第15話:お風呂MK-Ⅱと新しい馬車。
アミリアがぷりぷり怒っているが出発の時間も迫っているとの事で皆でセレーネの入浴とかをアミリアとシャリアに任せ不足分の朝食と馬車を大きくするため男性冒険者のレギルと共に朝市へ出る。
「とりあえずレギルは一緒に来てくれ。ライラ、シャリア、セレーネはアミリアとレナの護衛を頼む、アミリアとレナはセレーネを綺麗にしてくれシャンプーとかの使い方は大丈夫だよね?」
「えぇ、任せて」「はーい!」
「わかったわ」「お任せくださいご主人様」「任せて下さい!」
「おう、行きましょう旦那」
◇◆◇◆◇◆◇◆
◇ガールズside◇
女性陣は入浴の為宿の裏手へ来ていた。
そこには優希の作ったポータブルお風呂まーくつーが置いてある。
「えっと……これがシャンプーでこれがコンディショナー……これがボディソープね」
文字は読めないのだが入れ物の横に凹凸が付いている方がシャンプー、つるつるしてる方がコンディショナーだ。
「ねぇ、聖女様……」
「聖女様はやめて下さい……恥ずかしいです……」
「そうなの? ごめんねアミリアちゃん」
シャリアが豊満な体でアミリアを抱く。
「ま、まずは! 頭を洗いましょう!」
セレーネの頭を水で流すと、土埃や煤、それに沢山の皮脂が髪についていた。
「それで……水で洗い流してから……少しお湯に着けましょうか、髪が固まってますので」
「やっぱりですか……いつからか生きる為に髪の事は獣脂で固めるだけでしたから……」
無造作に剣で斬られたような短く、バラバラに伸びた髪は艶も無く酷い様相だった。
「ごめんなさい、もう少し早く助けられれば……」
シャリアは人の街を転々としていて、セレーネの事を追っていた話す。彼女自身もつい2ヶ月前に居場所を突き止めて賭博場で働いていた訳だ。
「いいえ、シャリアさんも怪しまれない様にするのは大変だったと思いますから」
そんな話をしていると髪に指が通るようになったのか、アミリアがお湯を捨てる。
それから数回に分けて髪を洗うと、次第にその美しさが見え始めた。
「凄いわね……」
「えぇ、宝石獣の髪でも。ここまで美しいのは見た事無いわ」
「おねーちゃん綺麗です!」
セレーネの髪は日の光によって七色に変化する。その色も見る角度、光の当たり具合で変わるので万華鏡の様だ。
それからは体を洗い、お風呂から出た後、外にいるライラと交代で入る。
お湯がドバドバ出てくる仕組みに驚愕していたが、お風呂を堪能していた。
◇◆◇◆◇◆◇◆
一方その頃男二人は早朝からやっている馬車の修理販売店と朝食に出来る屋台をめぐっていた。
「旦那、馬車の予算はどのくらいですか?」
「えっとね……大銀貨1枚前後かなぁ、もう少し出せるけど」
「そうですか、それじゃ……」
レギルは馬車の下部や足回りを見て回っている、そうしている内にめぼしいものがあったのか手招きする。
「旦那、この馬車でどうですか? 軸は頑丈ですし、車輪も大きい。荷台も全員乗れるくらいの大きさはあります」
「価格は?」
「見立てだと銀貨15枚ってところですね」
「安くない? 新品が銀貨7~80枚で、状態の良いのが45~60枚くらいでしょ?」
「えぇ、当然安さが先に来てますが実はこの軸、腐食が目立つんですよ、それに少し白蟻に喰われてます、なのでこの馬車自体は値段が安く、修繕費で稼ぐパターンですね」
言われると各所に腐食や虫食いが見られる。
「まぁ、旦那の修理するあの魔法頼りですがもしこれならかなりの予算を安く出来るかなぁと」
「うん、良いね。助かるよレギル」
「いえいえ! 俺としてもこれ位の馬車までしか運転できませんので……これ以上大きな箱馬車になると扱えないですから」
「そうか、因みに専門の御者で魔王領まで行ってくれる奇特な人は……」
「居ないですね、俺達もその手前までの契約ですから……」」
申し訳なさそうにレギルが言う、正直俺達はほぼ不法的に越境予定だから仕方ない。
「いや、良いんだ。ありがとうね」
「酒代まで貰っちまったのに申し訳ねぇ……」
「あぁ、良いよ良いよ。あれ位ならしっかり働いてもらってるんだし」
「いえ! これからはもっと頑張らせてもらいます!」
そう言って、店のおっちゃんに交渉しに行くレギルだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「さて、準備は良い?」
「「「「「はい!」」」」」「おう!」「えぇ」
馬車に乗り込み出発する、ここからはアミリアとレナも服を着替え少し安めの庶民服に、セレーネはへそ出しのメイド服、シャリアは魔法使いの様なローブ。
馬車も内・外装は俺の修復魔法で綺麗に、そこに粘ったレギルの交渉で取り付けられたクッションやラグなどがある。
俺は成金冒険者風の格好で御者台に座る。今日からは馬車の変わったので中と後方はライラとセレーネに任せオレは御者台と中で護衛になった。
「旦那ぁ・今日はどこまで進むつもりですか?」
一緒に御者台に座ったレギルが聞いてくる。
「うーん今日はこの領を抜けたいね……」
レナスからもらった地図を見る。
「というと、かなり早い移動になりますね」
「そうか、それじゃ任せたよ、俺は周囲警戒をしとくから」
「わかりました、お願いします」
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作者です!
新しい馬車ゲットだぜ!
今回の馬車は幌馬車で大体8人まで乗れるタイプです、椅子の下等に長期保存が出来る野菜や調理器具等が詰め込まれてます。
ユフィお手製のランタンの魔道具(緊急時防御魔法発動可)で安全面の確保もしています。
幌の内側に盾板も貼ってあるので優希の強化魔法でかなり硬くなります。
さて、この先も皆さんの想像の王道と、それするの?的な展開で行こうと思います!
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