第61話:駄目だと言っても、無理矢理に連れてくよ。

あれからメアリーのひざで寝たと思ったら、起きたら冬華だった、何を言ってるかわからないがまぁ交代したのはわかる。


「あっ、優希おにーちゃんおはよー」


「冬華?あっそうか変わったのか……」


「なんか、さらっと流されるとムカつく……」


「いやいや、びっくりしたけど、凄く心地よかったから、あぁ……冬華かぁってなるんだ」


前にも冬華に膝枕された時もだけど、冬華の膝枕は高さを合わせてくれるようにクッションを敷いたり、うちわで扇いでくれたり、こっちをしっかり気遣ってくれて心地が良いんだよね。


「今は何時?」


「うーんと、皆がお風呂に行ったのが21時だったから……今は22時半すぎた所かな?」


「冬華はお風呂どうしたの?」


「私は狩りから帰って来た時に入っちゃった」


「そうか……今日はどうする、もう寝るか?」


「ん~どうしようかな~私だけ抜け駆けしようかな~」


ニマニマしながら言う冬華。


「じゃあ、このまま冬華を攫っちゃうかな」


そう言ってお姫様抱っこで持ち上げると冬華が「きゃー」っとはしゃぐ。


そのままベッドに寝かせ隣に俺も横になる。


「おっ、おにーちゃん……ホントに?」


「冬華は嫌なの?」


「嫌じゃないけど……」


「じゃあ寝ようか」


そのまま冬華を抱きしめて眠りについた


◇◆◇◆◇◆◇◆


目が覚めると冬華が居なくなっていた。


周りを見ると冬華は春華のベッドに居た。


時計を見るとまだ4時を回った時間だ。


(少し散歩をしてくるか…)


布団が開けてる人を直してから外に出る。


こちらの世界は断熱材が進歩していないのでこの時間でも肌寒い、さて……どこに行くかなぁ……


(この時間だし壁上に行くか……)


それから砦の壁上に上がると篝火が炊かれ揺らめいていた。


(あれ?あの姿は…)


夜警だろうか、見えた姿に近づく。


「ミュリ」


「なんだユウキか……脅かさないでくれ」


「ゴメンゴメン、それでミュリは夜警?」


「あぁ、代わってもらった。何か、眠れなくてな……」


「そっか……」


篝火の火がゆらゆらと俺達の影を揺らす。


「なぁ…」


「あの…」


「良いよ、先に」


「いやいや、大した事じゃないから……ユウキから先に……」


「俺こそ……いや……大した話だけど、長いから……ミュリが先で」


「そうか……じゃあ……」


そう言うとミュリが居住まいを正す。


「その……ユウキの世界に行きたいと言ってたじゃないか?」


そう言うと視線が宙に舞っている。


「うん、そうだね、何か心配なの?」


「そうではないんだ……」


「じゃぁ……どうしたの?」


「それが……言い出しにくいのだが……私は、コチラに残ろうと思う……」


視線が揺れて目を合わせない。


「理由を聞いても良い?」


「私は今回、役立たずだった……それに、ユウキの周りには魅力的な仲間が居る……そんなとこに私が入ってもユウキの足枷にしかならないだろう……」


そう言ってミュリが目を伏せてるとミュリの目から涙が溢れた。


「ミュリ……」


空間収納アイテムボックスから神様に貰った指輪を取り出す。


そのままミュリのは左手を取って薬指に指輪を通す。


「ちょ……ユウキ!?」


「ミュリには感謝もしてるし、これからも一緒に居て欲しいと思う。俺が隣りに居てほしいんだからついて来い、駄目だと言っても無理矢理に連れてくよ」


そのままミュリの顎を支えて口付けをする。


「んんん!?」


ミュリが目をパチパチとしばたたかせる


「なっなっなっ……何を!」


「え?いや〜ミュリが変な事を言うからさ、つい」


「つい!じゃない!」


「どうしよう!姫様より先に!」


「まぁ……どの道将来プロポーズするつもりだったし、良いかなぁって」


「だが!だかぁ!!」


「それでさ、ミュリ……」


目をぐるぐるにしてるミュリに声をかける。


「なんだ!私は今それどころじゃ!」


「いやさ、先にキスしてなんだけど……返事聞かせてもらっていいか? 嫌なら断っても……」


「嫌な訳がないだろ!!」


「そっか……じゃあ俺達の世界に付いてきてくれるよね?」


「でも……それとこれは話が……」


「一緒だよ、エアリスも国も他の皆も関係無い。今、ミュリがどうしたいかだよ」


「私……私は出来るならユウキと一緒にいたい……だって初恋だったんだ……一目惚れだったんだ!」


今度はミュリが胸に飛び込んでくる。


「だから!ユウキお前と居たい!居させてくれ!」


「わかった、まずはミュリのお父さんぶっ倒そうか!」


待て待て!何でそんな話になる!?


「え?昔、娘が欲しいなら俺を倒してけ!って言われたから……」


「お父様ぁぁぁぁ!!」


そして日が昇りミュリ顔が朝日に照らされる。


「ミュリ……」


「何だ?」


「これからもよろしくな」


そう言うと涙を流しながらミュリが大きく頷いた


「あぁ!」


朝日に照らされた涙がキラキラとしてとても美しかった。



◇◆◇◆◇◆◇◆


それから交代の兵が来るまで二人で一つの毛布に包まり昔話をしていると意外な人が現れた。


「おっ、ここにおったか……探したぞ……」


「シド様?」


「国王陛下!?」


城壁の内階段を上って来たシド様にミュリが慌てて立ち上がる。


「ミュリよ…お主に用事があってな……」


「はい!何なりと!」


「正式な辞令は未だだが、この度遠征が終わり次第。お主の近衛騎士団長の任を解く」


「えっ……」


その瞬間ミュリがこの世の終わり様な顔をした。


「これこれ、まだ終わっておらんぞ……」


早とちりをしたミュリに溜息をつきながらツッコミをするシド様


「元近衛騎士団長のお主に新しい命を下す、エアリス専属の近衛そして異世界特派員として異世界に赴く事、そして定期的に報告に戻る事じゃ」


「陛下……それは……」


「まぁ向こうで良い男を見つけるがよい、ワシのオススメは隣に居る小僧じゃな」


「ですが父上は…」


「あぁ、大丈夫じゃろ。あ奴がユウキに勝てるとは思えんし」


「ですが、私の家は…」


「あれ?ミュリよ……お主家に帰ったのはいつじゃ……」


「えっと……ユウキが異世界から帰る少し前に一度なので……大体10カ月くらいですね……」


「そうか……お主弟が出来ておるぞ……」


「「え?」」


俺も声が出た、ミュリのお母さんって確かもう50代じゃ……?


「陛下……お母様は既に……」


「あぁ……それも言っておらんのか……あの馬鹿は……」


シド様が額に手を当てて天を仰ぐ。


「結婚したんじゃよ……30近くも年下の娘と……」


「「は?」」


人の事は言えないが……年下過ぎないとゆうか20代ってミュリと同年代じゃ……?


「ユウキ……」


「どうした、ミュリ?」


「お父様ぶっ飛ばすの私がやる」


「うん、任せる」


あぁ……ご愁傷さまです……


ミュリのお父さんの葬式が決まった瞬間だった。


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この後は現代に戻って色々と問題解決をしていきます!


この主人公達チートハーレムがダンジョンを攻略します!

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