第58話:現状確認と稲荷山の異変

「どうだった二人共?」


戻って来た式神二人に聞くと、どうやら中腹には神社関係者の方と観光客が数名取り残されている様だ。


「ダンジョンだし、早く助けに行かないとな……二人は身体に異常は無い?」


「あぁ」「えぇ」


ふむ……男性のや雄にあたる性別に違和感は出て無いみたいだな……。


「という事は女性にだけ異常が出てるっぽいね……」


「何そのエロダンジョン……」


耀さん……その言い方は……。


「うーん……本当にそういった、女性にだけ影響が出るなら。木が急成長した理由にはならないんだよね……」


「そうね……木には雌雄なんて無いだろうし……もれなく全部が成長してるのよね?」


「はい、樹木からその下の草木までですね」


鬼一に渡したデジカメを見るともれなく成長してる。


「うーん……何かルールがあるのかな?」


「ルール? ダンジョンにそんなのあるの?」


「正直わからないかな……でもこっちの世界に来たダンジョン内ってなにがあるかわからないし。その結果ハーメルンが生まれたり、今回みたいな異常が出てる事もあると思うんだ」


「そうですわね、従来のダンジョンではありえない。状態異常の出るダンジョン……不思議ですわね」


着替え終わったエアリスがやってくる、動きやすいように長袖のシャツとスカート、そこにダッフルコートを羽織っている。


「おかえり、エアリスは大丈夫だった?」


「はい、わたくし達はスポーツブラだったので故障とかは無いのですが、他の女性方は皆さんホックの部分が破損しておりました、というより全体的に伸びてまして、端的に言えばその……肉付きが良くなってました」


「肉付きが良くなる? つまりふとっ——あでっつ!?」


耀に小突かれた、確かに女性には厳禁な言葉だ。


「優希、それ以上は血を見るわよ……」


「あぁゴメン……その肉付きが良くなるって事は身体全体に?」


「はい、そうですわね。それと……そのもう一つありまして……」


顔を赤くしながらもじもじとしだすエアリス。


「もう一つ? 何があったんだい?」


「その、ユウキ様とのエッチをした回数が多い人ほど影響が少なったのです……それとリリアーナ様は例外でした」


「へっ?」


唐突なエアリスの言葉に思考がフリーズした。


「ですから、ユウキ様とのエッチをした回数が多い人ほど、強い影響を受けていませんでした」


「マジか……えっと、後はリリアーナもだっけ?」


「はい、リリアーナ様は大きくならなくて残念と悔しがっておりましたが……」


「ん、恐らく優希の血液を摂取してたから」


同じく着替えたユフィがやって来た、同じく長袖のシャツとスカートに着替えその上に短めのコートを羽織っている。


「血液? でもそれがエッチと何の関係が?」


「唾液と○液、その二つは血液から作られる。だから優希との性交が多いと体内に優希の血中にある何かしらと混じって耐性が作られたと考えるべき」


しれっと言うユフィ、でも若干耳が赤くなっている。


「そうなのか……というか唾液とアレって血液から作られてたんだ……」


「ん、若干違うけど汗とか涙、後は母乳とかも血液から」


「そうなんだ……血液って凄いな……」


「それで話を戻しますと、山に居た皆さんの中で過剰に影響が出たのは全て女性、被害が大きい方ですとクラスメイトの皆様とあの時付近に居た女性の方々、恐らくは今だに取り残されてる方にも影響は出ているはずです」


「ん、それと優希のクラスメイトには母乳が出た子も居た」


「は……?」


何言ってるのユフィさん!?


「ユフィ、それは!」


エアリスが真っ赤になって遮ろうとする、それも構わずユフィは続ける。


「妊娠して無いのに母乳が出るのはホルモンの異常、放っておくと身体によくない」


「そうなんですの?」


「ん、さっき調べた」


スマホを取りだし画面を見せて来る。


「じゃあ、早く助けに行かないとな……」


「ん、その前に優希が治療してあげて」


「そうだね、了解」


「では、私が別室に皆さんを集めますね、そこで簡単に聞いてから。ユウキ様にチェックしてもらって治療をしましょう」


「私も手伝うわ、行きましょう」


「主、ワシは与一と共に他に逃げ遅れた者が居ないか探してくる」


「わかった、二人共気をつけて」


「御意」「おう!」


二人共飛び去って行った。


「一応男子の方も様子見とくか……」


女子の準備ができるまでの間に、男子の方で身体に異常が出てる人は居ないかチェックするのだった。



◇◆◇◆

「それじゃあメンバー分けをしようか、耀・春華・冬華・ユフィ・里菜・鈴香・リリアーナが頂上へ俺と共に」


「任せて」「はい!」「はーい」「ん」「えぇ」「頑張ります」「やりましたわ!」


「アミリア・セレーネ・ミュリ・クロコ・エアリスが中腹及び稲荷山の周囲を回りながら避難民の救出を、かなり重要だから任せたよ。それとクロコは無理しない様に」


「えぇ、任せて」「はい!」「任せろ」「は、はいっ!」「お任せください」


「巴・メアリー・シア・ユキはここで全員のナビゲーティングと避難してきた人の保護をお願いね」


「はい」「かしこまりました」「ご主人様」「ユウキ様!」


「上凪君、俺達にも手伝えることは無いかな?」


剃り込み男子の大貫君が問いかけて来る。


「皆は山への迷い込みを無くすようにして欲しいんだ、ダンジョン化してるとはいえここは市内だからね、一応この地図で囲んだ範囲を中心に迷い込まない様にお願いね」


「わかった、山科方面側はどうすればいい?」


「そこへは俺の式神が向かうから大丈夫」


「わかった、気をつけてな!」


「皆も無理しないでね!」


大貫君達を見送って振り返る。


「それじゃあ、行こうか皆」


「「「「「はい!!」」」」」


稲荷山ダンジョン、攻略開始だ。




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作者です。


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