第11話:前線砦作成②
職人ギルドに向かった二日後、ロップルさんからギルドマスターが呼んでるとの事で共に向かっていた。
「あのあの、ユウキ様はどうして、こんな危険な事をしようと思ったんですか?」
前にギルマスにも同じことを聞かれた時は、ロップルさんも手配に回ってたから知らないのか。
「えっと……俺と一緒に召喚された聖女様はこの時代の人じゃないんだ」
「ふぇ? ど、どういうことですか!?」
「まぁ、未来の人とかは一旦置いといて。俺達が元の時代に帰るには召喚の目的を達成する必要があるんだ」
「その目的が砦を奪還する?」
「あはは……というより砦を奪還してというより、その先に居る悪神と呼ばれる存在を倒して欲しいんだって」
「それってかなりの無茶ですよね?」
「まぁ、それは俺も思った。でも、その召還を天啓で教えたのが俺も知ってる神様だったんだ」
「神様? え?」
「という事で、その悪神を倒す為の第一歩として砦奪還用の前線基地を作る事にしたわけ」
「な、なんか壮大ですね……未来の人とか神様とかとんでもない事を聞いてる様な……あれっ!? 私そんな重要な事を勝手に聞いて、神罰とか受けないですよね!?」
おろおろと落ち着きが無くなるロップルさん、流石にマリアンはそんな事しないでしょ。
「大丈夫大丈夫、そんなに厳しくないよあの神様は」
おっちょこちょいで今も謝り回ってそうな神様を思い出して笑っていると、ギルドが見えて来た。
「ねぇ、ロップルさん」
「はい、何でしょうか?」
「なんかめっちゃ人居るのは目の錯覚かな?」
「奇遇ですね、私にも見えます」
「そっか、錯覚じゃないなら良かったよ」
そんな現実逃避をしていると恐らくドワーフかハーフリングであろう種族の人がこっちを見た。
「おい! あんちゃんが聖騎士様か!」
「はい、そう呼ばれています。お兄さんはドワーフですか?」
「おう! あんちゃんはドワーフを見た事が無いのか?」
「はい、実は純粋種のドワーフは初めてです」
(そう、純粋種のドワーフは初めてだ、エアリス達の世界じゃハーフが進んでるから実は見た事が無いんだよね)
身長は150cm位だが筋肉がバッキバキで腕の太さは俺の3倍はある、髭は鼻下がふさふさ、顎髭は長くならない様に綺麗に整えられている。
そんな風にまじまじと見ているとドワーフのお兄さんは恥ずかしそうにする。
「あんまりじっと見られると恥ずかしいぞ、そんなに珍しいのか?」
「そうなんですよ、俺の知ってるドワーフは皆短命で、他の種族と交わって寿命を延ばしたんですよ」
「ほう、それはさぞ悔しいだろうな……」
「はい、それは前に知り合いのドワーフも言ってました、『技術を極めるのに命が短いのは後悔しか残らない』って……」
昔旅をしてる時に俺の剣を鍛えてくれた人が言っていた、その人は祖先が長命種と結婚したから家系的には長生きなんだけど、その中で友人達と幾度か別れをしていたらしい。
「おっと、こんなとこで辛気臭い話をしてる場合じゃないな。おーい皆通してくれ!」
そう言って道を開けてくれたドワーフさんに感謝を述べつつ中に入るとギルマスが待っていた。
「おう! ユウキ殿、いきなり呼び立ててすまないな」
「いえ、大丈夫ですよ。昨日で敵の殲滅は終わらせてますから、今日は暇だったので」
「流石だな聖騎士殿は……それで今日来てもらったのは一昨日の件で募集をかけたところこれだけ集まってな。一度集まってもらったんだ、総勢153名命知らずの大馬鹿共だよ」
集まっている人達がニヤニヤしている、職人というより戦士でも通じる様な屈強な体格の人達がいる。
「ありがとうございます、それでは3日後の早朝から作業を開始したいと思います、詳しい説明と役割分担はこの後連絡しますね!」
「「「「「応!!」」」」」
◇◆◇◆◇◆◇◆
そして3日後、日が昇る前。砦の外輪部に屈強な男達とそれに負けじと意気込んだ兵士達の姿があった。
「では、お願いしますね」
「「はい! 任せて下さい!!」」
見送りに来た指揮官と、同行する現場監督の二人が返す。
「それじゃあ、索敵しながら先に行きますので皆さんは後からゆっくり来てください」
「わかりました、それでは武運を祈ります!」
敬礼してくる兵士と指揮官に敬礼を返して走り出す。
さて……第二砦と第三砦の間は約30キロ、こちらから向こうへのなだらかな丘陵なので双方の砦の様子がよくわかる。
「砦の位置は中間少し手前の10キロの位置にしてある」
身体強化を使った走りでおおよそ5分の距離だ。
手順としては。
①.3日かけて削り出した巨大な杭を打ち込みその外側に堀を作る。
②.職人の皆が到着した後は
③.その間に俺は大量の漆喰を作る。
④.積み上がり次第職人さんが片っ端から塗って行く。
と至極簡単な手順だ。
問題点はこれを日没までに行わないといけない点だ。
夜までに行わないと野生の獣が出て来るとの事。俺が居るので大丈夫なのだが、夜は作業効率が落ちるらしい。
「という事で、やりますか!」
空間収納から杭を取り出して構えた。
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