第27話:式神契約
二匹の式神は俺と土御門さんの前に籠を置く、中には
「その烏は、代々四条家で育てている烏でね上凪さんの方は
「凄く長生きですね……そんな二匹を練習台にして良いんですか?」
「構わないわ、とは言ってもその二匹が自ずと望んだ事なのよね」
そう言って四条さんが視線を向けると、二匹の烏は短く鳴く。そして器用に籠を開けると外に出る。
「凄い器用……」
土御門さんが驚くのもわかる、かごから出た二匹はさぁと言わんばかりの視線を向けて来る。
「それじゃあ、手順を説明するわね。第一に自己の霊力を使役したい相手に注ぐ。それで相手が受け入れてくれたら第一段階は成功でありんす」
「わかりました、信乃さんよろしくね」
「かぁ!」
土御門さんが目を瞑り集中する、以前よりはっきり知覚できるようになった魔力で信乃を包む。
「これは凄うござりんす……この子私以上の才覚がありんすわ……」
魔力が収まると信乃が心地良さそうに、土御門さんにその身を預ける。
「そうしたら次に『土御門 結菜の名において、天地の理に従い、今ここに契約を結ぶ。八卦・五行の力を持って、汝の力を我が力としたまえ』って唱えるのよ」
「わかりました、『土御門 結菜の名において、天地の理に従い、今ここに契約を結ぶ。八卦・五行の力を持って、汝の力を我が力としたまえ!』」
そう土御門さんが唱えると信乃の翼の一部が鮮やかな朱色に変化する。
「それで契約は完了、どこでも呼び出す事は可能よ。ただし呼び出すには扉と霊道を通さないといけないでありんす」
「霊道……ですか?」
「そう、簡単な物だと箱や輪っかね、そこに自身の血や唾液を付着させて『来い!』って念じるの」
昨日見せて来た手のひらサイズの茅の輪を取りだす。
「あぁ、だから昨日それに血を塗って召喚した訳か」
「そういう事。それと陰陽師が使う霊道は、俗に言う龍脈から力を得ているか全世界どこでも瞬時に繋げるわ、ちなみに霊力も使わないわ」
つまりこの地球上なら、魔力消費無しで召喚可能な訳か……。
「へぇ、凄く便利だな……」
「そうね、だから私は式神を使って色々な情報を見聞きしているのよ。さて、次は上凪さんの番よ」
「それじゃあよろしく頼むぞ、与一」
間の前に居る与一に声をかける、与一も「かぁ」と一声鳴いてこちらを見据える。
(まず、魔力を与一に通して……)
「がっ!? ががぁ!?」
魔力を通すと、与一が突然苦しみ始める、大丈夫なのこれ!?
「四条さん、これ大丈夫なんですか!?」
「これは……すぐにさっきの契約の文言を唱えるんでありんす!」
「わかりました!『上凪 優希の名において、天地の理に従い、今ここに契約を結ぶ。八卦・五行の力を持って、汝の力を我が力としたまえ!』」
「ががぁ! ぐががががぁ!?」
唱えた瞬間、悲痛な叫びを上げ、血を吐きながら倒れてしまった。
「四条さん、これ……」
「大丈夫でありんす、恐らく与一は上凪さんの力で普通の烏とは違う存在になったんでありんす。私も一度だけありんしたから」
四条さんが倒れた与一を見据えると、与一の身体に変化が訪れた。
「優希さん与一さんが!?」
むくりと起き上がる与一、だがその足が三本に変わり翼の一部が白銀となっている。
その姿は神話に登場し、数多の漫画やゲームの中に出て来る存在。
「四条さんこれって……」
「そうでありんすね、私も初めて見んした……」
「八咫烏……ですよね……」
三人であっけに取られていると、どこからともなくダンディーな声が聞こえて来た。
「何やら、痛みが走ったと思いきや……私の身体にこんな変化が訪れていたとは……」
「「「!?」」」
「主殿、皆様、失礼いたしました。私、与一と申します」
「「「!?!?!?!?」」」
ダンディーな声と共に丁寧にお辞儀をする与一、その恭しさは執事を思い浮かべる。
「しゃ……」
「しゃべったぁぁあ!?」
「ははは……これはこれは……。本当に規格外なお人でありんすなぁ……」
そう言って笑いだす、四条さんだった。
◇◆◇◆
という事で、初めての式神契約を済ませた俺達は、引き続き四条さんの説明を聞くのだった。
「と、言う訳で。魔力を通して、拒否してくるなら交渉をしんす。交渉の種類は力比べが主でありんす。それで通して相手に認めさせる事を調伏するって言ったりするんよ」
今説明をされた事は式神契約を拒否られた場合の事である。
「まぁ、先祖代々受け継がれている式神も居て、当主が家を継ぐ際に自動的に受けつぐ場合もあるんけどねぇ」
紙の煙管で煙を吐きながら言う四条さん、今吸っているのも煙草では無く、吐いている煙は見せかけらしい。煙管部分が扉になっていて吐いた煙を集めて呼び出す事が出来るというものらしい。
「そうなんですね」
「そうねぇ……一条家は代々受け継がれている式神が居るわね、しかもかなり強力な……」
そう言うと、武道場にあった鐘が鳴る、すると四条さんは大きく伸びをした。
「それじゃあ、続きはお昼ご飯を食べてからにしんしょうか」
指差した時計はキッチリ12時を指していた。
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作者です。
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