第26話:そんな…まさか…
春華と冬華の魔法鎧のお披露目が終わった翌朝、俺達は各々起きて朝食を食べていた。
「おはよー」
「おはよー優希」
「「おはようございます優希おにーさん(ちゃん)」」
「おはよー春華に冬華」
丁度パジャマ姿の春華と冬華との入れ違いだ。
「おはよー耀、朝ご飯出来てるわよ」
「今日の朝ご飯は…耀か。いつものオムレツにウインナー、簡単なサラダに、ご飯といつもは無いパンも用意されてる、ちょっと豪華だけどいつもの朝食だ、いただきます」
耀と会話しながら朝ご飯を食べ始める。
「なによー代わり映え無いって言いたいのー?」
「そんな事は無いよ、母さんの朝食より食べた、朝食だぞ朝はこれじゃないと違和感があるよ」
「そう…でもたまには他の食べたくならない?」
「そうゆう時は、母さんの朝食か遅刻してパンかじりながらだから…」
「そうだったわね…和朝食が恋しくなるころに、ピンポイントで優佳さんの朝食が出て来るのよね…」
「そうそう、あの母さんの読みはエスパーなんじゃないか?って思うくらい」
「ね~」
「エスパー?」
「あーえっと…なんて言えばいいのかな?魔法使い?」
「魔法使いじゃない?」
「ユウキのママ、魔法使い?」
「魔法使いではないけど…魔法使いっぽい?」
「そう、会ってみたい…ふぁぁぁ…」
大口開けて目を擦るユフィ、昨日は遅くまでやってた様だ。
そんな話をしていたら玄関扉が開いて、朝練を終えたミュリと神楽坂さんが入ってくる。
「おはようユウキ」
「おはようございます上凪さん」
「おはよう、ミュリ、神楽坂さん」
「そうそう、今日は優希どうするの?」
「そうだなぁ……昨日は、雛菊さんにちゃんとしたお礼も言えなかったし、お店開いた時位に行って来るよ」
「じゃあ後で、研究室来て、届けてほしいのがある」
「了解」
「それでしたら」
「私達も行くよ~」
普通の服に着替えた春華と冬華が2階から降りて来る。
「じゃあ三人で行こうか、耀達はどうする?」
「私はユフィと一緒に、杖作りをするわ」
「私はどうしようかしら…」
「そうだったら、私と服を見に行かないか?ヒナギクの店以外にも服は取り扱ってる場所あるし、そろそろ着替えのストックも無いだろ?」
「そういえばこちらの世界来た時は、荷物何も持ってなかったわね…」
「じゃあ、途中までは一緒だな」
「ごちそうさま、先に荷物の準備してる」
「了解」
「じゃあリンカ私達も汗を流して朝ご飯を食べてしまおう」
「わかったわ」
◇◆◇◆◇◆◇◆
その後、朝ご飯を食べ終え、シャワーを浴びる、ついでに今日の当番のお風呂の掃除も行う、一応共同生活なので食事や掃除は持ち回りだ。
お風呂掃除を終えて髪を乾かしながら戻ると俺の髪を誰が乾かすかでジャンケンをしてたが気にせず魔石ドライヤーで乾かす……いや、ミュリと神楽坂さん…朝食食べっぱなしなんですが…
結果勝った冬華に髪を乾かせられ準備は終わった、ミュリと神楽坂さんはまだかかるみたいだし先にユフィの部屋に行く。
ノックをすると返事があったので入る、室内でユフィが作業をしていた。
「そこに荷物がある」
指差された先に世界樹の実だろうか、深い赤色、淡い水色、桜を想わせるピンク、深くそれでいて澄んだ青色の魔石が置いてあった。
「これ全部?」
「そう、魔法鎧に取り付けやすいよう、ヒナギクに加工してもらう」
「了解、じゃあ残りの実も渡しちゃうよ」
「ありがと、でも一つは残しておいて」
「良いの?」
「私、あると使っちゃうから」
「あー…うん、わかった」
無色透明の世界樹の実だけ俺が持ちそれ以外はユフィに渡す。
「じゃあ、任せた」
「おう、任された」
◇◆◇◆◇◆◇◆
それからリビングに戻り朝食の片づけを手伝うと、程よい時間だったので出発した(この世界は時計を持ってる人が少ない為、朝4時くらいから夜11時位までは1時間事に各都市の鐘が鳴る)。
「区間馬車は…混んでるな…」
「そうだな…丁度店が開く時間だし、どうしてもこの時間は混雑するんだ」
「異世界にも通勤?ラッシュはあるんだね…」
「通勤ラッシュ?」
「そうそう、朝のみんなが通勤する時間に混雑する時間の事を言うんだよ~」
「皆さんお買い物の為ですけどね…」
「ともかく…どうしようか…」
「そうだな…せっかくだし、城壁の上を歩いて行かないか?」
「城壁?」
「まぁそこまで高くは無いが、都市を囲むように配置されてるからな、今の時間なら人も少ないだろう」
「へぇ~じゃあ歩いてみようか」
「「「さんせーい(ですっ)」」」
◇◆◇◆◇◆◇◆
それからミュリの顔パスで城壁のその上にある監視塔の上まで来た俺達はその眺望に圧倒された。
中央に緩やかに伸びる道、全長2㎞あるかないかくらいの道が4つありミュリの話では中央には噴水と都市の行政を行う役所があるらしい。
鉄製品や金属加工を行う区画はもうもうと煙が上がり、服飾を扱う区画は色鮮やかだ、市場が多い区画は建物が低めで布張りの屋根がひしめき合っている。
「わぁ…凄い」
「すごーい!」
「これは凄いですね…」
皆驚いているが、無論俺もその凄さに驚いている。
「さて…じゃあ城壁を歩こうか」
監視塔から降りて壁上を歩く、風が吹いてるため中々に涼しい。
「こっちの外側は近くに森があるんだね」
「そうだな、定期的に間引いて森があまり近寄らない様にしてはいるな」
城壁から森まで大体30mくらいはある、野生動物や稀に近場に出るモンスターを間引くのにちゃんと間隔が開けてある。
「あっちは…そうか市場がある区画か」
「そうだな、街道から、直接市場に通じる様にしているよ」
城門の近くには行商人が列を成して並んでいる。
眺めながら歩いていると、城門での揉め事が起きている。
「ねぇ、あの人たち凄い荷物だね…」
「あぁ…確かにこの時間に、この量を持ち出す
「そうなんですか?」
「あぁ、そもそも
それから揉めていた
そして景色を眺めたり、ミュリの開設を聞きながら歩く事1時間、やたらデカい、ミュリの甲冑(看板)が見えてきた。
「やっぱりあれ目立つわね…」
「うむ…もう少し小さく出来ないか聞いてみよう…」
「でも、インパクトはありますよ…」
神楽坂さんが苦笑いをして、ミュリが嘆息する、それを慰める春華。
「ねえねえ、おにーちゃん。お店の前人が集まってるよ?」
目の良い冬華が何かに気付く。
「良く見えない…なぁ…」
目を細めるけど見えない…冬華、目が良すぎるだろ…
「ともかく行ってみましょう」
「「そうだね(な)」」
春華の言葉に神楽坂さん達が頷く。
それから走って雛菊さんのお店に辿り着くと酷い事になっていた。
店舗の入り口は焼け落ち、看板は無事であるもの入り口は、ぐちゃくちゃになっている。
「うわぁ…」
「酷い…」
「そんな…」
「ヒナギク!」
そう言って顔を青くしたミュリが裏手に駆けていく。
裏口の扉を蹴破ると、店内は更に悲惨だった。
炭化した木材に燃えた布が散乱している。
鼻に着く臭いは燃えた物の臭いばかりだ。
「2階を見て来る!」
「待て、ミュリ!いつ崩れるか!!!あぁもう!神楽坂さん!二人を頼んだ!」
「任せて!」
2階に飛び上げるミュリを追いかけ2階へ飛ぶ、ミュリはある部屋の前でへたり込んでいた。
「ミュリ!」
「ユウキか…」
扉を開けた先で黒焦げになった死体があった。
「嘘だろ…」
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事件発生…果たして…主人公は牢屋スタートになるのか!?
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