第3話:姉妹と食事ともう一人の神
「「わぁぁぁぁあ!」」
ピザにハンバーガー、唐揚げにフライドチキン、野菜もあって食事としては申し分ない。
「じゃあ、いただきます!」
「「イタダキマス?」」
「俺の世界での風習っていうのかな? ご飯を作ってくれた人や食材を作ってくれた人、肉になった命への感謝の言葉みたいなやつ」
「そうなんですね!」
「良い言葉ね」
すると姉妹も手を合わせて。
「「いただきます!!」」
そういって食事に手をつけ始めた。
「あーん……!?!?!?」
ハンバーガーにかぶりついたレナちゃんの目が見開かれる。
「ど、どうしたのレナ!?」
言葉をなくしてぷるぷる震えるレナちゃんに、おろおろするアミリアちゃん。そうして食って掛かろうとした瞬間、顔を上げキラッキラの瞳がこちらを見た。
「なにこれすっごく美味しい!!!」
「へ?」
「お姉様も!! 食べてみて!!」
興奮したレナちゃんに押し切られ、アミリアちゃんが照り焼きバーガーを手に取る。
「あれ? これ、レナのと違う?」
「あぁ、それは照り焼きバーガーだねお肉に甘めのタレを纏わせて、少し酸味のあるソースと、くどくならない様にした新鮮な野菜が美味しいバーガーだね」
「…………んっく……」
唾を飲み込んだアミリアちゃんが包装を解いて一口齧る、すると今日一番の幸せそうな顔をする。
「なぁにこれぇ~美味しすぎるぅ~」
「お姉様! 私も私も!!」
「えぇ、レナも食べなさい」
バーガーを好感してレナちゃんもぱくっと食べる、タレにやられたのか幸せそうな顔になる。
「しゅごいおいしぃ~」
その二人を尻目にお肉を3段重ねにしたキングバーガーを食べる。
「久々に食べるけど……この肉汁がたまらない……」
いつもは、皆が交代で作ってくれる料理や、お弁当だから。こうやって出かけた時にしか食べる事が無いのが残念である。
「ユウキさん、この箱は? 紙ですか?」
フライドチキンの箱を不思議そうに指差す。そうか異世界だと意外と紙は希少だった。
「紙だね、しかも特殊な加工がしてあって、上手く食材の油が外に付かない様になってるんだ」
「すごい……」
「そういえばこの国は……というか世界は紙の価値ってどのくらい?」
「そうですね、紙の基本は色んな繊維の混じったものなので、こういった綺麗な紙は大体銀貨1枚はします」
「ほう……となるとこの紙だとインクを弾いちゃうから駄目だけど……この紙なら大丈夫かな?」
「!? す、すごいですこの紙!!」
前のめりになるアミリアちゃん、やっぱりわかるらしい。
「インクの乗りも綺麗、それでいてここまで滲まない紙は初めてです……。この紙1枚で大銀貨1枚はくだらないです!」
「そっか……多分それ5000枚くらいあるけど……そうだ貨幣価値も聞いていい?」
数を聞いて驚いていたアミリアちゃんが、正気を取り戻す。
「えっとですね……一番下に『
・錫貨10枚で銅貨
・銅貨50枚で大銅貨
・銅貨100枚で銀貨
となる、との事だ。銀貨以降も同じように換算される
「ただし、天貨は国家間でしか使われないので一般の方は見れません」
「ありがとう、じゃあ何でアミリアちゃんは『天貨』なんてものを知ってるのかな?」
そう聞くと、しまったという顔をアミリアちゃんがした。
「そ、それはですね! 没落した貴族の子供で……」
「まぁ正体は既に知ってるんだけどね」
そう言うとアミリアちゃんの顔が険しくなる。
「やっぱり貴方!!」
「いやいや、誤解しないで。俺はこの世界に来たのは数時間前だし、それに君達を政治的に利用するつもりも無いよ?」
「そんな戯言! 信じられますか!?」
「確かに、暗殺者の名前も知ってるし、君達の名前も知ってる。これ以上にない位、怪しい存在だな……」
「貴方がそれを言いますか!?」
「うーん……どうしたら信じて貰えるんだろう……」
そう、この元国王の遺児二人に……。
◇◆◇◆◇◆◇◆
とりあえず、敵意は無いという事を示す為。部屋の隅に大量の武器を置いた状態かつ、俺の両手両足を縛った状態で話をした結果。
「信じられるかは微妙ですが、その状態でなら一晩置いてあげます」
と言われたので、一応信頼は貰えたらしい。
「おやすみなさい、お兄様!」
「こらレナ! あの人は敵かもしれないんだから!!」
「えぇ……でもぉ……」
「ほら! 早く寝なさい!」
そう言って二人共、ベッドに入って行った。
「さてそれじゃあ、防御魔法の魔道具とポートを置いて行きますか……」
この世界唯一の俺が転移出来る場所へ。
◇◆◇◆◇◆◇◆
転移して行った先は、真っ白い空間だった。部屋の感じが理映と同じだ。
という事は神様の空間なのだがそこに居たのは、綺麗な土下座をした全く見ず知らずの神様だった。
「すみませんでしたーーーーー!!」
土下座をした存在が声を上げる。
「とりあえず顔を上げてくれ……」
顔を上げると、赤とピンク色の髪をした女性だった。
「先ずは、顔を上げて下さい、それだと話し辛いので……」
「そそそそそそーですよね!! すみません!!」
わたわたしながら顔を上げると、その勢いで眼鏡が吹っ飛んだ。
「ひゃああああ、眼鏡がぁぁぁぁ!?」
一目でわかった……この神様、駄女神だわ。
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あとがき
作者です。
冬休み終わったので8時投稿にします!
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