撮られる、平静を装ってるけど耳が赤くなっているのが見える。
「あ、あったよ優希君!」
「うお……マジか……」
なんだかんだ残ってるもんなんだな……。
「見て見て! ホントにカラフルだよ!」
理映の指差す先、そこには昔から変わらず鮮やかな手際で綿あめが作られる。
(それを見ながら喜ぶ理映、そういえば未来だとこういった娯楽っぽいお菓子少なかったよな……)
そんな事を考えていると注文したレインボー綿あめが出て来る。
「改めてみると凄い大きさだな……」
「そうだね……とりあえず優希君カメラカメラ!」
――カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ!!
「ちょ!? 撮り過ぎだよ!!」
「いーじゃん、いーじゃん。たくさん撮ってから良いのを選べば良いんだから!」
――カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ!!
「だからって、撮り過ぎだよぉ!?」
◇◆◇◆
それから綿あめを食べ終えた俺達は電車に乗り浅草にやって来た。
「なぁ理映、一つ聞いて良いか?」
「ん? なぁに優希君?」
浅草寺の大提灯をくぐり抜け仲見世を歩く。
「いやね神様がお寺に来るって……どうなの?」
その質問に腕に抱き付きながら歩く理映、歩き辛そうなんだけど本人は平気との事だ。
「前に神社で言ったけど、特に気にしないかなぁ……僕は神様ってものをやってるけど人の拠り所は人が作るものだしね、だからお寺でも神社でも特に気にしないよ」
「そういえば似たような事、数年前に聞いた……ような?」
思い出が多すぎて、思い出すのに時間がかかる、確かに言ってたような気がするんだけど……よく覚えてないや。
「まぁそれに、今の僕は優希君の彼女だからね~」
「そうだった、変な事言ってゴメンな」
「ふっふ~、じゃあお詫びにあのお団子が食べたいなぁ~」
そう言うと重みの掛かる腕に力を入れる、少し浮いてる理映と一緒にお団子屋へ向かった。
それからどら焼きにあげまんじゅう、ハートのカステラといちごの串だったりスイートポテトだったり……なんか凄い食べてばかりだな。
それからはすみだ水族館に、突然の猫カフェだったりと、食事比率が八割位……というか何でそんなに食べれるのか不思議に思いながらデートは続く。
「いやー回った回った!」
渋谷ヒカリエの展望デッキで二人寛ぐ。
「うっぷ……なんでそんなに入るのさ……」
「あはは~私、依り代で色んなものを食べ歩いてたからね~後、僕はほぼ無限に入るよ?」
「そうだったのか……」
「おーい、僕、前に言ったよね~?」
口を尖らせながら言う、いつの話しだろう……。
「まぁ、いいや……それで、こんな僕でも優希君の隣に居ても良いのかな?」
「良いですよ~その為に色んな所にお願いしましたし、頑張ったんですから褒めて下さい!」
ドヤ顔で言うと、理映は笑いながら俺を引っ張り倒し、膝枕をしてくる。
「じゃあこれからもよろしくね優希君」
「あぁ、よろしく理映」
夕暮れの中、周りも気にせず影が一つになった。
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作者です。
遅れましたすみません!!
とりあえずSSはこれでいったん終了です! 人気投票第二回のバレンタイン編は次章の間で差し込もうかと思います。
なので明日の更新は8章のプロローグです!
【ファンタジー長編コンテスト】へ出しております!読者選考期間も終わりまして中間突破が出来ればと思います!
203万PV超えました!!ありがとうございます!
毎日、そしてここまで読んでいただける方、ありがとうございます!
読んでいただける方には感謝しかありませんが!!
♡も3万7500超えました!!毎日ありがとうございます!!
☆も1237になりました!感謝!!
感想も新規ブクマもありがとうございます!!
気付いたらブクマも5580超えました!! 感謝!!
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